2023年4月11日13:30
群馬県渋川市、東武グループの関越交通、トランザクション・メディア・ネットワークス(TMN)は、2023年4月10日、ICTを活用した公共交通の発展と活性化を推進するため、連携協力協定を締結した。同日には渋川市役所で記者説明会を開催した。
4つの分野で3者が連係・協力
ICTでバスの利用状況を「見える化」
今回の連携協力協定は、3者が相互に連携および協力し、それぞれが有する資源を活用することにより、ICTを利用した公共交通の発展と活性化、市民向けサービスの向上による地域社会の持続的発展に資することを目的とするものだ。
具体的な連係・協力事項は、(1)公共交通の利用状況の調査や実態把握に関すること、(2)公共交通の利便性の改善や利用促進に関すること、(3)地方創生に資する取り組みに関すること、(4)その他三者が協議して必要と認められる事項に関すること、の4つとなる。
具体的な取り組みの概要に関しては、TMN 情報プロセシング本部 イノベーション推進部 地域公共サービスグループ グループマネージャー 今度祥一氏が紹介した。TMNは電子決済事業を展開しており、現在、約80万台の決済端末と接続している。また、年間取扱額は3兆となる。関越交通は、群馬県渋川市を中心に路線バス・高速バス事業等を展開する地域のバス事業会社となる。
今回の取組みは、関越交通の大型路線バス一台にGPSセンサーを付けて、バスの通過時刻や運行位置といった情報のデータを「見える化」するという。その後、秋から車内にIoTデータをつけて、バスの利用状況の「見える化」も行う。
TMNでは、今回の「見える化」を通じて、関越交通に参考となる資料や経営計画などを提供する。渋川市にも交通計画の策定に関する資料などを提供する予定だ。利用客に対しても車内状況の紹介など、さまざまなサービスを提供していきたいとした。
公共交通の満足度3割を目指す
TMNはMaaS展開の足掛かりに
渋川市では、アフターコロナを見据え、渋川伊香保温泉を中心に、観光の振興に積極的に取り組んでいる。また、少子高齢化の影響もあり、どの分野においても労働者不足、また後継者不足等が叫ばれている。そのような中、「今回のDXを推進する取り組みは市としても応援していきたい」と市長の代理で出席した市長戦略部 部長 伊勢久美子氏は説明する。
関越交通ではコロナ禍の中、厳しい経営状況が続いているが、渋川市がまとめている次期公共交通計画において、地域住民の公共交通に対する満足度を上げるという目標がある。現状の市民の公共交通の満足度は12.1%だが、市ではそれを3割まで高めていきたいとしている。関越交通ではその一翼を担っているが、「TMNの分析力を生かしていきたい」と関越交通 取締役社長 佐藤 俊也氏は期待する。
TMNでは、今回の取り組みがMaaS分野の足掛かりになると見ている。TMNではこれまで主に流通における電子決済のゲートウェイサービスを提供してきたが、駐車場、ガソリンスタンド、レンタカーなどでも利用されている。TMN 代表取締役 大高敦氏は「IT企業として目指す地域の貢献においても重要な一歩になります。渋川市の取り組みが全国に知れ渡るようにサポートしていきたい」と意気込みを見せた。
「情報プロセシング」事業を強化
注目の交通決済の連携は?
このコンテンツは会員限定(有料)となっております。
詳細はこちらのページからご覧下さい。
すでにユーザー登録をされている方はログインをしてください。