2023年4月5日9:40
電子決済ゲートウェイを提供するトランザクション・メディア・ネットワークス(TMN)は、2023年4月4日、東京証券取引所グロースに上場した。同社では、キャッシュレス関連サービスの提供に加え、店舗や消費者に対し、あらゆるデジタルデータの「ゲートウェイ」になることを目指すという。
クラウド型電子マネーのパイオニア
国内主要サービスの裏方としての顔も
TMNは、2008年に三菱商事とトヨタファイナンシャルサービスの共同出資により設立された会社だ。同社は、クラウド型電子マネーを国内で初めて商用化した実績がある。その後、クレジット、QR・バーコード決済、ハウスプリペイドなどのサービスを追加し、現在は44サービスをワンストップで提供している。2023年1月現在、小売80万台、1,000社以上に接続している。
現在、従業員は約250名で、そのうち60%が技術者だ。TMN 代表取締役 大高敦氏は「FinTech企業の中でもエンジニア率が高い」と話す。
同社の強みとして、「国内で初めて行ったクラウド型の電子マネーの事業は数社しか提供できません。そういう意味では希少価値が高い」と大高氏は説明する。クラウド型のサービスにより、決済端末の低コスト化や運用の簡易化を実現している。また、流通企業にワンストップでサービスを提供できる点も強みだ。同社の顧客は大規模な流通企業が多く、業界の中でもトップ3の企業に決済の総合的なサービスを提供しているそうだ。大規模企業に対してはシステムのカスタマイズに対応するとともに、システムの堅牢性が求められるが、それに対応できるのも強みだ。今回の上場により、流通企業の信用力をより高めることができるとしている。
一方、小規模加盟店については、パートナーシップにより、電子マネーやQRコード決済といったサービスを提供している。例えば、三井住友カードとGMOフィナンシャルゲートの「stera」、NTTデータの「CAFIS Arch」や「INFOX」、Squareなどにサービスを提供しているのも特徴だ。これにより、大規模から小規模までカバーしている。
デジタルデータのゲートウェイに
情報プロセシング企業を目指す
TMNのビジネスモデルは、決済データの処理に伴うセンターの利用料、登録設定料、QR・バーコード精算料、端末販売売上、および決済サービスの導入・追加に関する開発売上となり、この5つが売り上げの源泉となっている。開発や決済端末の売上のフロー収入はその後のセンター利用料につながる入り口として機能している。接続台数が増加するごとにストック収益が増加する収益構造だ。また、QR・バーコード決済に関しては従量課金による利用料を徴収している。同社では今後、QR・バーコード決済のさらなる普及により、収益増加ペースが加速すると見ている。
TMNでは、あらゆるデジタルデータのゲートウェイになることを目指している。日本でのキャッシュレスは進んできたが、まだまだ現金決済比率は高い。そうした中、「購買動向を把握する時に現金の動きを捕捉することによって消費、人の行動の全体像を捉えて新たな商品開発につなげていくことが中長期的な成長戦略です。この情報プロセッシング事業と、電子決済の総合的なサービスをマッチングすることで消費者に便利なサービスを開発していきたい」と大高氏は意気込みを見せる。
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