GMO-PG、決済手段の追加期間を10分の1にする「OpenAPIタイプ」の強みとは?

2023年6月1日12:00

GMOペイメントゲートウェイ(GMO-PG)は、2023年5月30日に記者説明会を開催し、マルチ決済の導入が可能なオンライン総合決済サービス「PGマルチペイメントサービス」をメジャーアップデートすると発表した。同日から提供開始した新しい接続方式「OpenAPIタイプ」では、各決済手段のAPIを複数グループに集約したAPIで提供する構造と、OpenAPI Specification(OAS)の接続仕様を採用し、決済手段の追加期間を従来の10分の1にするという。まずはECサイト構築を行うecbeingのECサイト構築プラットフォーム「ecbeing」と連携している。

GMOペイメントゲートウェイ 上席専務執行役員 イノベーション・パートナーズ本部 本部長 小出 達也氏(右)、システム本部 決済サービス統括部長 鈴木 隆志氏(中央)、パートナーECベンダーのecbeing 上席執行役員 マーケティング本部 本部長 斉藤 淳氏(左)

従来20日の決済追加が2日
12の決済手段で処理件数の約90%をカバー

GMO-PGは決済を起点としたサービスを提供している、16万を超える加盟店の決済を担い、年間55.3億件の決済処理、流通金額13.2兆円、うちECは9兆円となっている。

国内のオンライン決済市場は2008年に1.8%のEC化率だったが、2021年に8.8%となった。同比率はイギリスの3分の1の規模であり、まだまだ成長の余地がある。国内の決済市場はユニークで、さまざまな手段が存在する。GMO-PGの創業時(当時はカード・コール・サービス)は国際ブランド決済からスタートしたが、2008年に4つとなり、現在は30以上の手段を加盟店や事業者の要望に基づいて提供している。国際ブランド、電子マネー、後払い、コード決済など、約99%の決済手段を担う「PGマルチペイメントサービス」は、物販・Eコマース、サービス・コンテンツ、官公庁・公共など、さまざまな企業や団体が利用している。

GMO-PGは350名の営業人員がおり、業種・業界に即した形で課題解決型の提案を行っている。また、24時間365日、年間55億件の決済処理を行うとともに、強固なセキュリティのシステムを提供しているそうだ。加えて、外部認証で5年連続の三ツ星、業界唯一の五つ星獲得を獲得したカスタマーサポートも強みとなる。

これまで各決済手段と連携する場合、決済手段ごとに連携させる必要があったという。GMOペイメントゲートウェイ 上席専務執行役員 イノベーション・パートナーズ本部 本部長 小出 達也氏は「決済手段追加のコスト負荷により、消費者ニーズをカバーしきれない課題がありました」と話す。実際に、決済の追加期間で20日~約1カ月もかかってしまう課題があったという。

GMO-PGでは、2023年5月30日より、設計からAPIまで接続方式の仕様を刷新。新しい接続方式である「OpenAPIタイプ」を提供することで、「従来の10分の1の工数で決済手段の追加が可能です。例えば、PayPayを導入していたが、d払いを導入したい場合、Open APIタイプでは2日で実現します。これは加盟店からすると衝撃的な効率化です」と小出氏は説明する。

同方式は国際標準なため、今後さまざまな事業者が提供すると見ているが、すでに対応する12の決済手段で処理件数の約90%の決済をカバーするそうだ。

「ecbeing」が第一弾として対応
キャンペーン時に迅速な決済手段追加も可能に

接続方式「OpenAPIタイプ」には、ECサイト構築プラットフォーム「ecbeing」が第一弾として対応した。ecbeingは1,500社を超えるECサイト構築を支援している。ecbeing 上席執行役員 マーケティング本部 本部長 斉藤淳氏は「中堅・大手の企業に採用の実績があり、アパレル、コスメ、メーカー、小売りなど様々なお客様に提供しています」と話す。ecbeingの2022年間流通総額は9,912億円となり、2019年から比べると倍以上の成長となっている。コロナ禍でネットの売り上げが拡大し、日常を取り戻しつつある中でもデジタル化の波が続いている。

「OpenAPIタイプ」はGMO-PGと昨年から議論してきたが、今回の仕組みの導入前は、決済手段ごとにルールが違うサービスを、それぞれ組み込む必要があった。また、組み込みに約1カ月かかっていたため、「〇〇Payでのキャンペーンなどの際にスピード感を持って対応することができなかった」と斉藤氏は話す。また、決済手段追加のコストもネックだったそうだ。

今後は、決済手段ごとのテストマーケティングが可能となるため、「加盟店により提案しやすくなり、いろいろな決済のテストデータが蓄まります。最終的には消費者の方々が持っている決済をより使えるようになります」と期待を込めた。

なお、ecbeingでは「ecbeing」ともにクラウド型ECサイト「メルカート」を提供しているが、こちらは非対応となっている。

決済を分解しゼロから再構成、設計思想もAPIに反映
決済Web APIに接続するための開発フローは?

技術的な優位点ついては、開発を先導したシステム本部 決済サービス統括部長 鈴木 隆志氏が紹介した。「OpenAPIタイプ」は、Web API接続方式が対応。ecbeingなどのECプラットフォーマーを介して提供する。GMO-PGでは、WebAPI接続方式として、すでにプロトコルタイプ、モジュールタイプを提供しているが、ここに「Open APIタイプ」を追加した。

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