2011年4月11日9:10
本格的なギフトカードモールの登場で市場が活性化
拡大するギフト・プリペイドカードの魅力に迫る!
ペイメントナビでは2010年に「プラスチックプリペイド特集」を行った。同特集以降、日本でもイオンやセブン-イレブンでギフト・プリペイドカードの販売が行われるようになるなど、普及の兆しを見せている。また、国際ブランドが搭載されたプリペイドカードを発行する動きも加速している。本特集では企業の新しいプロモーションツールであるギフト・プリペイドカードの最新動向をフォーカスする。
国内では約220社
3万2,000店舗が発行
プラスチックのギフト・プリペイドカードは、オンライン上のサーバでバリューを管理し、ネットワーク経由でサーバにアクセスし、金額をチャージ(入金)する仕組みとなっている。店舗側は既存のPOSにギフト・プリペイドカードのシステムを組み込むか、専用端末、クレジットカード端末などを利用して金額のチャージや決済処理を行うことができる。
国内でギフト・プリペイドカードに対応したシステムを提供するASP事業者として、凸版印刷/富士通エフ・アイ・ピー、大日本印刷、レピカ、バリューデザイン、ベスカといった企業が名を連ねる。
凸版印刷の調べによると日本国内におけるギフト・プリペイドカードのマーケットは、大手GMSやアパレルショップ・雑貨店・飲食店などでの導入が進み、2011年2月時点で約220社3万2,000店舗にまで拡大している。
ギフト・プリペイドカードには、まず今回のフォーカスでも特集する日本百貨店協会の「百貨店ギフトカード」や日比谷花壇の「日比谷花壇ハナバナカード(HanaBanaCard)」、てもみんの「てもみんギフトカードDX」といった使いきりタイプがある。
また、何度も繰り返し金額をチャージできるリチャージタイプのカードを発行する企業も数多い。例えば、ユーシーシーフードサービスシステムズの「PRECIOUS CARD(プレシャス カード)」、カフェ・ド・クリエの「カフェ・ド・クリエカード」、レッドロブスターの「レッドロブスターカード」、どんの「DONSMILE CARD!(どんスマイルカード)」、WAVEの「WAVEカード」、カラダファクトリーの「カラダメンバーズカード」、イズミ/ゆめカードの「ゆめか」、俺カンパニーの「ORE’s CARD」「TAP BORROW?? CARD」などは、リチャージ機能に加え、ポイントや割引のサービスを組み合わせて顧客の囲い込みを図っている。
リチャージタイプで特に発行額が多いのが出光興産と出光クレジットが展開する「出光キャッシュプリカ」で、国内のプラスチックギフト・プリペイドカードの販売金額の約半数を占めているとの声もある。同カードは、出光SSで入金することでプリペイドカードとして利用することが可能だ。
国内のあるASP事業者の担当者は、「ギフトカードが普及した米国でも、サービスのスタート当初は8割が自己利用で残りの2割がギフト用途でした。日本においても、まずはプリペイドカードとしての認知が進み、その後ギフトカードとしての普及が始まると考えています」と説明する。
国内ではSuica、Edy、WAON、nanacoといった電子マネーの利用が広がりつつあるように、現時点ではギフトとしてよりも自己利用のほうが導入企業の理解を得られ、提案しやすい環境にあると考えているASP事業者も複数ある。
2010年年末に導入が急増したASP事業者も
イオンリテールが本格的なギフトカードモール事業をスタート
ASP事業者によると、2010年の年末以降、ギフト・プリペイドカードの導入企業が拡大傾向にあるという(各企業の取り組みについては日本カードビジネス研究会のNew Payment Report2011に詳しく記載)。
ギフト・プリペイドカードの導入が広がりつつある理由としては、他店舗で顧客のカード購入と同時にPOSレジでカードに金銭的価値の付与、カード発行企業の販売網の構築、販促施策の実施などを行う「ギフトカードモール事業」を展開する企業の増加が挙げられる。これまで国内では西友、ダイエー、ビックカメラ、ヤマダ電機、ヨドバシカメラ、HMVジャパンなどがギフトカードモール事業を展開している。
それに加え、2010年はGMS最大手のイオン、コンビニ最大手のセブン-イレブンでギフトカードモールの事業がスタートした。
特にイオンギフトカードモール「うれしーど」の展開に期待するASP事業者、カード発行会社は数多い。これまで、国内で展開されているギフトカードモールはデジタルコンテンツ系のカードが中心だったが、イオンリテールでは旅やグルメ、観劇、スポーツなど、数多くのギフト・プリペイドカードを集めた本格的なギフトカードモールを展開している。