Pax Japan、国内ニーズに応える決済端末やソリューションのフルラインナップとは?

2023年12月18日8:45

Pax Japanは、グローバルな決済端末ベンダーのPAX Technology製(以下、PAX)の製品を国内で展開する企業である。同社は、2023年12月6日、日本におけるソリューション展開と戦略を紹介するイベント「i3」(Industry,Influencer,Invite)を開催し、新製品を披露した。同社では新端末「A920  MAX」など決済端末のフルラインナップを揃えることで、ステークホルダーとの関係を強化し、国内市場でのさらなる成長を目指す。

国内でフルカテゴリー製品を包括的に提案
PAXがAPのPOI初、PCI SSCのBoAに任命

Pax Japanは、日本に進出してから6年目になる。年々順調にビジネスを拡大し、「リテールテックJAPAN2024」(2024年3月12~15日)では過去の出展よりも大規模なブース(12コマ)を出し、新製品も一般に披露する予定だ。Pax Japan 代表取締役 常山 宏彰氏は「今回の内容は日本市場に対する我々のコミット、それから製品をセキュリティも含めて日本市場に特化させていく覚悟、パワーアップしたPAXを感じ取ってもらえればと考えています」と話す。

Pax Japan 代表取締役 常山 宏彰氏

営業マーケティング本部長 弘中督久氏は、①日本におけるフルカテゴリー製品(PCI PTS 6.x)を包括的に提案する元年、②これまで構築してきたステークホルダー会社との関係強化、日本市場の期待に応える、③「グローバルトップベンダのPAXを表現する」、という3つを出展のポイントとして挙げた。

Pax Japan 営業マーケティング本部長 弘中督久氏

リテールテックJAPAN2024では、フルカテゴローの端末(モバイル・据置・UPT・ピンパッド・SPoC)展示に加え、端末情報連携サービス「MAX STORE」やグリーン・ソリューションを紹介する。また、「MAX STORE」の生みの親であるConor Devane氏のプレゼンテーション、国内パートナーであるNEC、エム・ピー・ソリューション、トランザクションメディアネットワークス、SB C&S、GMOフィナンシャルゲート、リンク・プロセシング、ネットムーブの製品・サービス紹介を予定している。「i3」にはリテールテックJAPAN2024を主催する日本経済新聞社のイベント事業部 部長 石井智章氏も招待されたが、「リテールテックJAPANにここまで情熱を燃やしていただき有難い」と感謝していた。

当日の大きなトピックとして、PCI SSC 日本アソシエトディレクターを務める井原亮二氏から、PCI SSCの諮問機関である「Board of Advisor(ボード・オブ・アドバイザ)」(以下、BoA)にPAXがアジア太平洋地域のPOIのソリューションベンダーとして初めて選ばれたことが紹介された。

PCI SSC 日本アソシエトディレクター 井原亮二氏

BoAはPCI SSCの組織内にあるが、外部の団体・企業で構成される諮問機関になる。アドバイザリーボードはPCI SSCのセキュリティ基準改定、バージョンアップに向けた作業において、意思決定に参加する重要な役割を担う。PCI SSCは国際6ブランドで構成されるエグゼクティブ・コミッティで基準を策定・管理することに加え、教育・啓蒙をしていくための非営利目的で設立されたオープンフォーラムだ。現在、PCI SSCには15のセキュリティ基準があるが、PCI DSSは割賦販売法の法律要件であるカード情報の適切な管理の要件に対応するための実務上の指針となっている。PCI基準にはDSS以外にもPIN入力を定めた「PTS」やCOTS(汎用端末)向けの「MPoC」などがある。PCI SSCでは、基準の策定にあたり、さまざまな業種や地域からバランスよく声をもらうことが重要であると考えているが、加盟店、ソリューションベンダー、イシュア(発行会社)アクワイアラ(加盟店開拓会社)といった金融機関、決済代行、サービスプロバイダなどのバランスを考慮してBoAをノミネートしている。BoAの任期は2年(2023-2025年)で、730のPCI PO(Participating Organization)から投票で54の組織が任命された。BoAは年に4回、対面やオンラインで会合し、特定の事案がある場合は別途会議をしている。

BoAの役割として730のグローバルなPOの代表であることに加え、PCI SSCの活動方針や計画に対して、ドラフトの段階で共有し、テクニカル、地域的、各業界からの知見を提示するストラテジックパートナーであることだ。また、新基準のリリースや基準改定への投票を行い、過半数の賛成が得られればリリースする。

PCI DSSについては来年、現行の3.2.1から4.0への移行期限を迎えるが、最高技術責任者 黄暁勇氏が11月15、16日に開催された「2023 PCI SSC Asia-Pacific Community Meeting」の参加報告を行った。同イベントに参加した感想として、PCI 基準に準拠したセキュリティ製品とサービスを展開しているため、「PCI SSCのBoard of Advisorになった意味が実感できた」という。また、「PCI DSS v4.0安全観点、取り組み考え方の再認識」「PCI SSCモバイルセキュリティ更新(PCI MPoC)などアーキテクチャーの更新」「人脈、ネットワークの構築」を挙げた。

Pax Japan 最高技術責任者 黄暁勇氏
Pax Japan マーケティングマネージャー 長瀬暁代氏がPAX Technologyも出展した「Singapore Fintech Festival2023」の報告を行った

グローバルな端末出荷台数は7,900万台強に
「MAXSTORE」の端末接続台数は800万台超

グローバル、および国内における決済端末の展開に関しては、弘中氏が紹介した。Pax Japanは、Linuxベースの国内コンビニ向け端末「Q 28」の導入を皮切りに、主力モデルとなったAndroidモバイル端末「A 920」を展開してきた。日本展開6年目を迎えた今年、Pax Japanは「第2の創業期」として、来年以降さらなる飛躍を遂げたいと考えているそうだ。

グローバルな実績として、2000年の創業以来、全世界への端末出荷台数は7,900万台を超え、世界120カ国以上で端末の導入・利用が可能だ。また、Android端末の年間出荷台数は世界一であるという。前述の「MAXSTORE」の端末接続台数は800万台を超える。PAXの純利益率や売上利益率は堅調に推移しており、2023年1~6月(上期)で660HK$ミリオン(日本円で122.1億円)となった。2023年の上期の売上として、アジア・パシフィック圏が13%を占める(中国本土は約5%)。「EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)やラテンアメリカで60~70%の出荷があります」(弘中氏)。日本は発展途上だが、Androidソリューションの取り扱いが増加している。

グローバル企業としての調達力が武器となり、コロナ禍で半導体不足が顕著になる中、PAXは各地域で売上を伸ばしている。日本でもプリント基板上の一部のチップ不足があったものの、販売への影響は軽微だったそうだ。

国内の製品発送時は梱包も意識
PCI PTS 5.xは2029年3月までサポート

日本向けに出荷するPAX製品は、主に部品調達および製品出荷を行う広州工場とメインボードの製造や製品組み立てを行うKLC(委託先工場)の2拠点を有する広州で行っている。日本向け製品は、KLC(広州柯洱斯電子)にてプリント基板の実装と、製品組立てを実施。KLCの前身はPKS(旭東電気の子会社)であり、日本企業による経営と管理を通じて高品質な製品製造を行ってきたという。

そのノウハウと人材は、現在のKLCに継承されている。広州で製造された製品は香港を経由してPax Japanへ出荷されるが、「日本は梱包も含めて製品」(弘中氏)と考える企業が多いため、Pax Japanで国内検品したうえで顧客に納品している。障害対応は、Pax Japanのテクニカルサポートチームにて一次対応、障害内容と数量に応じて深圳(ハードウェアサポート/カスタマーサービス)へセンドバックの上、改善・解決に向けた対応を図っているそうだ。

また、顧客サポートとして、「A920」現行機のEOL(ディスコン)でも顧客の声を参考に、市場で展開するユーザーが納得できる、充分なサポート期間を設定したという。現行のPCI PTS 5.xは2023年11月にEOLを通知し、2025年6月に最終注文、2026年3月に最終納品となるが、2029年3月までサポートを行う。

エリスシリーズは店舗経営・運営ソリューション
MAXSTOREで端末管理やアプリ追加が可能に

PAXでは「決済端末(PCI・EMVに関連する機器)」を展開しているが、同社のグループ会社であるZOLONが「MAXSTORE(SaaS)」および「Elys(エリス、店舗運営ソリューション)」をそれぞれ展開している。日本におけるMAXSTOREとエリスの展開は、Pax Japanが引き続き担う。エリスは、統一感のあるデザインとシームレスなプラットフォームが評価され、「Red Dot Award2023」と「iF Design Award2023」を受賞している。

また、MAXSTOREは、Android OSの性能と地理情報機能を活用した高度な端末情報連携サービスだという。直感的な操作を可能とするUI(ユーザーインターフェース)デザインと、決済端末向けのさまざまなアプリケーションを提供する「アプリストア」を組み込んでいる。導入企業は、端末ユーザーの用途やニーズに応じて、PAX端末にアプリケーションを追加的にインストールすることで、低コストで(開発時間・開発費用を節約した)サービスの実装が可能だという。

サスティナビリティに向けた取り組みは、4つの中核分野に整理し、事業戦略の1つとして組み込んでいる。その実効性を持たせるため、ESGに関する方針を策定し経営管理の一指標とし、2016年よりESGレポートを公表しているそうだ。

日本独自仕様も意識した「A920MAX」
「A6650」「A8700」「A960」「A35」…
エリスシリーズはエコシステムを形成

当日は、リテールテックJAPAN2024で披露される端末をいち早く紹介した。

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