2011年5月26日1:07
りそな銀行がJALのマイルが貯まるVisaデビットカードを発行
3つの機能を1枚に集約し質の高い会員の獲得を狙う
りそな銀行/日本航空/ビザ・ワールドワイド・ジャパン
りそな銀行は2011年5月25日から、日本航空(JAL)と提携し、「りそなVisaデビットカード一体型キャッシュカード〈JALマイレージバンク〉」(りそなVisaデビットカード〈JMB〉)の取り扱いを開始すると発表した。
決済機能+キャッシュカードで顧客接点を強化
年会費は初年度無料、次年度以降1,000円
りそなVisaデビットカード〈JMB〉は、りそな銀行が発行する「生体認証付ICキャッシュカード」、ビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)が提供する「Visaデビットカード」の機能、日本航空(JAL)が提供する「JALマイレージバンク」(JMB)の機能を一体化したカードである。同カードは、国内初のVisaデビットの提携カードとなる。
新たな決済機能をキャッシュカードにセットすることで、顧客との接点強化・口座利用による脱落防止を通じて顧客基盤の強化を図る。また、メガバンクなどに先行して国際ブランド搭載のデビットカードを発行することで、マスリテールにおける競争力を維持する目的もあるという。
年会費は初年度無料、翌年以降1,000円。りそな銀行 コンシューマービジネス部グループリーダー 小林祐治氏は、「年会費を設定することで量から質への転換を行い、他のカードとの差別化を図ります。りそなVisaデビットカード〈JMB〉は年会費に見合うだけの特典を用意しました」と説明する。
同カードは世界200カ国以上のVisaの加盟店においてショッピングを行うことが可能だ。利用限度額は1日50万円(J-Debitとの合算)。また、国内のATMはもちろん、世界に180万台以上ある「Visa」あるいは「PLUS」マークのついたATMで、預金口座から現地通貨での引出しができる。
マイルの原資はりそな銀行が負担
30~50代のサラリーマンがメインターゲット
利用者は、JALとの提携により、ショッピングの利用で100円につき1マイル、JALグループ便の航空利用で200円につき2マイルが貯まる。また、入会翌年度からは、期間中にショッピングの利用があれば、毎年もれなく500マイルを積算する。さらに、ツアーマイルが貯まり、1,000マイルからJALのツアー商品への特典交換ができるJAL「旅プラス」が自動でセットされる。なお、JALのマイルの原資についてはりそな銀行が負担している。
「2,000万人のJMBの会員に対し、JALと提携したサービスを提供することで、30~50代のサラリーマン層など、コアな会員の囲い込みを図ります」(小林氏)
りそな銀行とJALは2006年からポイント交換で提携している。日本航空 マーケティング本部 マイレージ部 次長 西田真吾氏は、「Visaデビットという新しい決済手段の提供により、我々としては既存の会員の利便性を高め、新しい会員をご紹介いただくチャンスだと思い、提携を行いました」と話す。
他行の発行における課題をもとに一部の決済で利用を制限
稼働する枚数の確保により採算性を確保
デビットカードは、ショッピングと同時に普通預金口座から即時に引き落とす「即時払い方式」の決済手段である。米国や英国においてはクレジットカードを凌ぐ成長を見せている。ビザ・ワールドワイド コンシューマープロダクツ ヘッド 外山正志氏は、「リーマンショック以降、グローバルでクレジットカードの成長はマイナスとなりましたが、それをデビットカードの伸びがカバーしています」と説明する。
これまで国内においては、スルガ銀行、楽天銀行、ジャパンネット銀行がVisaデビットカードのサービスを展開していたが、「日本を代表する金融機関であるりそな銀行がVisaデビットを発行することで、国内においても大きな一歩を踏み出しました」と外山氏は期待を口にする。
国内の一部の発行会社では、インフラの問題などから発行形態を見直したり、利用に制限をかけるケースも見受けられるが、「高速道路や携帯電話の利用料金など、リスクのあるところにつきましては、Webサイトで掲示するなどして利用に制限をかけています」とりそな銀行の小林氏は対策を語る。
りそな銀行とJALでは、「りそなVisaデビットカード<JMB>」の誕生を記念して、2011年5月25日から8月31日まで、入会者全員に500マイル進呈するとともに、期間中のショッピング利用に対して通常の2倍のショッピングマイルを進呈する「デビューキャンペーン」を実施する。
りそな銀行では、目標の会員数などは公表していないが、稼働する枚数を増やすことで、事業としての採算を確保していく方針だ。