2024年9月9日8:20
セブン‐イレブンはアプリで手軽に注文・決済できるデリバリーサービス「7NOW」で、焼き立てピザの配送に乗り出した。食品や日用品など店舗で扱う約3,000品目を最短20分で届ける「7NOW」にピザを加えることで、同サービス全体の底上げを狙う。撤退も含め他のコンビニやネットスーパーの宅配が苦戦する中、採算が難しいとされるコンビニデリバリーの成功にいかにつなげるのか。
記事のポイント!
①「7NOW」は24年度中に全国展開へ
②コード決済とクレカに対応、ウーバーイーツで配送強化
③コンビニのECやデリバリーは苦戦続く
④ダークストアは利益率の低さで撤退相次ぐ
⑤需要が減少気味の中、今後の手腕に注目
■ピザをフックに「最短20分配送」でアプローチ
「7NOW」は専用アプリやWEBサイトから注文すると近くの店舗が商品を届けるサービスで、受付から配送まで最短20分という迅速さが特徴だ。2024年8月には関東圏や関西圏、九州、北海道など約1万6,000店舗にサービスを導入しており、24年度中に全国展開につなげたいという。
昨今では「タイパ志向」の広がりに伴い、揚げ物など店内で調理しすぐに食べられる商品が順調に推移。スマホアプリによる注文がメインのため、利用者層も20~40代と実店舗よりも若い。
そこで新商品として24年7月から投入されたのが、デリバリーと相性がよいパワーアイテムのピザだ。2月に新コンセプト店として刷新した千葉県松戸市の「SIPストア」でテスト販売を始め、2種類のピザを「7NOW」で扱うことになった。店舗に冷凍で届いたピザをオーブンで焼き上げすぐに届けるため、“焼きたて”が訴求ポイントだ。
ピザを頼む際に飲み物やサラダ、スイーツなどのサイドメニューをはじめ、食品や日用品といったついで買いが発生することを期待。ピザをフックに、購入単価のアップを見込む。
■専用アプリで決済、セブンマイルも貯まる
「7NOW」の注文は、23年9月から配信を開始した専用アプリやWEBサイト経由で行う。アプリでの支払い方法は「クレジットカード」「PayPay」「au PAY」「d払い」だが、WEBサイトでは不正利用対策としてクレジットカードは使えない。セブン&アイグループ共通の「7iD」でログインすれば、「nanaco」ポイントも利用できる。
決済すると「nanaco」ポイントが貯まるほか、「7iD」保有者ならばセブンマイルも貯まる。「7NOW」アプリでは初回注文時に配布されるクーポンや「7」の付く日に配布のクーポンなど、定期的にクーポンを発行している。
最短20分というクイックコマースである「7NOW」の迅速さを担保するには、配送業者の確保が優先事項となる。配送業者はエリアごとに異なるため公表はしておらず、地場で強い事業者との協力体制に加え加盟店自身の配送も受け入れていくようだ。
ただ、迅速配送可否のカギを握っているのは、「ウーバーイーツ」の配達ソリューションである「ウーバーダイレクト」だ。ウーバーイーツの配達ネットワークを活用し、パートナー企業が自社サイトやアプリで販売する商品を短時間で届ける仕組みを構築。23年10月には、「7NOW」へのサービス提供を本格化したと発表している。
これまでセブン‐イレブンの商品は、飲食店や他のコンビニが利用するウーバーイーツや出前館などのフードデリバリーサービスでは注文できなかった。「7NOW」の導入によりデリバリーが実現したことは、セブンファンにとって朗報といえよう。
■コンビニのECやデリバリーは苦戦
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