2024年10月22日12:14
大日本印刷(DNP)は、2024年10月18日にアジア太平洋地域でデジタルアイデンティティ(ID)に関する事業を展開する企業と共同で、信頼性の高い個人の属性・学歴・資格・職歴などのデジタルIDの安全・安心な流通を目指す「Asia Pacific Digital Identity Consortium」(APDI)の設立に向けた基本合意書を締結した。
近年、生成AI等の技術の急激な進展や国際交流の活性化をきっかけの1つとして、データの改ざんや漏洩、なりすましなどのプライバシーリスクが社会的な課題となるなか、より安全・安心なデータ流通が国際的に求められている。アジア太平洋地域でも、信頼性の高いデジタルIDを安全・安心に活用したいというニーズが高まっている。しかし、アジア太平洋地域では多様な文化や言語が共存していることもあり、デジタルIDに関して各国・地域で異なるシステムの採用やインフラの未整備などの課題があり、また、国際間での生活者のプライバシー保護の厳格化や情報確認の迅速化を進める必要もあった。
このような課題の解決に向けてDNP等は今回、各社が提供するデジタルID関連のソリューションを通じて、多様なアジア太平洋地域の国・地域や人々を信頼でつなぎ、多様な課題やニーズに対応することを目指してAPDIを設立に向けて基本合意書を締結した。
APDIでは、アジア太平洋地域の各国・地域でデジタルIDの普及促進、統一した技術や運営の際の要件等をルールとして定めたガバナンスの確立などを目指す。国境等を越えて相互運用できるようにし、信頼できるデジタルIDの経済圏をアジア太平洋地域で構築していく。
また、APDIは、政府、民間企業、国際機関と積極的に連携し、アジア太平洋地域間でのユースケースの創出を目指す。APDIに参画する企業は、連携してデジタルID関連のソリューションを開発し、それらを活用したユースケースを広く共有していくそうだ。先行してデジタルIDの技術仕様や活用の検討が進む欧米圏と並んで、アジア太平洋地域でのデジタル経済の構築につなげる。
さらに、異なる国・地域、プラットフォームの間で利用可能なデジタルIDを構築し、アジア太平洋地域の生活者の利便性の向上を目指す。これにより、観光・就学・就労などの渡航先での個人情報確認に要する時間を大幅に短縮し、利便性を高める。デジタルIDの利用促進により、各国・地域のデジタルインフラ環境に依存せず、誰もがデジタルテクノロジーを安全・自由に活用できる”デジタルインクルージョン(包括)”を推進するそうだ。
APDIに参画する企業は、アジア太平洋地域の政府、民間企業、国際機関と連携し、各国・地域横断の実証実験の2025年下期の実施を目指すという。また、2026年以降には、デジタルIDに関する経済圏構築を目指すそうだ。
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ペイメントナビ編集部
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