“ショッピングにおける不正ゼロ”に向けた 「au PAY マーケット」のサイト健全化の取り組みについて(auコマース&ライフ)

Facebook
X

2025年11月21日8:00

「au PAY マーケット」は、“ショッピングにおける不正ゼロ”の実現を目指し、安全対策を全面的に強化。生成AIによる模倣品検知の高速化 、不正レビューの監視強化 、各決済手段を対象とした不正利用対策、出店店舗の品質向上支援などを通じて、お客さまがより安心・安全に買い物ができる環境を構築している。その詳細について解説する。(2025年10月16日開催「ペイメント・セキュリティフォーラム2025 fall」の講演より)

auコマース&ライフ株式会社 CX推進本部 本部長 玉木 伯岳(のりたか)氏

不正対策の5つの取り組みを推進
加えてカスタマーサービスにも注力

私どもKDDIグループのauコマース&ライフでは、「au PAY マーケット」というオンラインショッピングモールを運営しています。昨今、オンラインショッピングにおける不正行為が多発している中、「au PAY マーケット」では“ショッピングにおける不正ゼロ”を目指しています。その取り組みについてお話ししたいと思います。

私はauコマース&ライフのCX推進本部の責任者をしております。具体的な領域としてはエンドユーザーのカスタマーサポートですとか、出店店舗のサポート。それから今日のお題目でもありますサイト健全化、不正抑止に取り組んでおります。

「au PAY マーケット」はもともと株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)のEC事業から始まっておりまして、そこからKDDIに事業譲渡されて現在に至っております。私自身も以前はDeNAにおりまして、決済代行サービスを行う子会社に出向していた経験があります。auコマース&ライフでも決済関連の業務に携わってきており、数年前には、この規模のモールでは珍しく、決済代行のリプレイスを経験しました。これはちょっと大変なプロジェクトでした。

auコマース&ライフはKDDIの100%子会社で、「au PAY マーケット」の企画・運営をしております。「au PAY マーケット」は総合ショッピングサイトとして、日用品やグルメ、家電などいろいろな商品を販売していますが、特色としては、auブランドの名を冠していることから、お客さまに安心・安全なお買い物体験を提供することをめざし、サイト健全化、不正抑止ということに非常に力を入れています。

それ以外にカスタマーサービスにもかなり力を入れております。今年の5月に生成AIを使ったエンドユーザー向けのチャットボットを商用リリースするなど、サイト健全化、不正抑止、カスタマーサービスに非常に力を入れています。

先日弊社では、9月30日に、不正ゼロを目指す2025年上半期の「安心・安全への取り組みレポート」について、プレスリリースを発表させていただきました。オンラインショッピングにはどうしても不正が付いて回ります。私どもは不正ゼロを目指す、ユーザーの被害を防止するということを掲げて取り組みを進めておりますので、今日はこのプレスリリースの内容を補足するかたちで、5つの取り組みをご紹介させていただきたいと思っています。

EC拡大にともなって不正も拡大
加盟店とともに不正対策を推進

まずはじめに、ECを取り巻く不正の現状について簡単にご説明いたします。ECの市場規模は毎年10%ぐらいの割合で伸び続けています。日本だけでなく世界的に見ても、右肩上がりで伸びています。一方でクレジットカードの不正利用は、ECの市場規模の伸びと同じように増え続けているという残念な状況にあります。

ECサイトでの買い物にはトラブルが発生しがちです。決済関連のトラブル以外にも、ブランド品を注文したはずなのに偽物が届いたというような模倣品の被害や、ステルスマーケティングのような、やらせ注文、不正レビュー、さくら行為のようなものも増えてきています。お客さま、店舗さま、モールそれぞれに被害が出ているというところで、これをどう防いでいくかが課題となっています。

そういった状況の中で「au PAY マーケット」がどうやってサイトの健全化を目指すのかというところで、われわれは不正ゼロに向けた5つの取り組みを推進しています。

お客さまが安心してお買い物ができる環境を提供することが、われわれのミッションです。このあたりのことは、これまでは人手で、人力で、がんばってきました。昨今はテクノロジーが非常に進化して、生成AIのようなものも登場してきましたので、われわれはこの生成AIを使いながら、専門スタッフの知識も組み合わせたハイブリッドなかたちで独自の監視体制をつくり、不正ゼロに向けた取り組みを進めています。

この取り組みをしっかりお客さまにお伝えすることが大事だと思っておりますので、半期ごとに「安心・安全への取り組みレポート」を公開しています。最新のレポートが9月30日に出ておりますので、その内容をお伝えしたいと思います。

不正ゼロに向けたスローガンというところでわれわれが掲げているのが、「共に創る不正ゼロの安心と信頼のプラットフォーム」ということです。「共に創る」というところが大事なキーワードです。オンラインショッピングのプラットフォームというのは、モール事業者だけががんばっても多々不足の部分が出てきます。不正ゼロのプラットフォームを目指すには、モールを盛り上げてくださっている出店店舗さまのご協力が不可欠です。さらにはテクノロジーを使って運用でがんばるだけでなく、不正を未然に防ぐことが大事です。仕組みのところで不正をカバーしていくことが重要になると思っています。

模倣品販売をAIで阻止
不正レビューを見破り、削除

今日ご紹介する5つの取り組みのうちの1つ目、生成AI活用と権利者連携で模倣品対策を強化、というところについてご説明いたします。

オンラインで販売されている商品は、モノが届くまで現物を確認することができません。われわれのサイトにも、過去には模倣品が出品されたことがありました。模倣品の出品により購入したお客さまが被害を被るのは当然のことながら、健全な運用をしている店舗さまの被害も大きい。模倣品というのはだいたい本物より安い値段で売られているので、お客さまはつい惹かれて買ってしまいます。これが正当な商品を扱っている店舗さまの流通に損害を与えますし、正当なブランド権利者にも迷惑がかかることになります。

これまで模倣品を扱うサイトのチェック、商品のチェックは、専門スタッフがすべて1点1点人手で行っていたのですが、膨大な時間がかかるのと、見逃しが出てきてしまうという課題があったため、2025年上期に模倣品を検知するAIを独自に開発して導入しました。チェックの対象商品は100万品以上あり、これをAIが非常に速いスピードでチェックして、模倣品の疑いのある商品を抽出します。これを、今は最終的に人間がチェックしていますが、将来的には完全自動化も検討しております。現時点においても模倣品の審査業務の生産性は700%、つまり7倍向上しています。

最も重要なのは、偽物を検知したらそれをすぐ出品停止にすることです。出品し続けていると、ユーザーが購入してしまう可能性があるからです。AI活用によって出品停止までの時間が10倍短縮できたという事例があります。さらに、ブランド権利者やメーカーとの連携を強化し、情報連携をすることで、審査精度を向上させています。

長年この業務を行ってきて知見を蓄えてきたわれわれにとっても、1~2年前には不正検知をAIに任せて自動で行うということには思いが至りませんでした。現実には生成AIの進化が非常に速く、思いきってチャレンジしてみたところ、意外に大きな成果が上がりました。かなり高い精度が実現できましたので、現在、これを使った本格運用の検討を進めているところです。

2つ目が、やらせ・不正レビュー対策です。いろいろなモールが力を入れて取り組んでいる領域です。皆さまもオンラインで商品を購入するときに、どんな感想が寄せられているのか、星がいくつ付いているかといったレビュー情報を参照されていることと思います。ここが重要なマーケティングにもなるということで、ごくごく一部の店舗さまがいわゆるやらせの注文をして自作自演のレビューを投稿するケースがあります。これはお客さまの商品選びに支障をきたしますし、健全な運営をしている店舗さまにも迷惑がかかるということで、強い取り締まりをしています。

これについては今モールで、AIといえるレベルのものではないのですが、監視システムを刷新して、機械的に検知して削除する施策を行っています。削除の基準も以前よりかなり厳しく設定し直しました。2024年以降、30万件以上の不正レビューを検知、削除。不正レビューの発生件数は前年比で80%減少。不正レビューをするには不正注文をしなければならないわけですが、不正注文も同じように80%削減しております。以前はやらせ注文は前払いの銀行振込が多かったのですが、最近は堂々とクレジットカードを使うようなケースも増えていますので、そのあたりにも注目して不正対策を進めているところです。

3DS必須化でチャージバックがほぼゼロに
AIと人のダブルチェックで安全体制を徹底

3つ目が決済手段の審査対象の拡大です。冒頭にも申し上げたようにクレジットカードの不正決済は増加傾向にあります。オンラインショッピングモールは、チャージバックが発生すると店舗さまに非常にご迷惑をおかけしてしまいますので、日々不正撲滅の抑止に奮闘しています。

以前から不正決済を撲滅するという観点で、AIによる決済時の不正検知システムを導入していたのですが、これに加えて「au PAY マーケット」に出店している店舗さまには、2023年10月から3DS 2.0の導入を必須化とさせていただきました。結果的に店舗さまのチャージバックを99%削減いたしました。99%といっても、チャージバックは非常に特殊な場合以外には発生しない状態になっていますので、ほぼ100%なくなったと考えていただいて問題ありません。

3DS 2.0以外のところにもAIの不正検知システムの活用を拡げています。クレジットカード以外の決済手段、たとえばキャリア決済や前払いの決済手段というところにも、AIを活用した不正検知システムを導入しています。ただしAIにすべて任せているということではなく、AIと専門スタッフによって24時間365日体制でモニタリングしています。

このコンテンツは会員限定(有料)となっております。
詳細はこちらのページからご覧下さい。

すでにユーザー登録をされている方はログインをしてください。

関連記事

クレジットカードのおすすめランキング
調査・クリエイティブなどで豊富な実績

ペイメントニュース最新情報

「お金の流れを、もっと円(まる)く」決済ゲートウェイ事業のパイオニアとして、強固なシステムでキャッシュレス決済を次のステップへと推進します。(ネットスターズ)
TOPPANの決済ソリューションをご紹介(TOPPANデジタル)
ポータブル決済端末、オールインワン決済端末、スマート決済端末、新しい決済端末3製品をリリースしました(飛天ジャパン)

国内最大級のクレジットカード情報データベース(アイティーナビ)

複数店舗・施設をつなぐ、柔軟なポイント管理システム「VALUE GATE」(トリニティ)
クレジットカード不正をはじめとした不正対策ソリューション「ASUKA」を提供(アクル)
決済を超えたソリューション を。PCI P2PE 認定国内実績 No.1の「確かな信頼」を提供 します(ルミーズ)

Spayd スマートフォン、タブレットがクレジット決済端末に!(USEN FinTech)

メタルカードのトップサプライヤーが提供する高意匠性のカード(KONAジャパン)

非対面業界唯一!!カード会社とダイレクト接続により、安心・安全・スピーディーで質の高い決済インフラサービスを提供。Eコマースの健全な発展に貢献する決済代行事業者(ソニーペイメントサービス)

国内最大級の導入実績を誇る決済代行事業者(GMOペイメントゲートウェイ)

電子マネー、クレジット、QR・バーコード、共通ポイントなど、多数のキャッシュレス決済サービスをワンストップで提供(トランザクション・メディア・ネットワークス)
BtoCもBtoBも。クレジットカード決済を導入するならSBIグループのゼウスへ。豊富な実績と高セキュリティなシステムで貴社をサポートいたします。(ゼウス)
多様な業界のニーズに対応した、さまざまなキャッシュレス・決済関連サービスを提供する総合決済プロバイダー(DGフィナンシャルテクノロジー)
決済業務の完全自動化を実現する「Appian」とクレジット基幹プラットフォームを合わせてご紹介!(エクサ)

DNPキャッシュレス 決済プラットフォームをご紹介(大日本印刷)

PAGE TOP