2011年8月22日8:46
駐車場の利用でポイントが貯まる「タイムズクラブ」
カーライフを支えるサービスとして機能を続々と拡充
時間貸駐車場最大手のパーク24は、同社グループが展開する「タイムズ」の利用でポイントが貯まる「タイムズクラブ」の運営を行っている。駐車場業界において、ITを活用した会員制ポイントプログラムは初の導入となり、カーシェアリングサービスやレンタカー、オンラインショッピングサイトの利用でもポイントを貯めることが可能となっている。
パーク24
会員数は350万人を突破
年間50万人ペースで増加
パーク24では、2003年3月に時間貸駐車場「タイムズ」の利用でポイントが貯まる独自の会員制サービスである「タイムズクラブ」(入会金・年会費無料)の運営を開始した。
会員は全国のタイムズの駐車料金精算時に磁気式のポイントカードである「タイムズクラブカード」を精算機に挿入するだけで、100円につき1ポイントが付与される。また、カーシェアリングサービス「タイムズプラス」の利用やカー用品通販の総合サイト「タイムズカーライフ」でのカー用品購入時などでポイントを貯めることも可能だ。さらに、2011年7月からは、全国のマツダレンタカー店舗におけるレンタカー利用金額に応じてタイムズポイントを付与するサービスも開始している。
会員は貯まったポイントを、駐車サービス券であるタイムズチケットやJALマイル、Visaの商品券、交通遺児育成基金への寄付などに交換できる。同社ではその中でもタイムズチケットの交換ラインアップに重点をおくことで、再びリピータとしてタイムズを利用してもらうことに力を入れている。
現在、タイムズクラブの会員数は350万人を突破。会員数は毎年50万人ペースで増えている。タイムズの駐車場は2010年だけでも5万2,000台増えており、その伸びとともに会員数は堅調に推移している。同社では駐車場の新規オープン時などに、FFP(フェース・トゥー・フェースプロモーション)を実施。また、精算機にハガキなどを設置し、積極的に会員を募集している。
会員の過去の利用実績からターゲットメールを配信
商業施設の販促にも会員データを活用
タイムズの駐車場では1日約100万件の利用があるが、同社では、タイムズにおける会員の利用比率を高めるために、データ分析にも力を入れている。タイムズクラブの会員の中には、何度も同じ駐車場を利用するヘビーユーザーも多く、「収益の多くはそういった会員の方々に支えられています」とパーク24 業務推進本部 情報管理部 部長 鵜池太郎氏は説明する。実際、タイムズクラブ会員は、月々の利用金額や稼働率が高いという。
同社では、過去のタイムズの利用実績などをベースに会員のセグメントを行い、メールマガジンの配信を行っている。
「例えば、新規の駐車場がオープンした場合、過去その近くのタイムズを利用された会員へメールを送り、利用を呼び掛けています。また、会員の方が過去3カ月間に利用したタイムズが閉鎖になる場合、その近隣の駐車場をご紹介するなど、セグメントごとにメール配信を行っています」(鵜池氏)
最近では、同社が駐車場を管理しているショッピングセンターやスーパー、ホテルなどと連携した取り組みにも力を入れている。
「例えばスーパーに車で来店される方は、重たい荷物も運ぶことができるためスーパーでの客単価が高いです。そのため、過去の利用履歴からスーパーに来店したことのある会員を抽出し、各店舗と協調してセールのご案内などをメールで配信しています。来店客をセグメントできるため、チラシのばら撒きなどに比べると反応率、満足度は間違いなく高い結果となります」(鵜池氏)
また駐車場の管理を行っている横浜ベイシェラトンホテル&タワーズとは、タイムズクラブ会員が施設を利用すると優待価格で施設を利用できるサービス券をポイント交換するキャンペーンを期間限定で行ったこともあった。
Suica・PASMOでポイントが貯まるサービスも実施
電気自動車の認証用途としての利用も検討
2010年9月28日からは、JR東日本が発行する電子マネー「Suica」を用いてタイムズの決済を行うと、自動的にタイムズポイントが付与される「Suica ID番号登録サービス」を、Suica決済対応のタイムズで実施。現段階で1万5,000人強の登録がある。また、2011年7月20日からは、Suicaと相互利用を行うPASMOを利用した「PASMO ID番号登録サービス」も開始している。
「鉄道と自動車は移動手段としてお互いに補完できる関係にあります。弊社でも駅近くの駐車場に車を止めて、公共の交通機関を利用するパーク&ライドなどの取り組みを行っていますが、交通ICカードが1枚あれば、タイムズクラブカードを用意することなく、SuicaやPASMO決済と同時にポイントを貯めることが可能になります」(鵜池氏)
新たな会員サービスとしては、特定のタイムズにおいて、カードを挿入するだけで優待料金でタイムズを利用できる取り組みも全国150物件で行っている。
同社ではカーシェアリングやレンタカーでもタイムズポイントが貯まるサービスを実施しているが、「例えば、レンタカーを利用した方に、タイムズの駐車場に駐車いただくなどしてグループが提供するサービスでポイントがたまりやすい仕組みを考えていきたい」(鵜池氏)としている。また、グループ会社のレスキューネットワークが運営するロードアシストサービスにおいてもタイムズクラブ会員が享受できるサービスを検討する方針だ。さらに、同社では電気自動車(EV)向け充電システムの設置も行っているが、タイムズクラブと同社のビジネスカードである「タイムズビジネスカード」を認証用途に利用する実験も開始している。
タイムズクラブの稼働率については非公表だが、「流通店舗などで一般的に発行されている無料のポイントカードなどに比べて、高い稼働率がある」そうだ。同社ではデータ分析に力を入れ、自動車に付随したサービスを拡充することで、会員の稼働率をさらに高めていきたいとしている。