2011年9月6日8:00
クレジットサイン伝票の電子化サービスを共同利用型システムで提供
ららぽーとマネジメントは業務を大幅に効率化
NTTデータでは、クレジットカードでの支払い時に必要なサイン(署名)用伝票を電子化する共同利用型サービス「CAFIS伝票保管サービス」を展開している。すでにららぽーとマネジメントが同システムを運用しており、国内のクレジットカード会社公認の共同利用型のシステムでサイン用伝票の電子化が行われた初の事例となった。
ディベロッパーはテナントからの伝票回収が不要に
サインパッドは書き心地の良さと耐久性の高さが特徴
従来、サイン(署名)用伝票を電子化するシステムは、米国や韓国などで商用サービスが行われている。NTTデータでは、国内の加盟店が同サービスを導入することにより、紙の伝票を削減することで企業のエコ活動に役立てることができると考え、ソリューションの開発をスタートした。NTTデータ 第一金融事業部 カード&ペイメント事業部 ビジネス企画担当 課長代理 長谷川恵美氏は、「当初はエコの観点から取り組みをスタートしましたが、サイン伝票をなくすことにより、商業施設などの加盟店の業務が大幅に効率化できることが見えてきました」と説明する。
実際、ららぽーとマネジメントでは、サイン伝票にまつわるレジオペレーションミスの軽減や業務効率化を目指し、「CAFIS伝票保管サービス」を導入している。
ららぽーとマネジメントでは、同システムの導入前、クレジットカード決済時のサイン伝票の管理業務については、膨大な枚数の伝票を商業施設内の各テナントから回収し、1枚1枚顧客のサインをチェックしたり、整理して倉庫へ保管したりと、非常に多くの作業が必要だった。
「商業施設は、サイン伝票を電子化することで、毎日の伝票の回収やチェックがなくなるため、業務を大幅に効率化できます。また、テナントとしても伝票をまとめてディベロッパーに提出し、書類を記入する作業などが不要になります」(長谷川氏)
NTTデータは、システムの提供に向け、数多くのサインパッドを検証し、解像度や耐久性などを検証した結果、国内メーカーのワコムが提供するサイン入力専用液晶ペンタブレット「STU-300」を採用した。
「日本人がサインする場合は漢字で書かれることが多いため、きれいに署名することが必須条件になりますが、書き心地の良さと耐久性の高さなどの性能については、カード会社や加盟店から高い評価をいただいています」(長谷川氏)
伝票の情報は7年間保管
管理画面上のデータもカード番号を暗号化
ららぽーとマネジメントでは、7月8日に三井アウトレットパーク マリンピア神戸から導入を開始しているが、テナント店舗の担当者も「ロール紙にサインをする場合は、紙を伸ばしてサインをする作業が必要でしたが、この仕組みならばそういった手間も必要なくなります」とコメントしている。
また、一定の決済金額以下の場合は、サインレスの取引も行われているが、同取引に関しても伝票の保管を一括して行っている。伝票の情報は、個人情報保護法などに基づき、NTTデータが共同利用型で提供する保管センタで7年間にわたり保管する。加盟店には保管した電子データを伝票イメージで閲覧できる検索サイトを提供し、伝票確認や、カード会社への伝票提出業務もサポートしている。
加盟店は、管理画面から伝票情報を閲覧できるが、「利用者のカード番号はPCI DSSの基準に則り、暗号化を行っており、商業施設側では参照ができなくなっています。利用者の情報については、マスキングされていない部分のカード番号、時間、顧客の氏名などで検索が可能です」と長谷川氏は説明する。
加盟店の要望によっては、カード会社控えと加盟店控えの両方を電子化することができるため、伝票の出力自体をなくすことも可能だ。さらに、ICカードの取引が行われた場合でも伝票を保管することができるという。
数億円の売り上げを目指す
加盟店の決済に関わる業務をクラウド環境で提供へ
現在はPOSの加盟店に対しての営業を優先しているが、CCT端末については、日本クレジットカード協会(JCCA)の規定で、「カード会社控え」「加盟店控え」「お客様控え」の3枚を出力することが記載されているため、「そういった点からの変更が必要ですが、実現へむけて提案を行っていきたい」(長谷川氏)としている。
加盟店が同システムを導入する場合、月額の基本料と伝票の保管料、サインパッドの購入費が必要となる。ららぽーとマネジメントの成果を踏まえ、複数の商業施設が導入を検討しており、NTTデータでも数億円の収益を目指し、営業を行う予定だ。また、今回のシステムをはじめ、加盟店の決済に関わる業務をクラウド環境で提供することにより、本業をサポートしていきたいとしている。