2012年1月12日8:00
PCI DSS Version2.0準拠企業に聞く~(6)デジタルガレージ イーコンテクストカンパニー
PCI DSSの要件以上のセキュリティレベルを目指す
システムの強化を積極的に行い、仮想化にもいち早く対応
デジタルガレージ イーコンテクストカンパニー
デジタルガレージ イーコンテクストカンパニーは、クレジットカード、コンビニ決済、電子マネーなど、幅広い決済手段を取り扱う決済代行事業者だ。同社では2008年にPCI DSS Version1.1、2009年にVersion1.2に対応。2011年11月にはVersion2.0に準拠し、4年連続でPCI DSSに遵守している。
「Version2.0の審査については、1.2までと比べ、特別難しくなった箇所はありませんでした。ただ、弊社ではカード会員情報のお預かりサービス、洗い替えサービスなど、サービス機能の拡充を随時行っており、新たなシステム対応が必要になった部分がありました」(デジタルガレージ イーコンテクストカンパニー システム本部長 張替英明氏)
すでに仮想環境下での運用も行っているが、データの棲み分けをしっかりと行うことで、QSA(認定セキュリティ評価機関)からの指摘事項もなかったそうだ。予備審査は特になく、代替コントロールについても前年同様の箇所で適用している。
「仮想化については、プライベートクラウドに近い形式で運用していますので対象範囲が広がったとは思っていません。OSのカウントは増えていますが、監査の対象であることを認識して設定しているため、特に問題はありませんでした」(張替氏)
唯一気を使ったのが、要件6の脆弱性診断において、Windows、UNIXなどの対象環境に応じたリスクランク付けのアプローチが要求された点だ。この部分は、2011年の審査ではベストプラクティスのため、自社でルール付けを決めて暫定的に対応を行った。
同社では、PCI DSSの要件以上のセキュリティレベルを維持するために、データセンターの増設やセキュリティ製品の導入を積極的に行っており、システム運用上の人的な対応負荷は増しているそうだ。
「弊社では、業務の拡大に伴い、カード番号を紙で扱うことが増えたため、ファシリティ環境の変更、セキュリティゾーンの設置、監視カメラの増設などを行っています。そのため、PCI DSSの審査においても対象範囲は増えています」(張替氏)
例えば、PCI DSSの要件6では、現状、脆弱性診断を実施しているが、WAF(Web Application Firewall)を設置し、準備を進めている。また、変更管理の仕組みを導入しているが、サービスの拡大に伴い、対象範囲を徐々に広げているという。
「特にログの監視については、人が従事せざるを得ないので運用面の負荷がかかってきます。PCI DSSを含め、セキュリティ対策に関する日々の運用は大変で、コストもかかりますが、必要であると認識して対応を行っています」(張替氏)
なお、Version2.0の対応の際は、社内のセキュリティフォーマットを見直す目的もあり、コンサルティング企業の支援を受けている。
デジタルガレージでは、今後もPCI DSSの対応を含め、情報セキュリティの維持・向上に取り組み、同社サービスを利用する加盟店にとって、安心・安全かつ利便性の高いサービスの提供を目指していく方針だ。
2009年の更新審査の記事は下記になります。
https://paymentnavi.com/pcidss/76.html