2012年7月18日0:00
「通販市場を楽しく学ぼう!」第ニ回
「通販業務と債権管理で異なる“優良顧客”の定義」
一般社団法人 通販エキスパート協会 渡辺友絵
ご無沙汰しております!4月からこのコーナーにコラムを書かせていただいている通販エキスパート協会の渡辺友絵です。おかげ様で、第3回目の「通販エキスパート検定」試験も5月27日に無事に終了いたしました。
今回は東京・大阪・熊本・高知に一般会場を設けたほか、各企業様の自社会場をお借り
した団体受検を実施。「3級」「2級」「準1級(法律編)」を合わせ、前回を超える1040人の受検者を集めることができました。今年から導入した「準1級(法律編)」はかなり難しかったにもかかわらず、合格率が68%と高水準で驚きました。12月初旬にはまた団体受検を開催いたしますので、よろしくお願いいたします。
今回のコラムは中級レベルの「2級」から出題したいと思います!クレジットカード会社様にはとても身近な「債権管理」の問題です。
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「通販業務と債権管理で異なる“優良顧客”の定義」
Q:通販債権管理の観点から顧客セグメントについて正しいものを1つ選べ。
1) 優良顧客とは、短期間に大量に消費してくれる顧客である。
2) 優良顧客とは、支払期日までに自ら支払いを行う意思のある顧客である。
3) 悪質顧客には、いくらコストをかけても債権を回収すべきである。
4) うっかりや失念で支払いがない顧客は悪質な顧客である。
通販で言う「優良顧客」とは、一般的に「R(recency=直近購入日)・F(frequency=購入頻度)・M(monetary=購入金額)分析」の合計ポイントが上位の人を指します。ところが債権管理から見た「優良顧客」とは、支払期日までに自ら入金を行ってくれた顧客となります。大量に買ってくれたとか、たくさんお金を使ってくれたとかいう「RFM」による分析結果よりも、支払期日までに「入金」したかどうかが優先するわけですね。
債権管理で顧客セグメントを考える場合、大きく4つに分類ができます。先の「優良顧客」のほかに、支払い意思はあるが支払いまでに督促などコストがかかる「顧客」、支払い意思はあるが支払う原資がない「不良顧客」、初めから支払い意思がない「悪質顧客」に分けられます。
このうち、電話や書面の督促などで回収コストをかけるべきなのは「顧客」と「不良顧客」です。たとえ少々支払いが遅れても、顧客本人に支払う意思があることが大事なのですね。一方で、「悪質顧客」にはいくらコストをかけても入金してくれる可能性は低いため、ある程度まで督促したらあきらめた方が賢明ということです。
こういった支払い意思がない悪質顧客やアクセス不能な顧客に対しては、一定の時点で損金処理を行います。この仕組みづくりを「償却管理」と言いますが、目安としては受注時から数えてだいたい2年経った頃となります。
重要なのは、このような悪質顧客を早期発見し、販売を見合わせたり先払いを導入するといった体制を社内で整えておくこと。通販業界には金融業界のような情報センターが存在しないため、過去の顧客履歴情報を収集したり事前電話確認を行うなどの対抗措置を講じておくことが不可欠ですね。
ということで、解答は2)となります。ではまた次回をお楽しみに!
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