2012年10月30日8:00
「Visa payWave」「MasterCard PayPass」のカード発行と加盟店開拓を開始
NFCスマートフォンを活用し、会員に新たなサービスを提供へ
三井住友カードは、近距離無線通信の国際標準規格であるNFCに準拠したEMV決済サービス「Visa payWave」および「MasterCard PayPass」の、カード会員向けサービスおよび加盟店向けサービスを開始すると発表した。同社では、家電量販店やホテルなどに読み取り端末を設置して2012年内に加盟店サービスのトライアルを行い、2013年前半を目処にNFCスマートフォンへのカード発行をスタートする予定だ。
電子マネー加盟店にNFC対応のRWを設置
加盟店向けサービスのトライアルを2012年内に開始
「イシュイング(カード発行)の観点からみると3キャリアがNFC搭載のスマートフォンを発売することを1つのタイミングとして捉えていました。アクワイアリング(加盟店開拓)については、加盟店が新たに電子マネーを導入する際や、すでに導入済みのRWを更改する際にNFCベースのサービスも導入できるように準備をしておきたいと考えました」(三井住友カード IT戦略事業部 IT開発室 部長代理 秋田篤志氏)
NFCは、FeliCaやTypeA/B規格と上位互換がある近距離無線通信の国際規格である。国内でもNFCを搭載したスマートフォンが今後増えていくと見込まれており、TypeA/B規格を採用したサービスの普及が期待されている。
「日本のお客様が海外でVisa payWaveやMasterCard PayPass決済を利用できるようになることと、海外からお越しになられるお客様が国内の加盟店で利用できるようになることがこのサービスのポイントと考えています。国内でもスマートフォンを活用したビジネスに関心のある加盟店様は多く、今後NFCの活用についても関心が高まってくると思います」(秋田氏)
同社では、Visa payWaveおよびMasterCard PayPassの加盟店向けサービスのトライアルを2012年内に開始する。トライアル参加店舗は、ラオックス、ヨドバシカメラ、ビックカメラ(ビックロ ビックカメラ新宿東口店)、阪急阪神ホテルズ(大阪新阪急ホテル)となり、海外からの観光客の利用が多い加盟店が揃っている。
「まずは海外のお客様の利用動向や運用面等を幅広く検証し、その結果をもとに今後の運用を考えていきたいです」と秋田氏は話す。
2013年前半を目処にカード発行も開始
3キャリアのNFCスマートフォンへの発行
同社では、2013年前半を目処に、3キャリアのNFCスマートフォンを対象にVisa payWaveおよびMasterCard PayPassの発行も開始する予定だ。
PayPassについては、マグストライプベースおよび非接触EMVの『MasterCard M/Chip』の2つの仕様が存在するが、「弊社では当初から非接触EMV仕様に則って発行を行う予定です」と秋田氏は説明する。
三井住友カードでは、これまで「iD」をはじめとしてFeliCa規格を採用した非接触IC決済サービスをカード会員、加盟店に提供してきたが、今回、NFCを活用した決済サービスを加えることによりカード会員、加盟店サービスのさらなる向上を図る。秋田氏は、「加盟店にとっては、FeliCaおよびTypeA/Bを一台の端末で処理できることが理想です」と共用端末の必要性を挙げる。
決済端末については、加盟店のニーズにあったものを提供する。また、電子マネー加盟店の多くはPOSでの取扱いが多く、POSベンダーのシステム対応にも期待している。
会員サービスの運用面については、3キャリアが設立したモバイル非接触協議会が策定したルールをベースに行うという。
NFCに関心のある加盟店に順次サービスを提供
スマートフォンによるクーポンサービスなども検討
FeliCaベースの電子マネーがスタートした当初、各電子マネーの普及に向けて各ブランド会社やカード会社が競争を繰り広げたが、Visa payWaveやMasterCard PayPassについては、国内の会員の普及状況もみながらNFCに関心のある加盟店に順次サービスを提供していくようだ。
なお、加盟店のRWやNFCスマートフォンへのカード発行コストは、FeliCaのサービスと比べても格段に安くなるということはないようだ。「弊社では、モバイルペイメントの更なる拡大の機会と捉えています。今後、FeliCaも含めてクーポンなどの販促サービスと決済の融合・連動による新たな決済シーンの創出を検討していきたい」(秋田氏)としている。