2013年2月28日8:00
トヨタ自動車、トヨタ販売店と共同で「TS CUBIC CARD」を推進
販売店での会員獲得、入会4大特典による初期稼働活性化でメイン化につなげる
トヨタファイナンスは、2001年から、トヨタ自動車と共同で「TS CUBIC CARD」を推進している。TS CUBIC CARDは、カーライフをはじめ、日常のさまざまなシーンで利用できるカードとなる。2012年12月末で有効会員数は1,100万人弱。2011年度のショッピング取扱高は2兆3,000億円を超えている。会員の稼働率は順調に伸びているそうだ。
ポイントの還元率の高さが特徴
貯まったポイントをトヨタ販売店等での利用につなげる
「TS CUBIC CARD」のカード会員情報を活用したマーケティング展開については、トヨタ車を購入する機会を中心に全国のトヨタ販売店で会員を獲得し、トヨタファイナンスがカード利用、ポイント残高を高め、点検や用品の購入、新車の買い替えなどでのポイント還元(キャッシュバック)につなげていくことがベースとなる。それを基に会員の属性や利用状況に応じたセグメントによって告知内容を変更し、カードの利用を促している。
まず入会時には、新車購入時の頭金支払いを、カード入会と同時に申し込みすることが可能だ。例えば、30万円の頭金をカードで支払いたい場合、カード入会と同時に決済が行え、3,000ポイントが付与される。そのため、販売店にとって、会員獲得を行いやすいメリットがある。また、ETC車載器取り付け時のETCカード同時申し込み、車検費用支払い時のカード同時申し込みなど、車の販売や用品・サービス代金とカード決済との密接な連動が重要な訴求ポイントだ。
さらに、事業を継続する中で、一般加盟店での利用も急速に伸びており、「現状、一般加盟店で決済されるケースの方が圧倒的に多い」と、トヨタファイナンス カード本部 マーケティング部長 高野克之氏は説明する。
「TS CUBIC CARDは、他社カードに比べてポイントの付与・還元率が高いのが特徴です。例えば、大手カード会社等の場合、1,000円で1~5ポイントの付与ですが、当社は1,000円で10ポイント付与しています。また、新車購入時には1ポイント=1.5円、用品・サービス利用時は1ポイント=1円の還元ができるので、その魅力を感じて会員になっていただき、日常生活に一般加盟店でご利用いただき、ポイントを貯めてトヨタ販売店等でポイントを活用していただいています」(高野氏)
貯まったポイントを自動車のクレジット利用にキャッシュバック
新規入会者の初期稼働率は2009年に比べて約1.5倍利用が伸びる
同社では、TS CUBIC CARDの利用で貯まったポイントを、自動車のクレジット利用期間中1ポイント=1.5円でキャッシュバックできるサービス「使ってバック」を展開している。利用者は、トヨタ販売店で新車を購入し、トヨタファイナンスのクレジット契約時に「使ってバック」を申し込むと、毎月のカード利用で貯まるポイントをクレジット払いに充当できる。キャッシュバックの方法は「月々クレジット支払い額への充当(毎月充当)」と「年1回のお振込」から選択可能だ。例えば、毎月10万円利用した場合、1,000ポイントが付与されるが、その場合、1ポイントを1.5円に換算できるため、1,500円を支払いに充当することができるという。
同社の新規会員の入会者は30代以上のファミリー層が比較的多いため、すでに他社発行のカードを保持しているケースもある。そのため同社では、入会4大特典を6カ月間実施することにより、初期稼動を高めメインカード化を推し進めている。
まずは、同社とJCBが推進する非接触IC決済サービスの「QUICPay」を利用すると5%のキャッシュバックを実施している。また、ガソリンスタンドのENEOSでのガソリン給油割として、リッター2円引きを行っている。さらに、同カードで携帯電話料金または電気料金の支払いを行うと、最大1,000ポイントをプレゼントしている。また、インターネットショッピングの際に、同社会員向けのアフィリエイトモール「ポイントアップマーケットWEB」から買い物をすると、通常2倍のポイント(ゴールド会員は3倍)が10倍となる。
高野氏は、「例えば、新規入会者の初期稼働率は2009年に比べて約1.5倍利用が伸びました。4大特典を利用している方は、入会から半年後でクレジットカードの利用単価は倍以上あります」と成果を語る。
会員に対しては、トヨタ販売店の店頭でチラシを配布して説明するなど、初期稼働アップを後押ししているという。また、印刷会社と協力し、4大特典を訴求した利用明細書やEメールを会員属性、利用に応じて、3~4パターンに分けて送付することで、会員の利用率アップを目指している。
なお同社では、レギュラーカードで、8割以上の会員に対しては、明細書はハガキで郵送している。
自動車の購入時にカードへの申し込みが行われるケースが多いため、入会したタイミングと点検と車検のタイミングはアプローチを図りやすい。同社では加盟店で貯まったポイントをいち早く利用してもらうため、トヨタ自動車とタイアップし、入会後4カ月目や10カ月目のハガキでは販売店での点検の紹介を行っており、メンテナンスやカー用品の購入などでキャッシュバックを勧めている。
また、Webやメールを駆使しながら、会員の利用を促している。高野氏は、「当社の役割としては、カード利用促進による収益の拡大、ポイント付与による販売店への送客に力を入れています。また、トヨタの新車を購入した質の高いお客様がいらっしゃいますので、そこに関心を寄せていただく加盟店も多いです。お互いWin-Winになる提携ができればと考えています」と話す。
「TS CUBIC CARD」公式スマートフォンアプリをリリース
時限クーポンは名古屋地域を中心に加盟店を開拓
同社ではまずは同社のカードの価値を理解してもらい、会員の利用を高めていくことが重要であると考えている。
「最近では、トヨタ車ユーザーを顧客として保有する当社の会員情報に興味を持つ企業も増えており、ドライブなど、車と親和性の高い企業から引き合いをいただいています」(高野氏)
同社が最近強化しているのはスマートフォンだ。同社では、位置情報を活用した「TS CUBIC CARD」公式スマートフォンアプリ(TS CUBICアプリ)の提供を、2012年10月29日から開始した。同アプリは会員専用サービスと位置情報を兼ね備えており、カード会社が提供するアプリとしては珍しい。すでに5万人以上がダウンロードしており、初動として順調に推移しているそうだ。
同アプリは、位置情報を利用したモバイルサービスを運営するロケーションバリューの協力を得て、時間限定のクーポンを発行できる販促支援基盤「イマナラ!プラットフォーム」のOEM提供を受けるもので、利用者は該当アプリをAppStoreおよびGooglePlay上で入手することが可能だ。利用者は、店舗検索、NaviCon対応のカーナビに目的地情報を転送できる機能、お気に入り店舗の登録、店舗の情報のシェアに加え、同社スマートフォンサイトと連動してカードの利用明細やポイント残高を確認することができる。現在名古屋地域を中心に掲載加盟店の開拓を行っているそうだ。
「従来はご自宅住所にDMを送るなど世帯別にアプローチしていましたが、本人会員だけでなく家族会員も含めて1人ひとりの会員を目線にアプローチする必要があります。アプリケーションとしては、加盟店の紹介に加え、位置情報を活用したクーポンなどを連携した展開を行っています。車を利用した移動には必ず消費が伴いますので、上手く連携できるようにトライしていきたいです」(高野氏)
将来的には、数十万人の人に利用してもらうアプリケーションを目指している。今後の会員サービスについては、スマートフォンを中心にトヨタ車が情報端末化していくことを見据えながら、ポイントの使い勝手をより良くしていきたいとしている。