2013年5月24日0:10
スマホ決済の先駆者Squareが三井住友カードと提携し日本に上陸
スマートフォンを活用した決済サービスの先駆者がいよいよ日本に上陸する。三井住友カードとSquare, Inc.および米国Squareの100%子会社であるSquareは、2013年5月23日から、国内でスマートフォンおよびタブレット端末を活用したクレジットカード決済サービスの取り扱いを開始した。
米国とカナダでは420万加盟店が利用
決済金額は指定の銀行であれば翌営業日に入金
米国Squareは、2009年2月にTwitterの共同創業者であるジャック・ドーシー氏が設立。短期間で急激に加盟店が拡大し、米国とカナダでは420万加盟店が利用している。また、年換算取扱高は年間150億ドルとなる。
加盟店は、Squareレジと呼ばれる無料アプリとクレジットカードを読み取る無償の「Squareリーダ」を導入するだけで、カード決済が可能となる。決済金額は、指定の銀行であれば翌営業日、そのほかの銀行の場合は一週間以内に振り込まれる。利用者は、決済時にスマートフォンやタブレットにサインを行い、テキストメッセージやメールでレシートを受け取ることが可能だ。
今回、米国Squareは、北米地域以外の国では初めてサービスを提供する。Square, Inc. CEO ジャック・ドーシー氏は、「日本市場で成功するのは難しい」としながらも「それを実現できれば多くのことが立証できる」と意気込みを見せる。同社では、Squareにより、決済以外のサービスも含め新しいPOSの経験を消費者に提供していきたいとしている。
三井住友カードではSquareに対し、1,000万ドルの投資を行っていたが、今回、国内向けにサービスを開始することになった。三井住友カード 代表取締役社長 島田秀男氏によると、今回のSquareとの提携には2つの狙いがあるそうだ。
三井住友カードは約190万のスモールマーケットを開拓へ
カード会員や加盟店のサービス強化を目指す
1つは、約190万といわれる個人事業主や中小企業のスモールビジネスのマーケットの開拓だ。Squareは、個人事業主や中小企業などのスモールビジネスを中心に拡大している。米国において他を圧倒するナンバーワンの実績を誇っており、その先進性に加え、スマートフォンやタブレット等のイヤフォンジャックにリーダを取り付けるだけで済むため、導入コストの削減も可能だ。国内においては、スモールビジネスでのクレジットカード決済導入はそれほど浸透していないため、需要はあると考えており、さらに地方での展開にも役立つと期待する。
2つめは、カード会員や加盟店に対してのサービス強化が挙げられる。すでにSquareは米国・スターバックス7,000店舗で導入されている。また、利用者がアプリを事前にダウンロードして、クレジットカードと顔写真を登録すると、加盟店での支払いはレジスターに表示される顔写真と見比べてチェックする“顔パス”決済が可能となる。島田氏は、「ウォレットサービスについても早期に日本市場で展開したい」と意気込みを見せる。
決済手数料は3.25%で提供
不正利用対策にも力を入れる
なお、決済手数料については、ICTを駆使して自動化することにより3.25%で提供。競合サービスよりも安価に設定されている。また、トランザクションフィーも不要だ。気になるカードブランドについては、Visa、MasterCardが利用可能だが、JCBやAmerican Expressブランドは現時点で利用できない。
Squareでは加盟店端末を提供するほか、精算業務を行うが、三井住友カードでは協力して、加盟店が安心してサービスを提供するための体制整備を行う。Squareでは、米国同様に加盟店管理を行い、三井住友カードも厳しくチェックすることで、不正な利用を防止するように努めるそうだ。
ジャック・ドーシー氏は、「日本の99%のビジネスは中小企業になるが、この国は起業家精神にあふれており、その成長に合わせて活動できるため、可能性は十分にあると信じている」と話す。また、単純な決済だけではなく、付加サービスを提供することで、加盟店の商業活動を支援していく方針だ。