2013年5月30日8:05
国際ブランドのMasterCardやVisaでは、非接触IC決済の「MasterCard PayPass」「Visa payWave」を展開している。「MasterCard PayPass」や「Visa payWave」は、EMV技術を用いた非接触IC決済ソリューションであり、国際ブランドのインフラ上でスピーディーな取引が可能だ。
日本ではクレジットカード会社が提供する非接触決済というと、JCBの「QUICPay」やNTTドコモの「iD」といったようにポストペイ(後払い)の印象が強いが、「MasterCard PayPass」や「Visa payWave」は、後払いに加え、前払い(プリペイド)、即時払い(デビット)に対応しているのも特徴だ。
先日、「Visa payWave」を国内でリリースしたVisaでは、現状、5,000円以下の小額決済は90%以上が現金決済であり、同決済により「進化した電子決済に置き換えられる」としている。
日本のカード会社ではこれまで、提携カードの発行やキャッシング収益などでビジネスを拡大させてきたが、法改正などの影響で、クレジットカード業界を取り巻く環境は変化し、ビジネスの再構築を求められた。すでに、三菱UFJニコス、ライフカード、楽天カード、エポスカード、クレディセゾンはオンラインプリペイドカードのサービスを展開しているように、クレジットカードと相乗効果を生む商品、新規開拓を行うことができる商品としてプリペイドに注目する企業は多い。
今後は非接触IC技術を活用したプリペイドカードを発行する企業も現れるかもしれない。例えば、若年層や高齢者の囲い込みに利用したり、クレジットカードと紐づいたプリペイドカードのアプリをNFCケータイにダウンロードし、子供が利用できるような形も考えられるだろう。
こうした、「MasyerCard PayPass」や「Visa payWave」などのコンタクトレスペイメントソリューションが普及することで、クレジットカードやデビットカードと同様にIC電子マネーも国境を越えて使うことができるようになる。
なお、コンタクトレスペイメントソリューションのIC電子マネーは、磁気カードにコンタクトレスICを埋め込んだ“コンタクトレスMSD”とコンタクトIC、コンタクトレスICのデュアルインターフェース、コンタクトレスIC単独(Type A, Type B, FeliCa, NFC)の3つの類型がある。
また、コンタクトレスペイメントソリューションのIC電子マネー機能は、カード形状のみならず腕時計やバンド、キーホルダー、ストラップ、スマートフォンなどに搭載可能なため、カード会社が発行する際はキャンペーンなどで独自形状のカードを発行可能だ。
書籍「世界の電子マネー・プリペイドカード市場要覧」では、プリペイドのコンタクトレスペイメントソリューションをIC電子マネーと位置付け、その事例を2章で紹介している。例えば、ポーランドの大手商業銀行であるBank PekaoとエレクトロバンキングのマーケットリーダーであるWBKでは、「MasterCard PayPass」機能が付帯されたオンラインプリペイドカードを発行している。
さらに、2章ではナショナルベースのコンタクトレスペイメントソリューションであるイギリスの“sQuid”(烏賊)カードとインドネシアの“Flazz”カードも紹介している。