2014年3月6日8:00
スマホ決済のSquareがリクルートライフスタイルの「Airレジ」と連携
席管理、注文入力、決済まで横断して提供し、店舗の本業集中を支援
国内でもスマートデバイスとスマートフォン決済サービスの連携が進められているが、スマートフォン決済サービスの先駆者である「Square」でもPOS連携がスタートする。同社ではリクルートライフスタイルの無料POS レジアプリ「Airレジ」とモバイル決済サービス「Squareレジ」を連携し、スマートフォンやタブレットでテーブルごとの注文入力からクレジットカードによる会計、売上管理まで、利用できるPOSレジサービスを3月下旬からスタートさせると発表した。
「Airレジ」は初期費用・月額費用とも無料
アカウント数は3カ月で3万を超える
個人商店等でも簡単にカード決済を導入できる「Square」が日本でサービスを開始したのは2013年5月。スマートフォンやタブレットのイヤフォンジャックに専用のリーダーを接続し、アプリケーションをダウンロードすればだれでも簡単にVisa、MasterCard、American Expressの決済を導入することが可能だ。現在、日本全国北から南まで、津々浦々で利用されており、アカウント数も堅調に増えているそうだ。Squareは個人商店、観光地等で利用されているが、POS連携についての要望もあったという。
「Squareの成り立ちは中小ですが、ご利用用途として、業態・業種・サイズを問わず幅広くお使いいただける感触をつかんでいます」(Squareカントリーマネージャー 水野博商氏)
例えば、POSの機能などは店舗の繁忙期など、レジが込み合っている時に臨時的にSquareを導入し、増設することでレジスピードを速める要望などもあるそうだ。
昨今では、スマートデバイスをPOSレジとして利用するサービスは数多く登場しているが、今回Squareが提携する「Airレジ」は、「今までになかったコンセプトのレジ」であるとリクルートライフスタイル 代表取締役 北村吉弘氏は説明する。同サービスは初期費用・月額費用とも無料となっており、店舗は導入費用を抑えることが可能だ。また、顧客の人数や空いている座席の確認、席ごとのタイマー機能の設定など、飲食店の座席管理に活用できる。さらに、会計機能の設定や売り上げ管理などの機能も備えている。
また、グルメ・クーポン情報サイト「ホットペッパーグルメ」やリクルートポイントのポイントアプリ「Airウォレット」など、リクルートライフスタイルが提供するサービスとの連携も可能だ。すでに、熱海では、「Airウォレット」とジオフェンシングによる観光活性の取り組みが行われている。
リクルートライフスタイルでは、「人と人、人とお店、人と地域のつながりに満ちた笑顔があふれる社会の実現」に向け、POSレジを使ってつながりを深めていくことに力を入れている。Airレジは、2013年11月19日にサービスを開始したが、3カ月でアカウント数は3万を突破している。
Airレジユーザーからカード決済の要望が寄せられる
店舗が本業に集中できるように支援
ただし、POSとの親和性が高いカード決済との連携は行われておらず、「全国のお客様からもっとも要望が多かった」(北村氏)そうだ。今回、Squareと提携し、カード決済に対応することで、「決済や会計の管理を人によって行われていたものをシンプルに、スマートに、業務負担を軽減させていきたい」としている。
店舗は、注文の入力まではAirレジで行い、会計時に支払い方法としてSquareを選択すれば、自動的に支払い方法が入力されたSquareレジの決済画面が表示される。カード利用者は、画面にサインを行い、利用履歴はメールで送られる仕組みだ。
今回、Airレジと提携することになった理由について水野氏は、無料でサービスを提供している点、さまざまな機能を提供している点などを挙げ、「日々の業務に追われているお客様が本業に集中でき、私たち自身もお客様とのコミュニケーションを円滑にできる」と期待を寄せた。また、「リクルートライフスタイルの数百名のスタッフがお店や小売店に日参してコミュニケーションを図っている」ことも協業の理由として挙げている。
2万店の飲食店にSquareリーダーを配布
スマートフォン決済のパイオニアとしての他社との差別化は?
Airレジは現在、リクルートライフスタイルの約200人のスタッフを中心に導入が進められており、2015年3月までに10万アカウントの採用を目指す。普及に向け、ホットペッパーグルメの提携飲食店2万店にiPad Airを導入する施策を行うが、Squareリーダーもあわせて提供するという(Squareのアカウント登録は別途必要)。
スマートフォン決済サービスのパイオニアでもあるSquareだが、最近では近いコンセプトのサービスを展開する競合も登場しており、手数料などではほぼ横並びとなっている。一見すると差別化は難しいように思えるが、「自信を持ってお話しできるところは、プロダクトで提供させていただくサービスの経験そのものがデザインされている」ことと水野氏は話す。例えば、業務での決済スピード、決済する際の画面フォーム数、アカウント申告の際の画面遷移数、サインを行う際の感触など、すべて設計された元で提供されているそうだ。そのため、「一度お使いいただければ他社と大きな違いがあることを感じていただけます。細かいところではありますが、我々が設計した経験を皆様にご提供できます。その結果、お客様が日々の業務をもっと効率化させ、簡素化させて、お客様とのコミュニケーションに時間を使っていただけます」と水野氏は説明する。
Squareとリクルートライフスタイルでは、今回は提携の第一弾と捉えており、今後も連携の幅を広げていきたいとしている。