2014年5月9日0:00
KDDIがスマホと連携したプリペイドカード「au WALLET」を開始
「多くの店舗で買い物できる」「ポイントが貯まる」「簡単なチャージ」が特徴
KDDIは、2014年5月8日に記者会見を開催し、世界約3,810万のMasterCard加盟店、国内約2,000社のWebMoney加盟店の双方で利用でき、ポイントも貯まるプリペイドカード「au WALLET(ウォレット)」を2014年5月21日から開始すると発表した。
「au Wallet」のイシュアはKDDIとウェブマネー
上限金額は10万円、1回のチャージは2万5,000円まで
「au WALLET」は、auの各種ネットワークサービスを利用するための認証キーとして提供してきた「au ID」に、リアル店舗でも利用可能な決済機能を追加するサービスとなる。KDDIでは、「au WALLET」のサービス提供開始に合わせて、「au WALLET カード」を新たに発行する。「au WALLET」は5月8日から、Webでの先行申込開始。5月21日からはauショップ・PiPitなどでも申し込みを受け付ける。
「au WALLET」のカードイシュアはKDDI(沖縄は沖縄セルラー電話)およびウェブマネーとなり、プリペイドカードサービスを国内のカード会社でも早くから展開するクレディセゾンの支援を受けて発行する。カードの発行手数料は無料で、入金上限金額は10万円、1回のチャージは2万5,000円まで(auかんたん決済の場合2万円、じぶん銀行、クレジットカード、auショップの場合2万5,000円)。有効期限は60カ月となり、期限が過ぎた金額は失効する。また、アクワイアリングの部分でもクレディセゾンが協力している。
KDDIでは、「au WALLET」との連携アプリ「au WALLETアプリ」を2014年5月21日にリリース。「au WALLETアプリ」では、残高やポイントの確認、およびチャージ機能を提供する。また、ポイントがお得に貯まる「ポイントアップ店」やおすすめ情報もアプリで確認可能だ。
現在、クレジットカードの年間決済額は約50兆円、非接触の電子マネーも2兆円強となっている(主要6マネー)。電子マネーは、1件当たりの利用金額は低いが、決済件数はクレジットカードの3割程度あり、「市民権を得ている」(KDDI 代表取締役 田中孝司氏)そうだ。
KDDIでは、クレジットカードと電子マネーはさらに成長すると考えている。昨今の利用者の傾向として、現金決済からポイントが貯まる決済手段を希望する人が増えている。また、消費増税になり、会計時に端数が出てくるため、消費者の小銭を持ち歩きたくない意識が加速しているそうだ。
クレジットカードは、さまざまな店舗で使えて高額な買い物ができるが、所有者は限られる。また、誰でも使えて、小額の買い物に向く電子マネーだが、まだまだ利用箇所は限定的だ。
「auかんたん決済」はオートチャージも可能
MasterCardの加盟店に加え、WebMoney加盟店でも使える
「au WALLET」は、お金を簡単にチャージでき、多くの店舗で買い物ができ、なおかつポイントも貯まる特徴がある。チャージ手段としては、キャリア決済サービス「auかんたん決済」、auショップ、じぶん銀行、クレジットカードからチャージが可能だ。中でも「auかんたん決済」は、都度チャージに加え、オートチャージの2種類を用意している。月々の通信料金と合算しての支払いが可能なため、「一番のおススメ」(田中氏)だという。
また、チャージした金額は、クレジットカードのように世界約3,810万のMasterCard加盟店で利用できる。コンビニエンスストア、ドラッグストア、飲食店、衣料品店、アミューズメント施設、ネットショッピングなど、ネット・リアル問わずさまざまな業種・業態で利用可能だ。田中氏は、「電子マネーの場合、使う場所が限られますが、どこでも使えます」と強調する。なお、プリペイドカードのため、継続課金、ガソリンスタンドなどのオフライン加盟店での利用は制限されるそうだ。
今回、会見では触れられなかったが、MasterCardの加盟店に加え、ネットワーク型電子マネーを展開する「WebMoney」の加盟店でも「au WALLET」の利用は可能だ。カード裏面にはWebMoneyの16ケタの番号が記載されている。また、WebMoneyは、「横浜DeNAベイスターズカード」の発行など、リアル展開を進めているが、裏面のバーコード、カード下部には目視では確認できないがWebMoney用の磁気ストライプが付いており、それを利用した対面決済も可能となっている(カード上部にはMasterCardプリペイドカードの磁気ストライプが付いている)。
決済や通信料金などで「WALLETポイント」を付与
11社、約2万店舗の「ポイントアップ店」はポイント上乗せ
利用特典としてプリペイドカードの利用やau携帯電話など毎月の通信料金の支払い金額に応じて「WALLETポイント」を付与している。通常、リアルやネットでの決済時は200円(税込)で1ポイント付与されるが、auショッピングモールでは100円(税込)につき1ポイント、au通信料では1,000円(税込)で10ポイント付与される。
さらに、11社、約2万店舗の「ポイントアップ店」では、通常のポイント付与に加え、ポイントが上乗せされる。ポイントアップ店には、セブン-イレブン・ジャパン(セブン-イレブン)、マツモトキヨシホールディングス(マツモトキヨシ等)、ココスジャパン(ココス)、コロワイド東日本(甘太郎、北海道、ラ・パウザ等)、アトム(ステーキ宮、にぎりの徳兵衛等)、紀伊國屋書店、TOHOシネマズ、第一興商(BIG ECHO、ビッグエコー、ビッグエコー25、祭一丁&ビッグエコー等)、ランシステム(自遊空間)、ヴィクトリア(ヴィクトリア、ヴィクトリアゴルフ、エルブレス)、アコーディア・ゴルフがサービス開始時点で名を連ねる。
ポイントアップ店については、1業種1社といった、KDDIとしての制約は設けていないという。また、決済時に貯まるポイントの原資負担については、各流通企業との交渉により決定されるそうだ。流通企業によっては、他のポイント事業者との契約関係により、ポイントを併用しての付与ができないケースもあるという。
auショップには、「au WALLETウェルカムガチャ」を用意。au WALLETカードには、ISO/IEC 14443 TypeAのチップが搭載されている。利用者は、専用端末(SCSPro製)にau WALLETカードをかざすと、抽選で最大3,000ポイントがプレゼントされる。期間は6月2日~12月31日までとなり、月3回まで利用できる。
貯まったポイントは、ネットショッピングや携帯端末の購入代金として利用できるほか、au WALLETカードにチャージして店舗での決済に利用可能だ。また、auの通信料金にも充当できる。
MasterCardにとって日本はプリペイドの優先マーケット
決済の間口を広げるセブン-イレブン
同会見には、MasterCard エグゼクティブ・ヴァイスプレジデント・グローバル・プリペイド・ソリューションズのRon Hynes氏も登壇。MasterCardは、「A World BeyondCash」というコンセプトのもと、世界中で多くのプリペイドカードを展開しているが、世界中で成長がみられるそうだ。
特に、アジア/太平洋、中東、アフリカ地域(APMEA地域)では、2013年度は前年度対比40%の成長があった。APMEA地域はプリペイドカードの成長の要であり、中でも「日本は優先マーケット」であるとRon Hynes氏は説明する。MasterCardにおいて、「au WALLET」はAPMEA地域で最大規模のプリペイドカードのプログラムとなる。さらに、プリペイドとモバイルには大きなシナジーがあり、相乗効果が期待できる。これにより日本のユーザーに付加価値の高いソリューションを提供できるとしている。
ポイントアップ店となるセブン-イレブン・ジャパンでは、リアルとネットを融合させたオムニチャネルを目指している。同社にとって決済は重要なファクターで、2007年の電子マネー「nanaco」開始をはじめ、決済の間口を年々広げてきた。セブン-イレブン・ジャパン 商品統括本部 総括マネジャーの矢島弘樹氏によると、セブン-イレブンでの非現金決済率は2014年3月時点で20%となっており、年々増加しているそうだ。
チャージで最大15%増額となるキャンペーン
「au WALLET」でバリューチェーンの構築を目指す
KDDIでは、利用者獲得に向け、「au WALLET」カードに初めてチャージした利用者全員にチャージ額の10%を増額するキャンペーンを6月30日まで実施。また、12月31日まで、じぶん銀行から5,000円以上チャージした人全員にチャージ額の5%を増額する。両キャンペーンは併用も可能で、最大15%のチャージ額増額となる。そのほかにも、さまざまな特典を提供し、利用者への浸透を目指す。
KDDIでは、「au WALLET」により、リアルを含めたタッチポイントを強化することで、バリューチェーンを構築し、顧客との関係を深めていきたいとしている。