2014年6月25日9:00
スピーディな注文・決済が可能な「スマートオーダー」を「the 3rd Burger」で開始
来店を検知し、iPhoneでもかざして利用可能なBeaconを活用
モバイルウォレットサービス「O:der(オーダー)」を提供するShowcase Gigは、首都圏で飲食サービスを展開するユナイテッド&コレクティブと協力し、iPhoneユーザーでもタッチ認証でスタンプが貯まる「スマートオーダー」を開発した。まずは、ユナイテッド&コレクティブが運営する「the 3rd Burger アークヒルズサウスタワー店」において、6月26日から導入を開始する(タッチ認証スタンプ機能は7月から提供)。
「スマートオーダー」は注文時の行列待ちを解消
トライアルではオーダースピードが2倍に
Showcase Gigの「O:der」は、商品の事前予約から決済、デジタルスタンプまで、シームレスに行うことが可能なサービスとなる。「O:der」に登録した顧客は、事前に「O:der」を通じて商品の受け取り時間を指定し、クレジットカード(Visa/MasterCard)による決済までを済ませておくことで、来店後のスピーディな受け取りが可能になる。また、事前オーダーや、店舗内での飲食サービスでデジタルスタンプも貯まり、10個貯まると特典を受けることができる。さらに、店舗のお得情報をアプリのプッシュ通知等で受け取ることも可能だ。すでに東京都内中心に100店舗で利用を行っている。
今回開始する「スマートオーダー」は、「顧客と店舗の双方のオペレーションを改善し消費体験を向上させる」ソリューションとなっている。
「the 3rd Burger」では、“体が喜ぶハンバーガー”を意識しており、ブロック肉は一切解凍せず、店舗でミンチにして1つひとつ整形している。また、ハンズは発酵から焼き上げまで店舗ですべて行っているそうだ。さらに、厳選の野菜を使用してフレッシュな商品を販売している。ただ、ランチタイムには、若い男女が列をつくるため、「注文までの行列で10分程度の待ち時間が発生していた」とユナイテッド&コレクティブ 代表取締役 坂井英也氏は課題を口にする。今回提供を開始する「スマートオーダー」では、「ディズニーランドの“ファストパス”のようなイメージ」で注文時の行列待ちを解消し、スムーズな商品の受け渡しが可能となる。
実際、導入前のトライアルでは、「昼のピークタイム一件あたりのオーダースピードが2倍になりました」とShowcase Gig 代表取締役 新田剛史氏は話す。「the 3rd Burger」では、昼のピークタイムに1.5倍の売り上げアップを目指す。
2種類のビーコンを活用
「MyBeacon touch」でiPhoneでも近接認証を実現
利用者は、スマートフォンの画面から注文や決済が行えるが、利用者の見えないところで接客スタッフやキッチンへの指示が行われているそうだ。これにより、従業員の負担を軽減し、店舗オペレーションの改善にもつながるという。
「スマートオーダー」では、来店を検知する「MyBeacon Pro Mb004」、iPhoneでもNFCのようにかざすだけで端末認証を実現可能な「MyBeacon touch」と、アプリックスIPホールディングスの2種類のビーコンを採用している。
利用者が店舗に近づくと、センサーが店舗スタッフに来店を通知。また、顧客に対しおすすめ情報や特典情報などをプッシュ通知可能だ。さらに、7月からは「MyBeacon touch」のリーダを活用したスタンプの付与を行う。利用者は、iOSのスマートフォンをリーダにタッチすることで、同アプリケーションのスタンプ帳へのスタンプ付与が可能となる(現金決済時にかざしてスタンプ付与/クレジットカードによる決済の場合は、受け取り時に自動で付与される)。これまでスタンプの付与はカメラにおけるスキャンで行っていたが、「MyBeacon touch」を導入することで、スマートフォンをかざすだけでスタンプの付与が行える。
iPhoneのiOS7に標準搭載された「iBeacon」の登場後、Bluetooth Low Energy(BLE)を使った新技術が注目されているが、「お客様目線が少ない」「実在するサービスが少ない」と新田氏は話す。Showcase Gigでは、注文から受け取りまでシームレスに連携させて、顧客の利便性を高めるサービスが構築できたそうだ。
時間を指定して商品の受け渡しも可能に
対面での非対面決済を国内でいち早く実現
今後は、時間を指定して商品の受け渡しを可能にする機能の提供を予定している。アプリックスのビーコンについては、「the 3rd Burger アークヒルズサウスタワー店」からの導入となるが、その成果をベースに他の「O:der」導入店舗にも設置を進めていきたいという。「スマートオーダー」については、まずはiOS版からスタートし、7月上旬にはAndroid対応も行う予定だ。
なお、「O:der」は対面領域で非対面決済させる国内で数少ない事例となっている。決済処理事業者は共通ポイントサービス「Ponta」を運営するロイヤリティ マーケティングが提供する「QCS」と契約している。すでに、同社がカード会社と直接契約し、モール型販売を行っているため、導入企業の個別審査のプロセスを減らすことが可能となっている。また、決済手数料については、他の決済サービスのように固定せず、加盟店の規模や売上等に応じて決定されるそうだ。
今後の導入店舗の目標については非公表だが、大手企業も含めて商談が進んでいるという。また、同社では「Ponta」運営のロイヤリティマーケティングと資本提携を行ったが、現時点で「O:der」と「Ponta」の連携は未定となっている。