BLE技術を利用して「完全手ぶら」で決済できる「KAOTAS」がスタート

2014年6月26日9:17

BLE技術を利用して「完全手ぶら」で決済が可能に
店舗と顧客をつなぐサービス「KAOTAS」をM’s Kitchenが導入

インターメディアプランニング(IPI)は、Bluetooth Low Energy(BLE)技術を利用し、iPhoneにアプリをインストールして顔写真とクレジットカード情報等を登録した顧客が「手ぶら」で支払いでき、店舗と顧客とのコミュニケーションを実現する新システム「KAOTAS(カオタス)」を開発した。すでに6月13日から、M’s Kitchen(エムズキッチン)が運営するデリリウムカフェをはじめとする都内3店舗でサービスを開始している。

顧客は店舗に来店すれば自動でチェックイン
来店すればするほど店舗との関係が深まる

「KAOTAS」アプリのイメージ
「KAOTAS」アプリのイメージ

「KAOTAS」はBluetooth Low Energy技術(BLE)を利用している。iPhoneアプリをインストールした顧客が来店すると店舗に設置したビーコンに反応、自動で店舗にチェックインを行うサービスとなる。開始時点では、AppleのiOSに対応。ユーザーは、アプリをダウンロードして、指名、住所、生年月日、VisaもしくはMasterCardのクレジットカード番号(セキュリティコード)、電話番号など必要な情報を登録すればサービスが無料で利用できる。

アプリをダウンロードした利用者は、Beacon設置店舗に来店するだけで、自動でチェックインが可能だ。また、会計時には、店舗側に設置されたタブレットアプリ上でユーザー自身による承認処理を行うことで「手ぶら」で決済ができる仕組みになっている。

KAOTAS プロジェクトマネージャーの金川暢宏氏は、「『KAOTAS』は、お店とお客様を近づけるコミュニケーションとして位置づけています」と話す。インターメディアプランニングの殿岡良美氏も「顔写真を利用して、合理的な関係ではなく、顧客が来店すればするほど店舗との関係を深めるサービスとなっています」と説明する。

店舗は顧客の来店を「KAOTAS」ですぐに知ることができる。さらに、来店状況に応じた特典や、顧客にあった情報を提供することができるそうだ。

“お店に来ればいいことがある”
M’s Kitchenでは来店者にドリンク一杯無料サービスを提供

M’s Kitchen(エムズキッチン)では、デリリウムカフェをはじめとする都内3店舗で6月13日から「KAOTAS」を導入。「KAOTAS」が使える時間帯は17時~23時。同店舗では「KAOTAS」利用者に対し、ドリンク一杯無料サービスを行っている。

店舗では顔の見えるコミュニケーションが可能に、店舗でのテーブル会計も実現
店舗では顔の見えるコミュニケーションが可能に、店舗でのテーブル会計も実現

また、6月24日からは会計時の支払いも開始している。M’s Kitchen 執行役員 店舗運営部部長 古城戸晶氏も「お客様の接客ツールとして、100~200人には利用してもらいたいです」と期待する。

金川氏は、「お店に来店するコンバージョンレートを高めるサービスを意識している」と同サービスの狙いについて説明する。利用者に“お店に来ればいいことがある”と感じてもらうことで、再来店を促進することができるという。

店舗に設置したタブレットでは、これまでの当該顧客の来店回数が表示される。また、来店プレゼントの利用状況、前回の来店なども把握できる。さらに、店舗からは「誕生月プレゼント」「来店プレゼント」を贈ることが可能だ。

財布やスマホを取り出すことなく決済が完了
携帯電話の下四桁を暗証番号に使用

店舗での会計時にも店員はタブレット端末を使用する。利用者は、会計時に「KAOTASで!」と伝えれば、財布やスマートフォンを取り出すことなく、タブレットを持ち運んでのテーブル会計が可能だ。ユーザーの認証は、顔写真による確認に加え、登録した携帯電話番号の下四桁を暗証番号として入力してもらうという。

デリリウムカフェ トーキョーでは店舗の2カ所にセンサーを設置。通信距離は20メートル程度に調整している。なおNTTドコモが技術協力を行っている
デリリウムカフェ トーキョーでは店舗の2カ所にセンサーを設置。通信距離は20メートル程度に調整している。なおNTTドコモが技術協力を行っている

クレジットカード情報については、決済時にのみ利用され、店舗および同アプリに通知は一切行われない。クレジットカード情報は、PCI DSSに準拠したGMOペイメントゲートウェイのサーバで厳重に管理されるそうだ。同サービスは対面領域での非対面決済を実現する数少ないサービスとなるが、「大きな問題なく決済サービスは構築できました」と金川氏は笑顔を見せる。

支払い手段は、現状、クレジットカードのみの対応だが、プリペイドカード等の要望もあるそうだ。決済手数料については、各店舗と個別に折衝した上で決定される。また、店舗からのプッシュ通知やポイントカードへの対応も検討していきたいとしている。

なお、アプリのダウンロードについては、店舗で行う際、どうしても若干登録に時間を要するケースもある。そのため、「効率的に早く処理をしなければいけない店舗よりも会話を受けながらサービスを提供する店舗の方が導入企業として向いている」(金川氏)そうだ。IPIでは、登録を簡略化させる仕組みなども検討していきたいとしている。

飲食サービスやアパレルなどでの導入を目指す
接客業以外でのサービスも検討

今後は、KAOTASに合った業種・業態でサービスを広げていきたいという。まず、デリリウムカフェのようなこだわりのある飲食サービスで導入が進むと見ている。また、アパレルも有望な業態であるそうだ。例えば、洋服や靴のサイズを登録しておけば、次回以降、コミュニケーションが図りやすくなるという。

左からM's Kitchen 執行役員 店舗運営部部長 古城戸晶氏、KAOTAS プロジェクトマネージャーの金川暢宏氏
左からM’s Kitchen 執行役員 店舗運営部部長 古城戸晶氏、KAOTAS プロジェクトマネージャーの金川暢宏氏

また、「KAOTAS」は「そのほかにもいろいろな可能性がある」と金川氏は話す。例えば、クリーニングの受け取り、チケット、社員証としての活用など、さまざまな利用方法が考えられるそうだ。

IPIでは、「KAOTAS」の導入店舗を拡大させることで、「顔パス」で生まれる、店舗と顧客のリアルなコミュニケーションを広げていきたいとしている。

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