2014年12月11日8:00ネットから実店舗に送客する02Oサービス「お店でショッピング」を展開 アフィリエイトモールをリアルに応用したスキームで送客を強化
三井住友カードは、アフィリエイトモール「ポイントUPモール」内で、実店舗への送客を行うO2O(Online to Offline)サービス「お店でショッピング」を行っている。大手百貨店を中心に、すでに約800店舗が参加しており、当初想定していた約2倍の利用があるなど順調に売上を伸ばしているようだ。
約800のリアル店舗が参加
メール配信やアプリのプッシュ配信で利用を促す
三井住友カードでは、会員向けのアフィリエイトサイト「ポイントUPモール」を展開しており、多くの会員が利用している。「ポイントUPモール」は、大手ECモールや通販サイトなど、連携するECサイトへ送客し、会員に2~20倍のポイント還元を提供するサービスとなるが、「お店でショッピング」をオープンすることで、リアル店舗でも同様のメリットを享受したい会員のニーズにも対応できると考えたそうだ。現在は大手カード会社のほとんどがアフィリエイトモールを展開しているが、それをリアルに応用した最初の事例となった。
「お店でショッピング」は、百貨店、ショッピングセンター、アウトレットモール、インテリア雑貨、ファッション、紳士服、ゴルフ用品、スーパーなど約800店舗と提携。サービスを開始して約1年が経過したが、「リアル展開の可能性は感じています」と三井住友カード 会員サービス事業部 小澤裕之氏は話す。業種・業態によってばらつきはあるが、百貨店やショッピングセンター、アウトレットモールなどの利用は特に多いそうだ。小澤氏は、「リアル送客アフィリエイトは、実店舗への行動が伴います。お客様がエントリーしてから足を運ぶというハードルを考慮すると利用率は想定以上に高いです」と笑顔を見せる。
会員は「お店でショッピング」内の掲載店舗の中から近々訪れたい店舗を選び、エントリーボタン「ココ行こ♪」をクリック。PCはもちろん、外出先からはスマートフォンでもエントリー可能だ。その後、指定の有効期限内に選んだ店舗でクレジットカードを利用すると、店舗側の任意の倍率でワールドプレゼントのポイントが通常より多く獲得できる。会員は7日間の有効期限内の好きなタイミングで店舗に来店すれば、お得にポイントを貯めることが可能だ。
店舗にとってもクーポンを受け取るなど、特別なオペレーションが発生しないメリットがあるそうだ。「クーポンサービスは、受け側である店舗のインフラ・オペレーション整備等ハードルが高い課題があり、それを排除したシステムでないと普及しないと考えました」と三井住友カード 会員サービス事業部 グループマネージャー 井本慎二氏は口にする。
現在、会員ごとにクーポンの出し分けを行っていないが、カードの利用状況や居住エリア、属性等に応じて、メール配信やカード会員向けインターネットサービス「Vpass(ブイパス)」アプリのプッシュ配信を行っている。週末にショッピングされることが多いため、メール配信は週末に合わせて配信することが多い。
会員のエントリー実績や新規利用といったデータも提供
エントリーした会員のうち3分の1が店舗で決済
利用者の傾向としては、「ポイントUPモール」を利用する人も多いが、それ以外の会員を送客できているそうだ。また、三井住友カードの会員の中でも優良会員が利用している。さらに、継続して利用する会員も多いという。
クーポンを掲載する店舗に対しては、要望に応じてエントリーした人数、過去に自社の店舗を利用した会員、新規利用の会員といった分析データを提供している。小澤氏は、「もともと自社の店舗を利用していた既存顧客が『お店でショッピング』を経由しているイメージをお持ちの店舗が多かったですが、実際の分析結果をみると、想定以上に新規顧客を送客できていると、ご評価いただいています」と自信を見せる。
店舗への送客については、ネットでエントリーした人のうち3人に1人が実際に店舗で決済しており、ポイントはカード決済後、2カ月以内に付与している。
キャンペーンもこれまで数回実施。大丸松坂屋百貨店や阪急メンズ東京等のキャンペーンでは、「キャンペーンを実施していない時と比較し、数倍のエントリーがありました」と小澤氏は成果を口にする。
想定の約2倍の利用率
優良会員が継続して利用
サービス開始から1年が経過したが、当初の売上計画は半年間でクリアし、想定の約2倍の利用があるそうだ。成功の要因として、「優良なお客様が利用していること、地道なプロモーションにより会員の認知度が上がってきたこと、そして何より会員が継続してご利用いただいていることが挙げられます」と小澤氏は語る。
課題としては、対象店舗の拡大を挙げる。ECサイトは送客に対しての販促費に対する考えは一般的だが、実店舗はかけられるコストに制約があるという。
なお、「お店でショッピング」は、「ポイントUPモール」の運営・管理業務を担うデジタルガレージ(DG)と組んでシステムを構築している。店舗の開拓も両社共同で行っているそうだ。
今後も参加する店舗の質を維持し、数を増やすことで、さらに多くの会員に利用してもらいたいとしている。また、決済データや利用状況がより集まってきたタイミングで、さらに発展した取り組みを展開できると考えているそうだ。
また、利用履歴に応じたクーポンを配信するCLOサービスも検討しているそうだが、会員の利用状況を絞ってオファーを出しても売り上げの規模が小さくなる可能性もあるため、同サービスにおいては、オープンコンテンツとして業容を拡大していくという。