2015年6月22日7:3oクラウドベースのNFCモバイル決済技術を提供するBell IDの取り組みとは?世界各国でプロジェクトが進行し、日本への展開も視野に
Googleは2013年10月から、「Android4.4(KitKat)」に「Host Card Emulation(HCE)」を採用した。HCEは、ソフトウェアのみを使用してモバイルデバイス上の支払いカードを行う技術であり、これにより銀行(イシュア)はクラウド上でクレジットカード等の処理を行うことが可能だ。オランダのBell IDは、世界中でHCEやトークナイゼーションに対応したサービスを提供しており、日本への進出も視野に入れているそうだ。同社 アカウント・マネージャー William Belle氏に話を聞いた。
オーストラリアではANZが採用
――現在、世界におけるモバイル決済およびトークナイゼーションのプロジェクトはどの程度ありますか。William Belle:
世界的にすべて30のプロジェクトを展開しています。たとえば、SIMベースのモバイル決済の場合、銀行はSIMカード等にアクセスするためにモバイル・ネットワーク・オペレーター(MNO)(キャリア)を通さなければなりませんでしたが、その契約は不要となります。たとえば、オーストラリアの銀行の多くがHCEベースの決済サービスを提供する予定です。また、日本でも今後は同様の流れがあると伺っています。
――ホストカードエミュレーションおよびモバイル決済サービスの採用状況についてお聞かせください。
William Belle:現在、大きなプロジェクトがあり、オーストラリアとニュージーランドで大きな銀行となるANZ(オーストラリア・ニュージーランド銀行)では6~7月、もう1つは米国ベースの企業となり、8月からサービスを提供します。米国の企業はeコマースの大手となります。
また、大手で弊社のモバイルサービスを採用している企業であれば、カナダのトップの銀行、また米国のモバイルサービスと国際ブランドが挙げられます。
HCEとトークナイゼーション技術の融合も進む
――オーストラリアにおけるHCEの採用は、どの程度進んでいますでしょうか。また、日本での展開はいかがでしょうか?William Belle:
Bell IDが提供するモバイルウォレットは、決済に利用できることはもちろん、追加のカードも発行可能です。また、カードの写真を撮影して登録できます。オーストラリアは非接触市場として大きく、全取引の60~70%は非接触です。また、弊社としては日本に参入も考えています。
非接触決済は、市場として徐々に立ち上がっています。主要な市場としては、オーストラリア、米国、カナダに加え、アジアの日本、中国、台湾などが挙げられます。
――HCEとトークナイゼーションの融合はどの程度進んでいますか?
William Belle:トークナイゼーションは、モバイル決済サービスとして、新しく大きな動きだと思います。ANZの場合、HCE技術を利用されていますが、トークナイゼーションをeコマースやモバイルコマース、ロイヤリティプログラム、POSに使うことができます。トークナイゼーションにより銀行が安全に、広範囲なサービスを提供可能です。また、セキュリティ面にも優れています。
※取材は2015年5月20、21日開催の「Cards & Payments Australia 2015」のBell IDのブースにて