2014年11月14日8:23NFCモバイルペイメントのHCEサービスにおいて屈指の実績を築くカナダとイタリアの4社でサービスが採用
Googleは、NFCスマートフォンで利用できる機能「Android4.4(KitKat)」に「Host Card Emulation(HCE)」を採用したが、オランダのBell IDはHCEによるセキュアでオープンな支払いが可能になるサービスを提供している。すでに欧米で導入が進む同社のサービスについて、マーケティングマネージャーのAndré Stoorvogel氏に話を聞いた。
米国、北ヨーロッパ等の地域を中心に開拓
USIMよりもコストを削減可能に
――まずは、貴社のHCEサービスについてお聞かせください。
André Stoorvogel:Googleは2013年10月から、オープンなプラットフォームとして、「Android4.4(KitKat)」に「Host Card Emulation(HCE)」を採用しました。HCEは、ソフトウェアのみを使用してモバイルデバイス上の支払いカードをエミュレートする技術であり、これにより銀行(イシュア)はクラウド上でクレジットカード等の処理が行われます。従来、銀行はSIMカード等にアクセスするためにテレコムオペレーター(キャリア)を通さなければなりませんでしたが、そういったプレイヤーの関与なしにセキュアエレメントへのアプリケーションの発行を行うことが可能になります。これにより、銀行はモバイルペイメントを展開しやすくなりました。すでにVisaやMasterCardはHCEをホストするためのスペックを出しており、銀行はそのスペックにしたがってサービスを提供できます。
――現状の導入実績についてお聞かせください。また、すでにUSIMなどでサービスを展開している国もありますが、そういった地域での展開は考えていますか?
André Stoorvogel:すでに4つのお客様がサービスを展開しています。現状、カナダとイタリアの2カ国での採用となり、まずは米国、北ヨーロッパなど、コンタクトレスペイメントが行われている国を中心に開拓していきたいと考えています。また、例えば、カナダではすでにSIMでNFCモバイルペイメントサービスが展開されていますが、参入しています。銀行にとっては、HCEの方がコストを抑えられるメリットがあります。
ソフトウェア提供において20年の経験が強み
HCEはモバイルペイメントの展開で主流となる
――HCEサービスを展開するベンチャーも登場していますが、競合との差別化についてお聞かせください。André Stoorvogel:
弊社はソフトウェアについて20年の経験を持っており、技術も有しています。また、すでに導入は一番進んでおり、この分野においては№1だと考えています。また、我々のソフトウェアを使えばロイヤリティプログラムの展開も可能です。
――日本での展開についてはいかがでしょうか?
André Stoorvogel:日本の市場はまだ先であると考えており、外国の企業はパートナーなしに参入するのは難しいような気がしています。
――今後、HCEはモバイルペイメントにおいて主流になるのでしょうか?
André Stoorvogel:主流になると思います。欧米でモバイルペイメントは6~7年行われていますが、まだ成功には至っていません。その理由として、介在するプレイヤーが多いという課題があります。HCEはより簡略化したやり方で、エコシステムの構築においてもメリットがあるでしょう。
※取材は2014年11月2~5日まで開催の「Money20/20」にて