2015年10月28日0:51
ディー・ディー・エス(DDS)は、ウェアラブル指紋認証機器「magatama(マガタマ)」を発表した。ID・パスワードに代わる新しい本人認証の仕組みとして、決済や認証など、さまざまなシーンで活用可能だ。「magatama」は、Bluetoothとペアリングして利用する。現在の機器にはNFCタグが搭載されているが、2016年にはFeliCaやTypeA/Bへの対応、2017年にはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)搭載を予定している。
「magatama」は、31mm(直径)×9mm(高さ)、9.8g(重量)の小型ハードウェアで、コインリチウム電池で1年間の駆動が可能だ。筐体は、ホルダーとモジュールで構成。モジュール部分には、クラウド上のオンライン認証規格「FIDO(Fast IDentity Online)」に準じた指紋認証機能をはじめ、各IT部品を搭載している。ホルダー部分は、モジュールから脱着可能なため、例えば、アクセサリーや腕時計に登載するなど多様なデザインの組合せが実現可能だ。
無線通信では、スマートフォンとBluetoothで接続。さらに、外部端末とNFC通信が可能だ。たとえば、スマートフォンはカバンなどから取り出さなくても、デバイスだけで指紋認証と無線通信が行える。ディー・ディー・エス 代表取締役社長 三吉野健滋氏は、「実際の使い勝手は誰でも、老若男女使えるようなインターフェースを目指しています」と説明するように、パスワードレスで認証を可能にするウェアラブル機器となっている。加えて、すべてのスマートフォンに生体認証機能を持たせられるウェアラブル機器であるのも特徴だ。
また、「magatamaプラットフォーム」は、「magatama」とスマートフォンアプリ「magatamaアプリ」とFIDOサーバーで構成される認証局サービスとなる。「magatamaアプリ」を使うことで、スマートフォンのパスワードレス化を実現し、複雑なキータッチから解放される。また、「magatama」だけではなく、スマートフォン内蔵の指紋センサーでも動作可能だ。「magatamaサーバー」は、クラウド上のIDサーバーで、認証局としてID管理と本人確認を行う。
「magatama」は、物販(ECサービス/リアル)、デジタルコンテンツ販売、決済・課金、スマートキーなど、さまざまなアプリケーションで使用することができるそうだ。
FeliCa/NFCによる決済の場合、「magatama」で指紋認証してから決済端末にかざすと支払いが実現する。その際に、スマートフォンの電源を入れた状態での利用が求められる。
FeliCa対応については、フェリカネットワークスと話を進めており、iOS端末とおサイフリンク対応製品をBluetooth SMARTで接続しておサイフケータイサービスが利用できるアプリ「おサイフリンク」への対応も予定している。さらに、グローバルでのMasterCard Contactless(旧MasterCard PayPass)やVisa payWave、Apple Payといった決済の普及を受け、TypeA/Bベースのサービスに対応できる体制も整えていきたいとしている。
なお、「magatama」の製造コストは一個あたり数千円の前半となっており、販売価格はオープンだが数千円の後半~1万円程度となる模様。DDSでは、エンドユーザーへの「magatama」およびアプリの供給は、パートナーにより有償もしくは無償で提供される予定だ。すでに提携を希望する企業は上場企業だけで10社を超えているという。