2016年2月2日8:02
JCB PREMO、ハウスプリペイド、JCBプリペイドの展開でリーディングカンパニーを目指す
ジェーシービー(JCB)では、企業や発行会社のニーズに応じて、リアルタイムに残高を管理する「JCB PREMO」、クローズド型のハウスプリペイド、クレジットカード同様にJCB加盟店で利用できる「JCBブランドプリペイド」の3つのプリペイドスキームを展開している。JCBがプリペイド事業を行う強み、順調に広がる採用事例について話を聞いた。
加盟店との直接契約によるネットワーク構築が強み
企業のニーズに合ったサービスを提供可能
JCBは、国内すべての加盟店との契約を自社で担う「シングルアクワイアリング」による加盟店網の構築を行っており、受託事業も含めたサポートが手厚い点が、プリペイドビジネスにおける強みとなる。
「企業によって、プリペイドカードを自社で展開したい先、発行主体者を要望される先もあります。また、『オンライン環境』、『ハウス電子マネーの発行』、『世界中で利用してもらいたい』といったニーズに対応したサービスをトータルに提供できます」(JCB プリペイド事業推進部長 榊原 英人氏)
JCB PREMOはカジュアルギフトを想定
阪神タイガースやベガルタ仙台のファン向けカードも発行
同社が提供するプロダクトは大きく3つ。まず、JCB PREMOは、コンビニエンスストア、家電量販店、インターネットサイトの加盟店など、全国30万店舗で利用可能だ。全件即時決済のため、オーバードラフトのリスクはない。また、利用にあたり年齢制限がないため、幅広い層に訴求可能だ。個人情報を取得していないサービスであり、誰でも気兼ねなく利用でき、ギフト需要にも対応している。
「JCB PREMOは、カジュアルギフトニーズを想定しており、単価も紙のギフト券(JCBギフトカード)に比べ、少し低いゾーンを狙っています。また、フリーデザインの機能を付けることで、企業優待、株主優待や社員報奨において、各法人の要望に応じたフリーデザインで発行することが可能です」(榊原氏)
プロパーカードに加え、阪神タイガースやベガルタ仙台のファン向けカードも発行している。地域に浸透したスポーツクラブと連携する意義は大きく、仙台市のローソンではベガルタデザインのカードが陳列されているそうだ。さらに、常磐興産が運営するスパリゾートハワイアンズ、大阪府の「おおさかもずやんカード」でもJCB PREMOが採用されている。
現状、JCB PREMOはコラボレーションカードが好調だが、今後はプロパーカードの売り上げをさらに高めていきたいとしている。また、現在はローソン店頭での現金チャージが可能であるが、今後は更にチャージ拠点の拡大に努め顧客利便性を高めていく方針だ。
JCBがバリューイシュアとなりハウスプリペイド発行を支援
2つめのプロダクトとして、JCBではバリューイシュアとなりハウスプリペイドカード発行をサポートしている。残高管理をJCBが担うことで、企業は法的な対応と管理業務を削減可能だ。また、プリペイドカードシステムの開発も企業の要望に沿ったものを提供している。
すでに、コメダ珈琲店・おかげ庵で利用できる「コメカ」、日本ケンタッキー・フライド・チキンで利用できる「KFCカード」で採用されている。榊原氏は、「今後も順次発行が予定されています」と話す。
コメリやローソンでJCBプリペイドを展開
クレジットカード同様にJCB加盟店で利用できるプリペイドカードも2015年7月からサービス開始。JCBでは、シングルアクワイアリングにより、加盟店数、加盟店の情報や接点を一元的に管理しており、企業はデータ分析やマーケティング分析などを円滑に行うことが可能だ。
第一弾として、コメリの子会社であるコメリキャピタルと「アクアカード」を発行している。発行枚数は非公表だが、すでに多くの枚数が発行されおり、チャージ金額も想定以上だという。また、コメリではJCBのクレジットカードも100万枚以上発行されているが、その枚数は落ちずにアクアカード会員を獲得できているそうだ。
JCBブランドが付いたローソンの「おサイフPonta」発行も支援している。榊原氏は、「ローソン様では、内部はもちろん、外部加盟店(JCB加盟店)でもご利用いただけるよう、お客様の利便性や使い勝手を重視されております」と、JCBプリペイド発行の経緯を説明する。
モバイルウォレットの広がりに期待
地域独自の商品券のカード化も支援
今後のプリペイドカードのさらなる普及に向けては、商品性の理解が挙げられる。加盟店の認知は徐々に高まっているが、まだ時間が必要とみている。榊原氏は、「プラスチック型のプリペイドカードの定着はこれからであり、そのメリットや使い勝手の良さはアピールしていきたいです」と語る。
また、複合商業施設「トレッサ横浜」の「トレッサウォレットアプリ」のように、決済、クーポン、ポイントの一元管理ができるモバイルウォレットの普及に期待する。モバイルウォレットが普及すれば、決済はもちろん、チャージもスマートフォン上で便利に行うことができる。さらに、JCBでは「地方創生支援室」を立ち上げ、地方活性化に向けた活動をしており、大阪府の「もずやんカード」のような地域独自の商品券のカード化も支援していきたいとしている。
2016年2月1日からは、ジェイティービー、日本電信電話、一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会とともに、訪日外国人旅行者に対してスマートフォンアプリを活用したショッピング、 飲食情報、 優待サービスなどの情報提供とカード型商品券「JCBプレモカード」による消費促進策を通じて、 滞在中の移動情報と決済情報を解析し、マーケティングに利活用する実証実験を東京都・新宿エリア、北海道・札幌エリアで開始した。
榊原氏は、JCBにおいてプリペイド事業を立ち上げた一人だが、最初はチームからスタートし、グループ、室になり、2015年4月から部となったように、社内の理解も進んできた。「プリペイドカードは、クレジットカードでは提供できないサービスや付加価値を各企業やお客様に提供できる優れた商品です。JCBではさまざまなプリペイド商品を包括的に提供できる強みもあるため、この強みを活かしてさまざまな企業のビジネスをご支援していきたいです」と榊原氏は熱い思いを口にした。