2016年10月14日9:16
近年、スマートフォンやタブレット端末機の登場により、世界中でいわゆるモバイルコマース並びにモバイルデバイスによるオンライン決済や資金振替、送金などモバイル遠隔(Remote)型ペイメントやNFCやQRコードなどの近接(Proximity)型モバイルペイメントといった遠近の“モバイルペイメント”(Mobile Payments)が急速に普及・拡大が予想される。世界のモバイルコマースの収入をみると、2015年度から2019年度には7倍以上に拡大するというデータもある。
海外の動向をみると、スマートフォンが普及しているアメリカで、「Apple Pay」が2014年にリリースされたほか、2015年10月からのライアビリティシフトの実施に伴い、カード加盟店に設置されているPOSカード決済端末機のEMV ICカード対応が行われ、その際、コンタクトレスペイメントに対応するカード加盟店が多いといわれている。
さらに、アメリカでは、FinTechによるモバイルバンキングの能力の向上に伴い、急速にモバイルバンキングが普及している。こうしたアメリカで、遠近両方のモバイルペイメントの普及・拡大が予想されている。
欧州をみても、デビットカードを中心にキャッシュレス化が最も進んでいるスウェーデンやフィンランド、デンマークなどの北欧でもNFCやQRコードのモバイルペイメントが急速に拡大し、キャッシュレスに大きく貢献している。
アジアの動向をみると、50億枚以上のペイメントカードが発行され世界最大のペイメントカード発行国となり、モバイルフォンユーザー数も世界一となった中国での動きが活発だ。中国では、中国銀聯(China Union Pay)によるコンタクトレスペイメントとNFCが推進されている。また、サードパーティのオンラインペイメントソリューションであり、中国のPayPalともいわれている浙江省杭州市に本社を置く“支付宝”(Alipay)や広東省の深圳市に本社を置くチャット(対話アプリ)の中国最大手のテンセントグループのオンラインペイメントソリューション“財付通”のQRコードによるモバイルペイメントである“微信支付”のQRコードによるモバイルペイメントが急速に拡大している。
日本では、モバイルFeliCaのサービスが2014年から開始されてきたが、2016年10月下旬から「Apple Pay」のサービスが開始された。また、モバイルウォレットのサービスも徐々に広がっており、銀行口座との連携など、その活用も多岐にわたっている。
いずれにせよ、2016年秋から2017年に向けての国内の決済業界では、モバイルペイメントの動向が注目を集めそうだ。