2017年2月21日8:30
訪日外国人旅行者の呼び込みに欠かせないのが、ビザ発給条件の緩和と多くの国で導入されている消費税などの付加価値税の外国人旅行者への免税制度の充実である。日本では2014年4月1日より消費税の税率が5%から8%に引き上げられ、たくさんショッピングをしようとする訪日外国人旅行者にとって免税制度の利用が欠かせないものとなっている。
(図表)のようにヨーロッパの多くの国では付加価値税の税率はすでに20%を超えている。外国からの旅行者が国外に持ち出す購入商品などには基本的に付加価値税を払う必要がなく、付加価値税の免税制度はヨーロッパへの旅行者にとって欠くことができないものである。アジアの国では、外国人旅行者の誘致合戦において鎬を削るお隣の韓国の付加価値税は10%であり、シンガポールの7%、マレーシアの6%、タイの7%など、5%から10%前後の国が多い。特異なのはアメリカで、付加価値税は州税や地方税として徴収されていて、その税率は州ごとに異なる。なお、なんらかの付加価値税を課している国は130以上といわれ、そのうちおよそ半分の国において、外国人旅行者に税金を払い戻すTax Refund制度を導入しているといわれている。
付加価値税の税率が高く、EU(ヨーロッパ連合)により国境を超えてショッピングを行う機会が多いヨーロッパでは、多くのTax Refundサービスプロバイダー(免税手続き代行業者)が活動している。Global Blue(本社:スイス)は大手のTax Refundサービスプロバイダーで、ヨーロッパのみならず日本や韓国などグローバルベースで事業展開を図っている。Global Blueは、35年以上前の1980年にスウェーデンで“スウェーデン・タックス・フリー・ショッピング”として創業し、1998年に“ヨーロッパ・タックス・フリー”に社名を変更、その後、現在の“Global Blue”と改名している。社員数は1,800名以上、50カ国以上のデパートやブランドショップ、ホテルなど30万店以上の加盟店と提携し、毎日10万人以上の旅行者が同社の事後免税サービスを利用している。また、ヨーロッパなどでは、Tax Refundのキオスク端末機“Global Blueセルフサービスキオスク”を国際空港などに設置している。
Global Blue は、日本でも2013年9月に、日本最大のカード決済ネットワーク“CAFIS”を運営しているNTTデータと合弁でグローバル・ブルーTFSジャパンを設立している。2015年にスタートしたNTTデータのクラウド型総合決済サービス“CAFIS Arch”には、DCC(Dynamic Currency Conversion、為替変動リスク回避決済)とともに、Tax Refundサービスも組み込まれている。