2017年3月13日8:00
ANAカードとANAマイレージクラブカードの間を埋める商品として訴求
全日本空輸(ANA)は、三井住友カードと提携し、プリペイド決済機能付ANAマイレージクラブカード「ANA VISAプリペイドカード」を2016年1月15日より発行している。現在は約5万枚が発行されている。
<チャージ限定型>と<オールチャージ型>を提供
平均単価は5,000円を超える
ANA VISAプリペイドカードは、ANAマイレージクラブの機能と、国内外約4,000万店のVisa加盟店で、事前にチャージ(入金)した金額分を利用できるVisaプリペイド機能が1枚になった、入会金・年会費無料のANAマイレージクラブカードだ。フライトに加え、提携パートナーでの利用でマイルが貯まるほか、プリペイドカードの利用金額合計1,000円(税込)につき、ANAマイル5マイルが自動的に貯まり、貯まったマイルは特典航空券などに交換ができる。
ANAでは、これまでクレジット機能が付いた「ANAカード」、決済機能非搭載の「ANAマイレージクラブカード」と2種類のカードを軸にサービスを展開してきた。ANAカードでは、さまざまなカード会社と提携してカードを発行してきたが、近年はクレジットカードの市場が飽和状態になっている。また、日本の人口構成として、クレジットカードを持てる層が徐々に少なくなっており、さらに、国際ブランドが付帯されたデビットカードやプリペイドカードの発行も増えている。そこで、ANAカードとANAマイレージクラブカードの中間の層を埋める商品として、「ANA VISAプリペイドカード」を発行することとなった。
「たとえば、若年層の方にANAマイレージクラブカードよりも若干近い距離で関係性を構築できれば、将来的にANAカード等、より深い関係を持つことにつながります」(ANA X株式会社 事業推進部 ファイナンシャルビジネスチーム 戸部 純氏)
「ANA VISAプリペイドカード」は、<チャージ限定型>と<オールチャージ型>の2種類を用意。<チャージ限定型>は、ANA VISA/マスターカード会員の13歳以上の子供が利用でき、チャージは申込み者(保護者)のANA VISA/マスターカードに限定される。また、利用の都度、利用情報がメール通知されるため、子供への小遣いとして、一人暮らしや海外留学など、離れて暮らす家族への仕送りにも使用可能だ。一方、<オールチャージ型>は、15歳以上が利用できる。Webで申し込みができ、クレジットカード、コンビニ、ペイジーなどの決済方法でチャージできる。同カードも利用の都度利用情報がメール通知される。
発行から約1年が経過したが、「月間の利用金額は想定以上です。また、三井住友カードでは先行してプリペイドカードを発行していましたが、利用やチャージの金額は高いというお声をいただいています。現状の月間平均利用単価は5,000円を超えています」と、戸部氏は成果を口にする。入会者の属性として、若年層のユーザーはもちろん、想定した以上に20~40代の申し込みが多いことも単価を引き上げている要因となっている。
航空券や旅行関係での支払いが多い
会員数増加の取り組みを強化
実際の利用シーンを見ると、コンビニエンスストアが最も多いが、「その次に航空券など、旅行関係のチャネルが続いているのが特徴です」と戸部氏は話す。逆に課題として、目指していた会員数を獲得できていない点が挙げられる。券面にVisaと記載されているとクレジットカードという認識が一般的にあるため、プリペイドカードとしての消費者への訴求が難しい部分もある。また日本では、SuicaやPASMOなど、固有の電子マネーの文化が定着しているため、そこに新たなプロダクトを訴求するのは難しい部分もある。さらに、事前に3,000円をチャージしなければカードが発行されない点もあるそうだが、入会のハードルを高めているからこそ、高い稼働率を誇るカードとして定着している点も見過ごせない。
今後の展開として、クレジットカードを持てない・持ちたくない層へのアプローチはもちろん、親が子供に持たせるカードとしての告知も含め、どうコミュニケーションを図るのかが鍵になるとみている。戸部氏は、「稼働率を継続して高めていくとともに、三井住友カードと協力して発行枚数を増やす取り組みを考えていく方針です」と笑顔で語った。ANAでは今後、スマートフォンと連携したサービスについても検討を進めていきたいとしている。