2017年5月2日8:00
昨今、公金の分野でクレジットカード納付が広がりをみせている。国税庁では納税者の利便性を高めるために、国税電子申告・納税システム「e-Tax(イータックス)」の導入など、納付方法の多様化を推進してきたが、2017年1月4日、新たにクレジットカードによる納付手続きを専用サイト上でスタートした。申告所得税・復興特別所得税や、法人税、消費税、贈与税など、20種以上にわたるほとんどの税目で利用可能だ。なお、「国税クレジットカードお支払サイト」を運営するのは国税庁長官指定の納付受託者であるトヨタファイナンスとなる。
納付者の利便性の向上を第一義に導入
事前登録などの必要なく、いつでも簡易に手続き
今日の非対面決済市場では、電気やガス等の公共料金から、一部地域の住民税や固定資産税、ふるさと納税や自動車税に至るまで、クレジットカードでの支払いが可能となっている。「オンライン決済が普及し、公金関係でも導入されてきていますので、国税でもニーズがあると考えました。2016年、税制改正がなされ、この1月から開始できたという経緯です」と国税庁 徴収部 管理運営課 課長補佐 宮川賢司氏は説明する。
現状は、金融機関や税務署での窓口納付が多くを占めるという。2004年に運用を開始したe-Taxでは、事前に届け出をした預貯金口座からの振替によるダイレクト納付や、インターネットバンキングのPay-easy(ペイジー)も使用できるが、クレジットカード納付には対応していない。
今回のクレジットカード納付は、税目や金額が分かる国税の申告書や税務署の通知書を手元に用意し、「国税クレジットカードお支払サイト」(https://kokuzei.noufu.jp/)にアクセスすれば、簡単に手続きが済ませられる。ペイジーは事前にe-TaxのID取得が必要であり、ダイレクト納付も口座登録の必要がある。クレジットカード納付は事前の手続きが不要で、パソコンやスマートフォン等から24時間365日利用できる。
税務署や金融機関の窓口営業時間に合わせて足を運ぶ必要もなくなる。宮川氏は「クレジットカード納付が利用されることにより、窓口納付が減少することも期待しています」と明かす。金融機関の窓口が閉まる15時以降のクレジットカード納付分も、「その日に納付があったものとして延滞税などの規定が適用されます」とのことだ。なお、窓口納付ではクレジットカードが使用できないため注意が必要だ。
納付可能額の上限はあるが分割払いやリボ払いも可能
6月にはe-Taxとクレジットカード納付の連動も開始
今回の導入は、個人や小規模事業者の利用に期待している。宮川氏は「インターネットショッピングなどをよくご利用の方であれば、ご自身の生活で馴染みのある手続きですので、便利に使っていただけるのではと考えています」と話す。
国際ブランドは、Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Clubが利用でき、分割払いやリボ払いも可能だ。決済手数料は納税者負担で、納付税額が最初の1万円までは76円(消費税別)、以後1万円を超えるごとに76円(消費税別)を加算した金額が必要だ。納付可能額は1,000万円未満、かつカードの決済可能額の範囲内となる。なお、決済手数料は、納付される税額に応じて、国税庁長官が指定した民間の納付受託者が決定するものであり、国の収入になるものではない。また、クレジットカード納付は窓口納付と異なり領収証書は発行されない。宮川氏は「色々な納付手段がございますので、クレジットカード納付に関しては、こうした点があっても利用したい方に間口を開いている形です。ご自分に合った納付方法をご選択いただければと思います」と念を押す。
国税庁では、2017年6月からe-Taxとの連動も予定。「e-Taxで申告書を送信していただければ、納税額などをクレジットカード納付の画面に引き継いで納付ができるものを開発しています。あらかじめe-Taxで申告書を送信する必要はありますが、クレジットカード納付がより簡単に行えるようになります」と、宮川氏は笑顔で話してくれた。