2017年10月18日8:00
日本の連合ロイヤリティ・プログラム(Coalitional Loyalty Program、他にマルチポイントプログラム:共通ポイント)には、ポイント運営会社を軸とした「Tポイント」(Tポイント・ジャパン)や「Ponta」(ロイヤリティマーケティング)、「dポイント」(NTTドコモ)、「楽天ポイントカード」(楽天)といった4つの連合ロイヤリティ・ポイントプログラムが鎬を削っている。
このほかに、イオングループを中心としたIC電子マネーベースのWAONポイントやセブン‐イレブンを中心としたIC電子マネーベースの「nanacoポイント」を含めると6つの有力なロイヤリティ・プログラムが展開されている。
クレジットカードやデビットカードが普及し始めた1980年代にイギリスで「Air Miles」というサードパーティの専門サービスプロバイダーが提供する連合ロイヤリティ・プログラムが登場し、イギリスで急速に普及・拡大していった。
その後、イギリスの「Nectar」やドイツの「Pay Back」などの連合ロイヤリティ・プログラムが続々と誕生し、カナダやオランダ、スペイン、イタリア、ポーランド、メキシコ、インドなどでの展開を始めた。
韓国の「OKキャッシュバック」やカナダの「Aero Plan」、日本のTSUTAYAの「Tカード」や楽天の「楽天ポイントカード」など、もともと単一企業の独自のロイヤリティ・プログラムだったものが発展し、連合ロイヤリティ・プログラムに成長したケースも多い。
クレジットカードやデビットカードなどのカード大国であり、ロイヤリティ・プログラムによるマーケティングが盛んなアメリカには、イギリスのAir Milesがいち早く進出していたものの、上手く浸透せずに撤退を余儀なくされ、その後本格的なマルチプログラムは生まれず、連合ロイヤリティ・プログラムの不毛地帯とされていた。
そうした中、ドイツのPay Backを傘下に入れたアメリカン・エキスプレスは、2015年3月からサードパーティの「Plenti」という連合ロイヤリティ・プログラムをアメリカでスタートさせた。
Plentiには、通信ビジネスのAT&Tや大手石油会社のEXXON・MOBIL、全米でデパートを展開するMacy’s、保険と金融サービスのNationwide、大手ドラッグストアチェーンのRite Aid、電力などのエネルギー会社のDirect Energy、ビデオなどのオンライン配信サービスのHulu、“Alamo”や“National”、“Enterprise”のブランドで全米をネットワークするレンタカーのEnterprise、オンライントラベル大手のExpediaのほか、T&Eカードのアメリカン・エキスプレス自身も参加している。
連合ロイヤリティ・プログラムに参加するパートナーからは、単独のカスタマー・ロイヤリティ・プログラムに比べた、“顧客から御愛顧”を勝ち得ることができるマーケティング効果の有無やプログラムコストに対する疑義が唱えられることがある。
しかしながら、連合ロイヤリティ・プログラムは進化し続けている。サードパーティのマルチポイントのみならず、FFPやFUPなどのような単独プログラムから連合ロイヤリティ・プログラムへの拡大、生活圏に根差した日常の消費をベースにした地域プログラム、モバイル財布アプリの活用、モバイル財布アプリによる決済と統合したプラットフォーム、複数の単独プログラムの結合による“連合ロイヤリティ・プログラム”の形成など、多彩なプラットフォームが、欧米先進国のみならず東南アジアやインド、中南米、中東諸国などでも生まれている。
(レポート「ポイントカード・ロイヤリティマーケティング市場要覧」より)