2018年9月28日8:15
ビザ・ワールドワイド(Visa)では、2018年9月25日~28日まで開催されている日本経済新聞社および金融庁主催の「FIN SUM X REG SUM 2018」にスポンサーとして参加しているが、9月25日のプレス発表会で今後の日本におけるキャッシュレス化に向けた同社のイノベーションの取り組みについて、デジタル・ソリューション&ディプロイメント部長 鈴木章五氏が紹介した。鈴木氏は、10月3日のペイメントナビ有料セミナー「2020年に向けたVisaの決済戦略」に登壇する。
トークン決済により加盟店や単位でトークンを管理可能に
Visaのタッチ決済は加盟店対応、決済端末対応が進む
Visaでは、IoTやウェアラブル、コネクティッドカー、スマートシティ、スマートホーム、O2O等により、今後ますます決済の多様化が進むとした。また、それらが具体的に生活の中に顕著に表れてくると考えている。現在は、カードやウェアラブルデバイス以外でも、音声や指紋、顔認証などでも決済が可能となっており、Visaでも実験を行っている。
Visaでは、①トークン化、②タッチ決済やQR決済といったアクセプタンスの提供、③プッシュペイメント、④ビッグデータの活用、といった取り組みを進めている。
1つめのトークン化に関しては、今後、デジタルデバイスを利用した決済シーンが増えると予想される。それに伴い、デバイスも多用し、加盟店のエントリーモードも多様化すると想定される。
Visaでは、モバイルやIoT機器に決済情報を載せる際、16桁の番号から派生されたトークンを用いて、安全・安心な決済が可能だ。また、加盟店やデバイス単位でアカウント番号とは異なるトークンを発行・管理できる。すでに、Apple PayやGoogle Payのモバイルペイメントに加え、海外のNETFLIXのように大量のカード情報を保有する企業がセキュリティレベルを高めるため、加盟店ごとにドメインをコントロールし、トークン番号で処理している。
2つめのタッチ決済やQR決済への対応として、国が進めるキャッシュレス化を推進していく上で、誰でも、どんなデバイスからもデジタルで決済ができるようになることが不可欠だとした。Visaでは、アクワイアラ(加盟店開拓会社)と連携し、タッチ決済対応加盟店の拡充を進めており、導入企業も増えてきた。すでにマクドナルド、ローソンといった企業に加え、Japan Taxiも導入の準備を進めている。さらに、イオンもグループとして順次対応を進めると発表した。鈴木氏は、「今後、皆様が普段使いをされている加盟店様がますますタッチ決済のインフラを整えていただける予定となっています」と説明する。
決済端末もさまざまな事業者がタッチ決済に対応。今後の予定として、寺岡精工が2018年10月にリリースを予定しており、東芝テックもPOS用対応端末を来春にリリース予定だ。
加盟店提示型のQR決済等が可能なプッシュペイメントの国内展開も検討
ビッグデータによりリスク低減、マーケティング活用も可能に
支払いの新たな形として、プッシュペイメントの活用も進むとした。プッシュペイメントは、支払い側が受取人または加盟店のアカウントを指定して、資金を送金できるため、既存の取引とは電文の流れが逆となる。これにより、加盟店提示型のQR決済、カードアカウントを利用した個人間送金、割り勘アプリの提供等が可能になる。鈴木氏は、「将来的には日本での展開も見据えています」と話した。
4つめは、ビッグデータを活用することで、利便性の高いサービスの提供やユーザー体験の差別化を実現可能だ。たとえば、リスク低減のアドバイス、マーケティング・CRMの支援なども力を入れていきたいとした。