2019年4月9日8:00
スターバックス コーヒー ジャパンとLINEは、2018年12月に、デジタル領域におけるイノベーションの加速化を目的に包括的な業務提携を結んだ。両社は2019年4月8日、この提携内容の詳細を説明する記者会見を開催。同日より、「LINE スターバックス カード」、および、スターバックス「LINE 公式アカウント」をスタートすることを発表した。同社は“コミュニケーション”と“キャッシュレス”の領域で強固に連携し、デジタル技術を駆使して、ぬくもりのある新しい顧客体験を提供していきたいとしている。
パーソナライズされた顧客体験の提供を目指し
スターバックスの「LINE 公式アカウント」を開設
スターバックスとLINEには、先端のデジタル技術を採り入れながら、ぬくもりのあるコミュニケーションを推進するという共通の価値観がある。そこで、2015年より、LINEでつながっている友だちにギフトを贈ることができる「LINE ギフト」で協業を開始。2019年2月28日にオープンした「スターバックス リザーブ ロースタリー 東京」では、店頭に近づくとLINEで通知を受け取ることができる「LINE Beacon」を活用したオープニング企画「BEAN TO CUP JOURNEY」を実施。そして2018年12月には、デジタルを通じた顧客体験価値向上の一環として、“コミュニケーション”と“キャッシュレス”の2軸において連携を強化するため、包括的業務提携を締結した。
いよいよこの業務提携の具体的活動がスタートする運びとなった。スターバックス コーヒー ジャパン 代表取締役最高経営責任者(CEO) 水口貴文氏は、「お客様に素晴らしい顧客体験を提供するには、商品、パートナー、店舗に加えて、デジタルという要素が必須になっています。このたび、デジタル技術はもちろん、コミュニケーションの先駆企業でもあるLINEとの本格的な協業をスタートできることを大変光栄に思っています。これにより、デジタル領域においてもイノベーションをリードし続け、ひとりひとりのお客様の満足度・利便性を高め、顧客体験の価値向上をさらに加速していきます」と語る。
第一弾として実施される取り組みは、大きく3つ。スターバックスの「LINE 公式アカウント」の開設、プリペイドカート「LINE スターバックス カード」の開始、スターバックス全店での「LINE Pay」の導入だ。「LINE 公式アカウント」と「LINE スターバックス カード」は、4月8日よりスタートしている。
「LINE 公式アカウント」では、新商品や季節のおすすめ情報などを発信。また、自分のお気に入りの1杯を探す「カスタマイズ」機能も提供する。
スターバックスはTwitter、YouTube、Facebook、InstagramなどさまざまなSNSをいち早く活用してきた企業として有名だが、「LINEはユーザーに身近に寄り添うクローズドなコミュニケーションツールであると認識しており、ほかのSNSとは使い方を変えて、パーソナライズされた情報を発信し、One to Oneのコミュニケーションを追求していきたい」(スターバックス コーヒー ジャパン デジタル戦略本部長 濱野努氏)としている。
「スターバックス カード」は来店客の3分の1が利用
企業カードとして初の「LINE Pay」によるチャージを実現
「スターバックス カード」は米国で2001年から、日本では2002年から発行されてきたプリペイドカードで、「スターバックスのキャッシュレスは、ここから始まった」(水口氏)。日本では現在、330万枚が発行されており、来店客の3分の1が利用している。「スターバックス カード」の会員は同社のロイヤルティプログラム「STARBUCKS REWARDS」への参加資格があり、購入の都度、各種商品やギフトと交換できるポイント「Star」が貯まる仕組みである。
今回スタートした「LINE スターバックス カード」は、LINEアプリ上から手軽に、簡単に作成でき、「スターバックス カード」と同様に店頭でのキャッシュレスでの支払いが可能だ。「LINEウォレット」内の「マイカード」を経由し、個人情報、パスワードなどの登録不要で、数回のタップで、ストレスなくカードを発行できる。スマホ上に表示されるバーチャルカードであるが、券面にはLINEのキャラクターであるブラウンコニーがスターバックスのコーヒーを飲んでいるという、両社のコラボレーションを象徴的に表したオリジナルのデザインが施されている。
企業が発行するプリペイドカードとしては初めて、「LINE Pay」からのチャージが可能になっており、クレジットカード情報を登録しなくても「LINE Pay」からチャージすることですぐに決済に利用することができる。
カード発行と同時に「STARBUCKS REWARDS」への参加資格も獲得でき、利用の都度、「Star」が貯まる。ただし、貯まった「Star」を、商品との交換可能な「Reward eTicket」に交換する場合には、パスワードなどを設定してスターバックスの「My Starbucks」に会員登録をする必要がある。
スターバックス コーヒー ジャパンの濱野氏は、「既存の330万人の会員は、スターバックスへのコミットメントが非常に強いお客様です。今回、LINEの7,900万人のアクティブユーザーに情報を提供することで、よりカジュアルな動機を持った新たな層に、幅広くアプローチできるのではないかと期待しています」と展望を口にする。さらに、「そういった層の購買データを蓄積、分析していくことによって、新たなサービスの開発・提供につなげられると考えています」(濱野氏)という。
スターバックスに順次「LINE Pay」決済を導入
2020年夏までには全店で
スターバックスとLINEのキャッシュレス化の取り組みとしては、国内のスターバックスへの「LINE Pay」の導入を進める。2018年末より、東京都内と福岡市内の一部店舗に導入し、テスト的に運用しており、現在は10店規模で対応しているが、今後順次導入を進め、2020年夏ごろまでには全店への導入を完了する予定だという。
LINE 代表取締役社長 CEO 出澤剛氏は、「決済や送金それ自体も、大切なコミュニケーションだと考えています。スターバックスに来店されるお客様に、快適な決済体験をお届けできる環境の構築を目指します」と語る。
LINEは現在を「第二創業期」と位置付け、スマートフォンでのコミュニケーションをベースに、AIやフィンテックといった新たな領域にチャレンジしている。出澤氏は、「このようなタイミングで、世界中で愛されているスターバックスとの連携を強化することができて非常に嬉しい。スターバックスのお客様ひとりひとりに合った、あたたかみのあるコミュニケーションの実現に貢献したい」としている。