2010年11月08日8:20
「注目のペイメントビジネス」~銀座三越(2)
増床後の免税売上金額は前年比で約2倍に増加
中国人観光客の売上に頼りすぎると危険?
今年の7月から訪日観光査証が見直され、北京、上海、広州の公館48社から中国全土7公館280社に取扱公館、中国側の旅行会社が拡大した。これにより、中国人観光客のさらなる増加が見込まれている。
「当店では7月、8月に増床工事のため、店舗の営業面積が半分以下になりました。そのため、免税売上も低下すると考えていましたが、7月は対前年比で約3倍、8月は約2倍の売上を達成しました。9月11日に増床オープンしましたが、9月1日から10日までは営業していなかったのにも関わらず、9月は前年と比較して免税売上金額は約2倍に増えました」(仁田氏)
銀座三越は、世界的にも知名度が高い銀座の街の中心に位置しているため、増床後は中国人も含め、外国人顧客への対応を強化している。同店には外国人専用のインフォメーションセンターを新設。スタッフは英語・中国語にも対応し、店内以外に銀座の街の情報提供などを行っている。また、銀聯カード対応のATMも店内に設置した。
ただ、同店ではあくまでもステータスのある百貨店として日本人に支持される店舗を目指している。そのため、銀聯決済の大々的な告知は行っていないという。現在も店内の一部の売り場で銀聯カードが利用できる案内版を掲示している程度である。
「銀座三越において、銀聯決済が全体の売上に占める構成比はまだ1%未満です。報道では中国人観光客の旺盛な購買意欲に目を付けて、壮絶な争奪戦を展開しているように見受けられがちですが、あくまでも大切なのは日本の方に満足していただく、魅力的な百貨店を目指すこと。そうなれば自ずと中国人観光客の満足度も上がり、来店に結びつくと考えています」(仁田氏)
実際に増床オープン後は銀聯決済を含む、中国人の売上が増加したが、日本人の貢献度はさらに高まっているそうだ。同氏は、「中国人観光客だけに頼りすぎると、経済事情などにより来日客が減った際に大きな打撃を受ける危険性があります」と指摘する。
銀座三越では今後も日本人の顧客に圧倒的な支持を受ける百貨店を目指すことで、中国人をはじめとした外国人のステータスを高める狙いだ。