2010年11月8日8:10
「注目のペイメントビジネス」~銀座三越(1)
店舗全体の売り上げに占める銀聯決済の割合は1%弱
日本人のステータス向上が中国人の売上アップにつながる
世界的にも知名度が高い銀座の街の中心に位置する銀座三越は中国人観光客が多い店舗として有名だ。9月11日に銀座・有楽町地区で最大規模となる百貨店に生まれ変わった同店における銀聯決済の現状について話を聞いた。
百貨店で初めて銀聯決済に対応
本年のビザの緩和以降は平均決済単価が若干下がる
銀座三越では中国銀聯の決済を2006年1月に百貨店として初めて導入した。導入初年度については認知が進まなかったため、それほど取扱件数は伸びなかったというが、2007年からは中国銀聯が積極的に中国で告知を行ったこともあり、大幅に取扱金額が伸びたという。2007年から、ATMによる銀聯カードの現金引き出しが可能になったことも大きい。
来店する中国人観光客の決済単価は、クレジットカード決済よりも高い傾向にあるという。銀聯カードで決済を行う人の中には10万円以上の買い物をする人も多い。特に中国人の来店の多い季節は、中国の旧正月に当たる2月の「春節」、10月1日~7日の「国慶節」の時期だ。
「例えば春節の時期になるとカタログを持参されて、資生堂のスキンケアなどの化粧品を10~20個まとめ買いされる方も多くいらっしゃいます」(三越銀座店 営業統括部長付 別会場売出計画 マネジャー 仁田正俊氏)
そのほか、人気のある商品はバーバーリーの洋服や福助のストッキング、子供用の粉ミルクなど。最近では高級なスイーツを購入してホテルに持ち帰って食べる人もいるという。
来店時間で特に多いのは、団体旅行の場合、開店直後から12時までの時間帯と17時~19時まで。2009年7月に日本政府が年収25万元(約240万円)以上の制限付きで中国人観光客への個人旅行を解禁してからは、日中に個人で訪れ、ゆっくりと時間をかけて買い物をする人が増えたそうだ。ただし、全体の平均単価自体は若干の減少傾向にあるという。
なお、銀座三越での銀聯カードの決済処理は、三井住友カードが設置したINFOX端末を利用している。端末は食品売り場と催事場を除いたすべてのフロアに設置。現状はPOSとINFOX端末に金額を2回入力する形で処理を行っている。