2019年8月27日8:30

自然言語処理、OCR、画像解析の3種類のAIを活用

ジェーシービー(JCB)では2018年8月より、AIを活用して加盟店の不正情報を検出する加盟店管理システムを、全面稼働させている。自然言 語処理、OCR(光学的文字認識)、画像解析の3種類のAIを用いて、インターネット上から多面的かつ効率的に情報を収集・ 分析し、不正の可能性を洗い出す。加盟店管理の分野におけるAI活用は国内初の試み。人手のみで行っていたときと比較して、作業効率が格段に向上しただけでなく、精度のばらつきもなくなった。JCBではこうして得た加盟店情報を他のアクワイアラ とも共有することによって、非対面決済、キャッシュレス決済が拡大し取引の実態が見えにくくなっている中においても“安全”“安心”な決済環境を確保していきたいとしている。

ジェーシービー 加盟店管理部長 福嶋章人氏

シングルアクワイアラとして加盟店管理を強化するため
改正割販法施行を機に加盟店審査にAIを導入

日本発の国際カードブランドであるJCBは、国内加盟店契約を 一手に担うシングルアクワイアラである。そのJCBは、より厳格 な加盟店管理を求める改正割賦販売法の施行などを機に、2018年 8月、AIを活用した加盟店管理システムの運用をスタートさせて いる。加盟店管理の分野におけるAI活用の試みは、国内初となった。

ジェーシービー 加盟店管理部長 福嶋章人氏は、この経緯について、「非対面決済、キャッシュレス決済が拡大して、取引の実態が 目に見えにくくなっている現状にあって、“安全”“安心”なカード決済環境を保つには、リスクを早期に捕捉できる仕組みが必要です。そこで、AI活用という発想にいたりました」と説明する。

JCBの加盟店審査には大きく、新規契約時に実施する初期審査と、契約後に毎年継続して実施する途上審査があり、各々、情報収集と審査の2ステップで行われる。初期審査には2013年よりNTTデータのシステムを導入していたが、最も人手がかかっていたのは、定型化しにくく業務が煩雑な途上審査における情報収集だ。10人ほどのスタッフがマニュアルに従ってインターネット上 から加盟店に関する情報を収集していたものの、マニュアルには 書き切れない独特のノウハウが必要で習熟には時間がかかり、人によっても精度にばらつきが生じていた。

10人がかりで作業に当たっても、情報を収集できるのは1日当 たりせいぜい100店。現在、JCBの加盟店数は国内外合わせて約 3,000万。加盟店数、カード会員数ともに年々増加する中で、AI に大きな期待が寄せられたのだ。

自然言語処理、OCR、画像解析の3種類のAIを駆使
加盟店のリスク度合いを3段階で評価

現在、AIが活用されているのは主に、契約後の途上審査において、 インターネット上の膨大な情報から関連情報を見つけ出し、分析して、リスク度合いを暫定的に〇△×の3クラスに仕分けするプロセス。初期審査の段階では基準を満たしていても、契約後に無断で業態転 換を行うといった悪質なケースも散見されるため、JCBの加盟店管理システムではそのような事態も想定して、AIを使って“見張り”をしているのだ。

AI活用のイメージ

費用対効果は十分
他のアクワイアラとも情報を共有し業界全体の安全性向上に貢献

※書籍「PCI DSS・カードセキュリティ・実行計画対策ガイド」より

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