ブロックチェーン技術をアンケート調査に活用、一般層は現金やポイント、ビットコイン付与者は仮想通貨のニーズが高い(マクロミル/HashHub/コインチェック)

2019年9月27日8:00

マクロミルは、2019年9月24日、HashHubおよびコインチェックと共同で、「仮想通貨およびブロックチェーン技術の実態把握Meetup」を開催した。当日は、8月にマクロミルとHashHubで共同実施した、Lightning Network(ライトニングネットワーク)の技術を活用して行ったアンケート調査による実証実験の結果を報告した。

マクロミルポイントから仮想通貨に交換可能に

マクロミルでは、コインチェックと共同で、アンケート調査協力への報酬として自社パネルに付与するマクロミルポイントを仮想通貨に交換できるサービスを、2019年9月10日より開始した。これまで、マクロミルでのポイントの交換先は、商品や他社ポイント、銀行振り込みによる現金交換だったが、仮想通貨「ビットコイン」「イーサリアム」「リップル」への交換が可能となった。

これに先立ち、8月にHashHubを含め、ブロックチェーンの最新技術「Lightning Network」を用い、回答直後にビットコインを付与する仕組みの検証を目的としたアンケート調査の実証実験を行った。

Lightning Network技術は、仮想通貨ビットコインの即時送金を可能にする最新セカンドレイヤー技術となり、ブロックチェーンの外部に送受金者間で支払いの経路を設けることで、安全性を保ちながら、高速に決済を実現することができる。マクロミル 統合データ事業本部 デジタルプロダクト事業部 斉藤司氏によると、Lightning Network技術によるマイクロペイメントと送金、アンケートの親和性は高いそうだ。

マクロミル 統合データ事業本部 デジタルプロダクト事業部 斉藤司氏

ブロックチェーンでリアルタイムに少額・ポイントの送金や課金が可能に

今回の調査では、HashHubの協力を得て、ユーザーが会員登録内で即時にビットコインを受け取れるように実装を行った。同技術を応用することで、1問単位、3問単位など、リアルタイムに少額・ポイントの送金や課金を行える仕組みを実現できるとした。HashHub 共同創業者兼CEO 平野淳也氏によると、会員登録、メールアドレスも任意にしており、銀行口座も不要で提供できるそうだ。

HashHub 共同創業者兼CEO 平野淳也氏

また、外部のHashHubに協力を依頼したアンケートに加え、マクロミルモニターにも2,000名を対象に調査を実施した。これにより、①マクロミルモニタの仮想通貨の売買/保有未経験者、②マクロミルモニタの仮想委通貨の利用/保有者、③HashHubの仮想通貨の利用/保有者、という3つの傾向を分析している。

マクロミルが今回の実証実験で検証したかった事項として、①仮想通貨による新規モニタの獲得可能性、②仮想通貨の利用/興味有無による(データ提供に対する)許容度の違い、③マクロミルモニタと仮想通貨利用者との属性の差、という3つを挙げた。斉藤氏は、アンケートの対価としての仮想通貨が受け取れることにニーズ、仮想通貨の利用有無によるデータ提供に対する許容度の違いを把握したかったとした。マクロミルでは、2017年10月にも仮想通貨についての調査を実施しているが、そのデータとの比較を交えて解説した。

ビットコイン決済の利用率は50%強

まず、ビットコインの認知度は2017年の87.6%から4.1pt上昇し、91.7%となった。また、購入経験は男性20代で1.7pt下がったが、男性30代では2.0pt上昇している。

ブロックチェーンの認知率は、仮想通貨保有者の32%が正しく理解しており、中でもビットコイン付与者では57%と高い数値となった。また、仮想通貨を保有したきっかけは、「インターネットの記事・ブログ・掲示板」がもっとも高かった。ビットコイン付与者は、「勉強するため」「ブロックチェーンや仮想通貨の技術に興味を持ったから」という意見が多かった。

ビットコインの活用状況として、ビットコイン決済の利用率は50%強となった。また、仮想通貨保有者では30.1%がECサイトでの利用となっている。さらに、関連サービスではウォレットの利用率が高く、仮想通貨保有者では60.6%と高い数字となった。利用意向は、仮想通貨保有者、ビットコイン付与者ですべてのサービスで半数以上の意向を示した。また、ブロックチェーンに関する言葉については、「マイニング」が最も認知・理解共に高かったという。

コインチェック 執行役員 大塚雄介氏

仮想通貨保有者のデータ提供に対する抵抗感は低い?

データ提供に関する問いでは、仮想通貨保有者のデータ提供に対する抵抗感は低く、許容できる情報の種類は、「個人を特定できない情報」が最も多かった。データ提供に求める対価として、「現金の提供」「ポイントの提供」がともに半数強となった。また、ビットコイン付与者では、「仮想通貨の提供」のニーズが高かった。

 

仮想通貨保有者のデータ提供に対する意識として、「世の中が便利になることは望ましい」「ポイントを交換して仮想通貨をもらえる」「アンケート回答で仮想通貨がもらえる」がそれぞれ70%以上と高い数値を示した。

実験に協力したコインチェック 執行役員 大塚雄介氏は、ブロックっチェーンや仮想通貨は技術的な問題、金融システム、規制などがあり、専門性が高く大企業での実装は労力が伴うが、社内でどう話をどうまとめていくのかが今後普及するかのポイントになるとした。また、ブロックチェーンは普及機の入り口に差し掛かっているとしたうえで、技術的な発展を遂げることで、プロトコル自身が価値を見出して、社会的に実装されていくとした。

平野氏は、「ブロックチェーンは信用コストを削減できるメリットがあり、さまざまな業界に適用できるが、わかりにくい面もある」と話す。特にコンソーシアム型ブロックチェーン技術の運用は各企業間での調整が必要で、膨大な時間がかかる。また、日本ではブロックチェーン上に法定通貨を載せる「ステーブルコイン」は実現できていないとした

 

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