「Visaのタッチ決済」を日常の支払いで最も一般的なインターフェースとして定着目指す

2020年5月19日8:00

ビザ・ワールドワイド(Visa)では、クレジット、デビット、プリペイドといった非接触対応のVisaカード(モバイル含む)をタッチするだけで、スピーディーに支払いができる「Visaのタッチ決済」をグローバルに推進している。Visaの国内での取り組みと成果について、説明してもらった。

「Visaのタッチ決済」のイメージ

対応カードの発行枚数は約2,390万枚

――まずは、国内での「Visaのタッチ決済」のイシュア(カード発行会社)の発行状況についてお聞かせください。また、世界ではタッチ決済の決済比率が5割を超える国も多いです。店舗での利用率はどのくらい進んでいますでしょうか?
ビザ・ワールドワイド ジャパン(以下、Visa):2020年3月末時点で、国内におけるVisaのタッチ決済対応カードの発行枚数は、約2,390万枚(取引先金融機関・発行会社からの報告による)となりました。

日本でも、まさに昨年から今年にかけて、世界標準のタッチ決済の発行枚数、対応加盟店数、そして利用取引件数が急速に伸びています。2020年3月のVisaのタッチ決済の取引件数は、前年同月比で、約5倍以上となっています(当社調べ)。発行では、4月から楽天カード様、LINE Pay提携カードでも発行が開始されました。加盟店様については、利用可能な店舗が急速に拡大しています。また、クレジット、デビット、プリペイドという支払方法の選択肢もあり、安全、便利、スピーディというタッチ決済の利点と利便性をご理解頂ける機会が増え、利用も急速に伸びております。

 

――日本は独自の電子マネーが先行しており、タッチ決済のイメージがわかない方もいらっしゃると思いますが、タッチ決済が浸透するために必要な点についてお聞かせください。
Visa:日本におけるキャッシュレスは、クレジットカードをベースに進んでいることがわかっています。経済産業省のキャッシュレス・消費者還元事業開始前後の支払い方法を調査したところ、約9割近く(87.2%)の消費者がクレジットカードを支払い方法として選んでいます(2020年1月Visa x MMD研究所調査*)。日本では、Visaカードは1.5億枚以上発行されており、Visaは多くの消費者の皆さまにキャッシュレスの決済方法として慣れ親しんでいただいています。Visaのタッチ決済は、消費者の皆さまがこれまで慣れ親しんでいただいているVisaを、世界標準の技術を用いて、より便利、スピーディかつ安全にご利用いただけることが特徴です。かざすということに慣れている日本の消費者の皆さまにとって、非常に親和性があるソリューションだと考えております。また、昨年末に行った上記の調査では、キャッシュレスに求めるものとして、「ポイント」「利用場所」に加え、「安心」「簡単」といったキーワードが上位に挙がりましたが、目下の環境下で、そういったキャッシュレスに対する需要や期待はさらに高まっているかと思います。Visaのタッチ決済は、かざすというシンプルな動作、世界標準のVisaのセキュリティを満たしており、そのような消費者のニーズにも対応しています。

加盟店管理会社様、加盟店様と協力しながら、タッチ決済を導入いただいた加盟店様の、店頭、レジ回りに、タッチ決済可能のロゴマークを掲示していただく活動や、店舗スタッフのオペレーションマニュアルの整備を通して、世界標準のタッチ決済を利用しやすい環境を整えると共に、さらには発行会社様とも協力しながら、Visaをかざすだけで支払うことができるという認知を高めています。

また、モバイル(Google Pay, MUFG デビット)やウェアラブル(Garmin Pay)でもご利用いただくことが可能で、さらに、クレジット、デビット、プリペイドを選択いただくこともでき、消費者の皆さまの多様なニーズに対応可能な決済ソリューションであり、これらの点についても引き続き認知コミュニケーションを図ってまいりたいと考えております。

「Google Pay」の利用イメージ

タッチ決済対応の端末数は約3.8倍

――2020年の東京五輪に向けて加盟店の開拓を進められてきたと思いますが、当初の想定よりも浸透が進んでいないという声もあります。現在の加盟店数とこれまでの成果をお聞かせください。
Visa:2019年末時点で、対前年比で日本全国のタッチ決済対応の端末数は約3.8倍となっております(加盟店管理会社からの報告による)。加盟店数は開示しておりませんが、直近では、イオングループ様が、3月までにイオンリテール本体に加え、イオンモール、傘下のスーパーマーケット、ドラッグストア、コンビニエンスストアを含む10万台の対応レジの導入を完了しており、6月からは、日本最大のコンビニエンスストアチェーンのセブン-イレブン・ジャパン様が対応を開始することを発表しています。その他、ドトールコーヒー様も対応を開始しており、コカ・コーラ様のマルチマネー対応自販機でも4月より順次導入が開始されています。

このような動きを見てみますと、日常利用の店舗での採用が広がっており、現在政府が推進しているキャッシュレス化に少しでも貢献できるよう、今後もシーンの拡大を目指したいと考えております。

——東京五輪が2021年に延期されましたが、タッチ決済の加盟店推進は1年延期でどの程度広がると予想されますか?
Visa:さきほどご説明した通り、ご利用いただける加盟店および対応のレジは飛躍的に拡大しています。具体的な数字は申し上げられませんが、今後もこの加速は続き、日常的に利用する店舗だけでなくその他の加盟店での導入が進み、全ての消費者が日常での利用で最も一般的なインターフェースとしてVisaのタッチ決済を手にすることを目指しています。

加盟店の協力を得て端末へのPOP掲示にも注力

――国内の加盟店のスタッフも(タッチ決済というと電子マネーを想像してしまい)タッチ決済自体を認知していないケースもありますが、どのくらいすれば定着すると思われますか?
Visa:加盟店スタッフの認知は、カードホルダーの認知と同様に重要です。Visaでは、パートナー企業と協力し、お客様の視認性を高めインターフェースを選べるようなPOPを用意し、加盟店の協力のもと端末へのPOP掲示にも力を入れています。また、Visa加盟店管理会社やスクエアなどの決済事業者では、加盟店向けにタッチ決済促進の案内やビデオを用意して、加盟店スタッフの認知度向上にも努めています。今後さらにタッチ決済対応のカードが増える中で、さまざまな角度から、加盟店スタッフにおいても、タッチ決済の認知が上がると考えております。

――ウェアラブルなど、五輪に合わせた決済のプロダクトの提供は考えていますか?
Visa:東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の唯一の決済テクノロジーパートナーとして、競技会場ならびに関連施設において、選手・観客の皆さまに、利便性が高く、安心・安全でシームレスな決済サービスを提供するべく、現在準備を進めております。開催が来年に延期となりましたが、開催前にお披露目できる機会があるかと存じます。

注目のモバイル対応は? 今後も対応店舗、対応カードは増加

――コンタクトレス決済が普及する海外では、「タッチ決済」や「コンタクトレス」といった名称を用いない地域も多いですが、日本ではそうする予定はありますか?
Visa:日本の消費者の皆さまは、かざすという行為自体は慣れ親しんでいるものと思います。消費者の皆さまにかざすという動作をわかりやすくご理解いただくとともに、さらなる認知拡大を進めることを目的に、「Visaのタッチ決済」の呼称を使用しております。

――Apple Payといったモバイル決済への対応についてはいかがでしょうか?
Visa:日本の消費者の皆さまに、より多くの決済の選択肢をご提供するべく、現在さまざまな取り組みを行っております。

――タッチ決済の目標についてお聞かせください。
Visa:すでに、セブン-イレブン様が6月からの対応開始を発表されていますが、今後も対応店舗、対応カード、ともに増える見込みです。具体的な目標値は公表しておりませんが、厚生労働省が発表した、新しい生活様式のなかにも電子決済の利用を推奨されており、日常生活をよりシンプルにスムーズに安心して送ることができるよう、日本のキャッシュレス化に少しでも貢献してまいりたいと考えております。来年夏に延期された東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会もあり、まずはほとんどの日常加盟店でご利用いただけ、全ての消費者の皆様にとって日常利用における最も一般的なインターフェースとして手にすることが可能な環境整備を目指したいと考えています。

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