2020年6月30日8:30
2020年6月26日に開催されたbitFlyer Holdingsの臨時株主総会では、世界で初めて「なりすまし防止機能付き」のブロックチェーン投票によるバーチャル株主総会が採用された。当日は、「なりすまし防止機能付き」のブロックチェーン投票サービス「bVote」を使った議決権行使の概要について、bitFlyer Blockchainが説明した。
マイナンバーと連携したブロックチェーンシステム
「なりすまし防止機能付き」のブロックチェーン投票サービスは、ブロックチェーンの仕組みを活用するとともに、マイナンバーカードと連携する個人主権型IDサービス「bPassport」を利用している。
同仕組みとして、投票者はQRコードスキャンとマイナンバーの連携で本人確認を行う。マイナンバーカードはパスワードでロックされているため、スマートフォンでマイナンバーのパスワードを入力し、スマートフォンのNFC機能でカードのチップを読み取る。サーバには、マイナンバーから本人情報が読み取られ、氏名、住所、生年月日、氏名が入力される(マイナンバーの情報は取り込まれない)。投票者は本人確認をして、「Vbote」にカードが取り込まれる。
株主には、メールが送信され、株主登録カードをスキャンして株主としての登録を行い、同カードを使って投票する。投票者は株主登録カードで議決権数を発行し、「賛成」、「反対」、「棄権」を選択する。票を投じると、その情報がブロックチェーンに書き込まれる。bitFlyer Blockchain 代表取締役 加納裕三氏は「ブロックチェーンを使っているのは、書き換えが不能だからです」と説明する。
透明性があり、公正な投票、集計が可能に
今回の仕組みでは、票の集計や改ざん防止を純国産のブロックチェーンシステムである「miyai」が実現。miyabiでは、投票内容がブロックチェーンに書き込まれているかを確認可能だが、投票者の情報は暗号化されており、第三者が見ても、誰が賛成、反対したかは把握できないそうだ。匿名性は担保されており、透明性は担保されている。
加納氏は「透明性を持って運営されているのがすごく大事です」と力説する。株主総会では、株主と会社はしばしば対立するが、その際に不正が起きがちだ。マイナンバーとブロックチェーンを活用することによって、公正な投票、集計が行うことができるという。
投票した株主からも使い勝手の良さを評価
新型コロナウィルス感染拡大の状況を踏まえ、遠隔地よりリアルタイムに議決権行使が行える「ハイブリッド出席型バーチャル株主総会」の開催を検討する企業が増えているが、 セキュリティを担保した投票システムや本人確認システムの導入など、 開催に向けたハードルが高く、例年通りの株主総会を開催する企業が多い。
実際に参加したQUICK チーフストラテジスト/シニアアナリリスト 堀内敏成氏は、緊急事態宣言の中、リモートで参加しているため、違和感はなかったとした。インキュベントファンド Controller Associate 柳瀬 博史氏は、「ダウンロードから投票まで、あっという間に完結して操作性が高い」と評価した。ベンチャーラボインベストメント 常務取締役 山中大慈氏は、移動時間を節約できる点をメリットとして挙げた。
今回はbitFlyer Holdingsでの活用だったが、今後は同仕組みを外販することで、株主総会の利用はもちろん、会議や選挙などへの適用も見据えている。