2020年10月12日18:00
大日本印刷(DNP)は、スマートフォンで自動車の施錠・解錠を行うデジタルキーの配信・管理のためのプラットフォームを提供すると発表した。
DNPは、ICカード事業で培った情報セキュリティ関連の技術・ノウハウを活かし、業界横断の団体Car Connectivity Consortium(CCC)が策定するグローバルな標準仕様に準拠した、安全なプラットフォームを提供するそうだ。まず、2020年10月から自動車メーカーやデジタルキー用車載機メーカーなどに開発環境を提供し、2023年頃を目処に共同利用可能なデジタルキーセンターの構築を目指す。
また、自動車デジタルキー用の車載セキュアエレメント(セキュリティ機能がある半導体製品)、バックアップキーとして利用可能なICカードの提供も順次開始し、レンタカーやカーシェアリングなどのMaaS(Mobility as a Service)の拡大やスマートシティの実現を推進していく。
具体的には、自動車のデジタルキーにとって重要とされる暗号鍵や電子証明書を生成し、安全・安心に車載機やスマートフォンなどに配信するためのプラットフォームとなる。①デジタルキー用のサーバー構築・運用、②車載機のNFCデバイスやセキュアエレメントの開発・提供、車載ソフトウェアの開発支援、③スマートフォン用デジタルキーライブラリの開発・提供、④バックアップキー用ICカードの開発・製造・提供、を提供する。
サービスの特徴として、高セキュリティなDNPのデータセンターで暗号鍵や電子証明書等の重要データを生成・発行する。暗号鍵はデータセンター内で厳重に管理し、車載機に書き込むデータを製造工場に安全に配信する仕組みを提供する。個人情報の安全な取り扱いとデジタルキーの利用状態を管理する。また、車載機やスマートフォンに対し、遠隔で安全に電子証明書等の更新データを配信するそうだ。
さらに、車載機用のセキュアエレメントはCCC準拠のアプリケーションを搭載しており、車載機側で複雑な処理を行う必要がない。また、デジタルキーを含む各種サービスのトラストアンカー(電子的な認証手続きの基点)として利用できる。NFCのリーダに搭載するアンテナのチューニングや回路形成等のノウハウを基に、ドアハンドル以外にも実装可能な多様な形状のNFCモジュールを提供します。セキュアエレメントとの連携も可能だ。また、NFCとワイヤレス充電器Qi(チー)の一体型モジュールの提供も検討している。
そのほか、車の予約から本人確認、決済、鍵の授受や廃棄までの一連の手続きを、非対面かつ利用者自身の操作のみで完結できる新サービスが求められるなか、DNPの本人確認(eKYC:electronic Know Your Customer)や決済関連サービスなどと同プラットフォームを組み合わせることで、セキュリティと利便性を両立させたサービスを提供する。
DNPは今後、自動車メーカーだけでなく、レンタカーやカーシェア事業者など、自動車にデジタルキーを導入する企業が共同で安価に利用できる「デジタルキーセンター」の構築を推進していく。同プラットフォームと関連サービスで、2025年度に10億円、2030年度に累計84億円の売上を目指す。また、MaaSのほか、スマートシティなどでの非モビリティ分野にも展開していく。