2012年1月19日12:35
大日本印刷(DNP)は、暗号化した電子書籍データをDNPが開発した高セキュリティなmicroSDカード「TinySmart(タイニースマート)」に格納し、タブレット型端末で閲覧できる専用ソフトとともに提供を開始したと発表した。
TinySmartは、ICカード用の高セキュリティな基本OSを搭載しており、専用の暗号・復号ソフトを利用することで、電子書籍データの不正コピーを防止するほか、端末やTinySmartの盗難・紛失の場合にも電子書籍データの漏えいを防ぐなど、コンテンツの安全な管理を行うことが可能だ。
このTinySmartと専用ソフトが、1月14日から札幌市中央図書館が実施する電子図書館実証実験に採用された。札幌市中央図書館は、今後の電子書籍の貸出サービスを想定して、電子書籍のメリットや課題を検証するため、電子図書館実証実験を行っている。実証実験では、自宅のパソコンやテレビ、図書館から貸与するタブレット型端末などの機器を利用して、約20タイトルの電子書籍を実験に応募したモニターが、機器による見え方や使い勝手などを検証する。
図書館の利用者の多くは、自分自身で電子書籍をダウンロードした経験が無いことから、今回DNPは、暗号化した電子書籍データを格納したTinySmartと、それを搭載したタブレット型端末を利用者に貸し出す方法を提案し、採用となった。
TinySmartでは、Flashメモリーに保存した電子書籍データを安全に取り扱うことができる。まず、セキュアチップ中に、復号に必要な鍵を保管することにより、電子書籍データへのアクセスが専用ソフト以外からは困難となっている。、また、Flashメモリーに保存された電子書籍データは暗号化されているため、仮に不正コピーされても閲覧は不能である。さらに、予めTinySmartにインストールされた専用ソフト(TinySmart ebook viewer)と組み合わせることで、安全にコンテンツを復号し閲覧ができる。
端末盗難・紛失時の情報漏洩対策としては、閲覧時に利用者が端末から入力した暗証番号とTinySmart内に保存されている暗証番号を認証した後、コンテンツ一覧を表示する仕組みとなっている。起動管理では、専用ソフトが起動する際にTinySmartとの間で認証を行い、正しい組み合わせでのみ起動を許可している。
価格は、microSDカード「TinySmart」1枚(Flashメモリー容量4GB)で約2,000円(税抜)。今後DNPは、今回の電子図書館の実証実験の結果を受けて、実用化に向けた作業を行うとともに、全国の図書館や関連システム開発企業をはじめ、幅広いユーザーに向けて販売する。同社では、電子書籍格納媒体としてのTinySmart本体と電子書籍データ生成サービスおよび周辺システムにより、今後3年間で約3億の売上を見込んでいる。