2012年1月25日8:30
流通チャネルの最適化を目指すメーカー通販の挑戦
通販の“作法”に基づいた対応によって知名度・信頼性の高さによるアドバンテージが最大化
近年、メーカーの通信販売への本格参入が相次いでいる。その経緯や狙いはさまざまであるが、生活者との直接的なコミュニケーションをベースとする通販の本質を理解した上で、万全を期して参入に至る企業が増加しているようだ。今回の特集では、これらのメーカーの取り組みが通販市場に与えるインパクト、また、企業と生活者のコミュニケーションに及ぼす影響を探った。
ビジネスモデルの違いを踏まえ
万全を期して通販に参入するメーカーが増加
メーカーの通販参入の障壁は、 商品に自信があるあまりに、い わゆる“殿様商売”に陥ってし まうことだった。しかし今、モ ノづくりにこだわりを保ちなが ら、小売事業者として生活者目 線に立ったコミュニケーション を実現しようとしているメー カーは、生活者にとって最も身 近な企業となり得る可能性を手 にしている。
その参入経緯はさまざまだ。2010 年度で市場規模 が4 兆6,700 億円〔(社)日本通信販売協会調べ〕にま で拡大した通販市場の成長力に注目し、新規販売チャ ネルの開拓を意図に通販に参入する企業がある一方、 新たに開発した自社商品に適した販路を探求した結 果、通販に行き着いて参入に至った企業もある。いず れにしても、生活者との直接的なコミュニケーション をベースとする通販に、これまでの自社のビジネスモ デルにない魅力やポテンシャルを感じて参入している ことには相違ないであろう。
特に最近の参入事例においては、過去において散見 されたような緻密な事業計画を伴わない安易な参入は 減少しており、通販の特性やノウハウなどについて一 定の研究を行った上で、万全を期して参入に至るメー カーが増加しているようだ。従って、その取り組みは 短期的、衝動的なものではなく、長期的、計画的なも のとなっており、一定期間を経て、事業を軌道に乗せ る企業も増加しつつある。
サプライチェーンにおいて最も川上に位置し、従来、 生活者と直接コンタクトする機会が少なかったメー カーも、昨今ではインターネットの普及などにより、 生活者とコミュニケーションを図って、新たな関係性 を構築する必要に迫られている。生活者に直接商品を 販売する通販はその中でも最も緊密な関係性を築ける 取り組みであり、今後、通販への参入を企図するメー カーがさらに増加していくことは間違いない。
本特集では、通販への本格参入を果たしたメーカー 各社のケーススタディを中心に、メーカーの取り組み が通販市場に与えるインパクトや企業と生活者のコ ミュニケーションのあり方に及ぼす影響を探った。