2013年5月28日8:30
顧客を応援団に! アンバサダー・プログラム
総 論:アンバサダーの人数×伝播力×熱意でプログラムの効果が決まる!
アンバサダー・プログラムの成否は、アンバサダーにいかに熱意を持って取り組んでもらえるかに左右される部分が大きい。従って、アンバサダーに“承認”や“名誉”などの無形の報酬を提供することにより、熱意の維持・向上を図っていく仕組みが不可欠であろう。
ソーシャルメディアの急速な普及を背景に注目が高まるアンバサダー・プログラム
昨今、「アンバサダー・プログラム」という単語を耳にする機会が多くなった。
アンバサダー(Ambassador)は直訳すれば“大使”。そこから転じてアンバサダー・プログラムとは、顧客をはじめとするさまざまなステークホルダーを自社ブランドのアンバサダーとして位置付け、ブランド価値の波及を図るマーケティング施策のことを指す。
こうしたマーケティング施策は必ずしも新しいものではなく、例えば通販大手の(株)千趣会が頒布会スタイルの通販で古くから採用している「お世話係さま」(頒布会通販の取りまとめ役)制度などは古典的なアンバサダー・プログラムであると言える。また、企業の施策ではないが、近年、地方自治体が競い合うように地元出身、または縁のある芸能人などの著名人を任命して観光PRなどの任に当たらせる「○○観光大使」なども類似の取り組みということができるだろう。
それではなぜ今、改めてアンバサダー・プログラムに注目が集まっているのか。その主要な原因としてはソーシャルメディアの急速な普及が挙げられる。
千趣会の「お世話係さま」の例を見てもわかるように、従来は一般生活者にアンバサダーの役割を与えても、その影響が及ぶ範囲は事業所内や地域内などごく限られたものであった。一方、著名人による「○○観光大使」などはマスコミで取り上げられる機会も多いため、その伝播力は大きいが、対象となる著名人は限られるため、話題作りにはなっても、マーケティング施策として水平展開を図ることは難しい。
しかし、ソーシャルメディアの普及により、多くの生活者が従来とは比べものにならないほどの情報発信力を手にした今、アンバサダー・プログラムのマーケティング施策としての可能性は急拡大している。このような背景から自社ブランドの価値を波及させていくために、アンバサダー・プログラムに注目する企業が増加しているのは、いわば当然のことと言えよう。
そこで今回の特集では、アンバサダー・プログラムに取り組む企業のケーススタディを中心に、その実態を把握するとともに、将来的な方向性を探ることにした。
なお、例えば自社ソーシャルメディア・アカウントのファンやフォロワーをアンバサダー“的”なポジションに位置付け、優先的な情報提供などを行うことで、ブランド価値の波及を狙う施策などもアンバサダー・プログラムと呼ばれる場合があるが、ここでは、登録・認定されるなどして、アンバサダーが自身の役割を“自覚”していることを前提とした施策をアンバサダー・プログラムととらえることにする。