2015年4月27日9:105,304万人のT会員データを活用した物価指数「TPI」を開発・公表購買者の属性と紐付された精度の高い指数を公開
CCCグループでデータベース・マーケティング事業を手掛けるCCCマーケティングとカルチュア・コンビニエンス・クラブは、東京大学大学院 経済学研究科の渡辺努研究室との共同プロジェクトとして、5,304万人の会員を有するTポイントのデータを活用した新たな物価指数「T-POINT Price Index(TPI=Tポイント物価指数)」の開発に取り組み、このほど最初の指数を公表した。
日本全体の消費額2%をカバー
「買う側」が作ったデータであるTカードを活用
Tカードは、日本全国で5,304万人(2015年3月末現在の名寄せ後の利用会員数)が利用し、「決済額5兆円があるため、日本全体の消費額の2%がカバーできる」とCCCマーケティング 取締役副社長 北村和彦氏は話す。
東大日次物価指数を作成・公表する東京大学大学院 経済学研究科 教授 渡辺務氏によると、Tポイントデータの利点として、カード所有者が店頭でカードを提示したことにより作成された「売り側ではなく買う側が作ったデータ」であることを挙げる。また、消費者物価指数は、消費者が購入する価格を表現する指数であるべきだが、消費者から直接、価格情報を収集するのが技術的に難しく、総務省統計局が派遣する調査員のデータ(CPI)やPOSデータなどをみると、店頭側の情報に頼るという現在の作成方法が採用されてきたという。TPIは、消費者から吸い上げられた情報となり、消費者の物価指数を作るという原点に立ち返っているため、「そこには非常に大きな意義がある」としている。さらに、CPIは総務省統計局が派遣する調査員が店舗の値札を集めるが、TPIは購買取引の履歴であるレシートデータが原データとなっている。
多種多様な商品をカバー
速報性があり、属性情報を活用可能
TPIは、多種多様な商品をカバーできるのが特徴だ。ファッション、住まい、飲食、映像音楽など、消費者のさまざまな側面を対象としている。渡辺教授は、「電力などを除けば、ほとんどがTポイントのデータからカバーでき、CPIのカバレッジからいえば50%強までカバーできると考えています」と説明する。また、CPIは翌月末に公表されているが、TPIはほぼリアルタイムのデータ作成が可能だ。
さらに、購買者の性別・年齢別・移住地別の物価指数を算出できる。例えば、シニア層の購入した商品の価格だけを用いた「シニアTPI」を例にとると、シニア層が将来的にインフレへの備えをしようとする際に活用してもらえるという。また、年金支給者にはマクロ経済スライドが適用されているが、物価については総務省のCPIにスライドさせることになっている。しかし、CPIは、全世代の平均購買価格であり、シニア層の購買価格と異なる。これを「シニアTPI」にスライドさせることにより、年金受給者、支払いが側双方にとってメリットがあり、「『シニアTPI』連動されるかたちの投資信託など金融商品も期待できる可能性もあります」と渡辺教授は話す。
TPIではデフレ傾向を示す
購買価格は女性より男性、シニア層がジュニア層より低い
CCCマーケティング データベースマーケティング研究所 副所長 堀井克倫氏によると、今回の公表での使用データは、スーパーマーケット400店舗、ドラッグストア1,420店舗となった。品目数は、約160品目で、カバー率は16~18%あり、JANコード数は4万6,000~5万店となっている。具体的には、Tポイント提携先各社から集約された購買データに、東大方式のウェイトを算出・適用した前年同月比を物価指数として作成している。加えて、TPIの特長となる、性別(男女)・年代別(20~39歳、40~59歳、60~79歳)の属性ごとの物価指数を発表した。
その結果、スーパーマーケットのTPIをみると、東大指数と同様に昨年の消費増税以降、デフレ傾向を示しているという。また、「TPIのベースになる購買の価格に関しても女性が男性よりも低い傾向、シニア層(60~79歳)がジュニア層(20~39歳)よりも低い傾向がご覧いただけます。ドラッグストアでも似たような傾向となっています」と堀井氏は説明する。
同結果のTPIでは、東大指数と同様に消費増税以降、デフレの傾向を示している。購買価格をみても女性が男性よりも低く、シニア層がジュニア層よりも低い。さらに足元の物価上昇率は性別年齢別にかなり異なっているということもわかったそうだ。
今後の計画として、6月末からTPIを定期的に発表。また、6月末、9月末、12月末に対象商品を増やしていく予定だ。さらに、TPIを利用したユーザー向けサービスや、Tポイントデータを用いた「消費指数」の開発を行っていく予定となっている。