2010年10月1日10:28
(11)NTTドコモに聞く「おサイフケータイ」「NFC」の未来(下)
FeliCa搭載のAndroid端末は今年度中に投入へ
NFCケータイへのFeliCa搭載は?
――おサイフケータイ利用者からはアプリのダウンロードが面倒だという意見も耳にします。
中村:確かにアプリをダウンロードするのは面倒だという声もあり、その辺を改善するような方策を考えています。
市川:Webブラウザで支払いを行うHTMLを埋め込んだページを表示してもらえば、アプリを使わずにブラウザでFeliCaチップのなかにアクセスできるような仕組みなども取り入れています。
――NFCタグをすぐに読み取れるようなNFCの専用機については考えていらっしゃいますか?また、スマートフォンへのICチップ搭載についての予定をお聞かせください。
中村:そのようなNFC専用機はNOKIAが試験的に市場に投入しています。ただ、常にNFCタグを読めるようにするには携帯電話の電力の消費が激しいため、現状では難しいと考えています。また、Android端末へのFeliCa対応は弊社の社長も今年度中に投入すると発表していますように準備中です。スマートフォンのおサイフケータイ対応は、お客様からのご要望が非常に大きい機能のひとつです。大切なのは、Android端末になったとしても、使い方が以前とあまり変わったように見せないことです。期待されている部分は裏切らず、スマートフォンらしさを活かしたユーザ体験を考えていきたいと思っています。
市川:Android端末は位置情報の活用や複数のアプリケーションの連動が得意ですから、トルカ機能と組み合わせることで、周辺の地図を表示したり最寄の店舗のクーポンを提示するといったことが可能となるでしょう。これから出てくるNFC端末は、FeliCa タグも読むことが可能ですから、今後は、自然とFeliCaをNFCに拡張していく筋道をつくりたいと思います。
――今後市場に投入されるNFCケータイにFeliCaチップが載るかどうかが、注目されています。
中村:国内で開発されるケータイはこれまで通りFeliCaチップが搭載されます。日本ではFeliCaがこれだけ普及しているのですから、海外のケータイメーカーに対しても日本でビジネスを行う以上、FeliCaも載せてほしいという思いはあります。
市川:今のおサイフケータイはFeliCa専用チップを使っていますが、NFCケータイではFOMAカードのようなSIMチップの中に入れる動きもあります。その中でFeliCaやTypeA/Bのアプリケーションを動作させるとなると、いろいろな課題があります。また、FeliCaが国内でこれだけ普及したのは、私共のような通信会社も主体者となって、サービスのインフラをつくるパートナーと一緒に取り組んできたからです。NFCの展開にしても、NFCケータイの安定供給はもちろんのこと、サービスインフラも含めパートナーと歩調を合わせて、さまざまな課題を解決していかなければいけないと思います。
あと、FeliCaで忘れてはならないのは技術的な互換性の高さです。カードデバイス向けにつくったリーダライタなどと相互接続性を確保して、何百機種とある携帯電話をきちんとリードライトが行えるようにすることは、パートナーとの信頼関係のために重要だと思います。
おサイフケータイは半数以上の利用を目指す
NFCは3~5年後に一般化
――最後に、今後のFeliCa、NFCに対する展望についてお聞かせください。
中村:まずは、半数以上の方におサイフケータイを利用していただきたいと考えています。多くの方の支持があって初めて、NFCへの展望も開けるでしょう。電子マネーのサービスは広がってきていますが、首都圏に偏りすぎているところもありますので、iDやDCMXはもとより、おサイフケータイサービスの利用環境は全国的に整えられるようにしていく必要があるでしょう。
将来的には、NFCタグがいろいろなところに貼付されるようになると思います。私もNFCの世界的なブレークは必ず訪れると思っており、3~5年のうちにはNFCというキーワードが語られることは多くなるでしょう。NFCによって新しい利用シーンを提案したいですね。
市川:国内ではFeliCaを通して培ってきたノウハウがあります。これは、TypeA/Bサービスでも共通に使えるものだと思います。今のおサイフケータイをNFCへ拡張することにより、さらに多彩なサービスの展開が期待できます。NFC版おサイフケータイが日本の市場の中で受け入れられていく方策を考えていきたいと思います。