2019年11月20日7:00
ファーストリテイリングは、2019年11月13日に記者説明会を開催し、「有明プロジェクト」におけるサプライチェーン改革の実現に向けたパートナーシップの拡大を発表した。同社ではサプライチェーン情報を可視化、一元化させることで、店舗やECでの販売にもプラスの影響が出るとした。
ファーストリテイリングでは、ダイフクとのパートナーシップにより、有明倉庫において、RFIDなどの活用により自動倉庫を立ち上げ、物流倉庫の一気通貫した自動化設備導入をグローバルで目指している。また、ダイフクとのパートナーシップを拡大するとともに、ベンチャー企業のMUJIN、Exotec Solutions SASとのグローバルでのパートナーシップを発表した(パートナーシップ拡大の概要はNew Retail Naviで詳報)。
同社では、サプライチェーン情報を可視化、一元化させることで、「お客様が欲しいものが、いつもある」環境を目指している。そのためには、「無駄なものをつくらない、無駄なものを運ばない、無駄なモノを売らない」ことが必要であると、ファーストリテイリング グループ上席執行役員の神保拓也氏は説明する。
ファーストリテイリングでは、11の国と地域、240以上の工場で製造された製品を、3,500以上の店舗とeコマースで販売しているが「結果的にお客様の期待にお応えできていません」と神保氏は話す。
サプライチェーン改革では、世界中の顧客情報、天候、マーケット情報などを集め、物流、工場の情報を一元化し、全部署が共有できる体制を整えていきたいとした。AI等のアルゴリズムで計画を具現化し、精度の高い販売計画を策定する。
社内では、企画・生産・物流トータルでのリードタイム削減を実現するとともに、欠品と過剰在庫を防ぐための最適化が求められる。顧客情報、企画、生産、物流、販売といったサプライチェーン全体の情報を一元化し、全員が同じ情報を同時に閲覧できることで、意思決定の精度を高め、エンド・トゥ・エンドで課題を解決できるとした。
具体的な取り組みとして、企画時に3D-CADを活用。サンプル作成を内製化し、企画を事前にストックすることで商品提供のリードタイム削減を図る。
また、生産時には、素材の事前備蓄、多頻度・小ロット発注の対応、生産工場の自動化で、過剰在庫の削減とともに、欠品の削減を目指すそうだ。さらに、輸送形態の最適化、通関手続きの標準化、システム化を行う。
ファーストリテイリングでは今後も、最先端の技術を持つ企業とのパートナーシップをさらに拡大していく方針だ。同社ではすでに、Googleやアクセンチュア、東レ、島精機製作所といった企業と連携している。また、サプライチェーン改革の推進をリードできる人材の採用も積極的に登用する。