2020年11月27日7:00
凸版印刷は、カードおもて面の磁気ストライプの隠蔽や、接触型と非接触型の両方の通信が可能なデュアルインターフェースICカードに対応した「METAL SURFACE CARD(メタルサーフェスカード)」を開発し、2020年度内にカード発行企業へ向けて提供を開始する。
凸版印刷では、金属の質感を持つ磁気カードを提供しており、高級感のあるポイントカードやギフトカード向けに展開をしてきた。しかし従来製品では、一般的なクレジットカードに施されている、カードおもて面の磁気ストライプを隠蔽するオーバープリントや、昨今ニーズが高まっている非接触決済が可能なICカードに対応できない課題があったそうだ。
このような状況を踏まえ凸版印刷は、従来製品に使用されている物よりも薄い金属蒸着フィルムを新たに開発。その金属蒸着フィルムをカード表面に熱転写することにより、プラスチックカードでありながら金属と同様の輝きと質感を表現するとともに、カードおもて面の磁気ストライプの隠蔽や非接触決済も可能とした、高意匠カード「METAL SURFACE CARD」を提供開始した。
「METAL SURFACE CARD」は、プラスチックカードの表面に金属蒸着フィルムを熱転写することで、印刷では表現できない金属の輝きや光沢感、質感を再現したという。また、金属蒸着フィルムの厚みは数マイクロメートルと非常に薄く、磁気ストライプ上に転写しても磁気ストライプの機能を損なわないそうだ。これにより、一般的なクレジットカードに施されている、カードおもて面の磁気ストライプを隠し、券面全体にデザインを施すことを可能とするオーバープリントに対応できるようになった。
さらに、電磁波透過性の金属蒸着フィルムを採用したことで、非接触の通信に影響を与えないため、ICカード乗車券一体型クレジットカードに代表される、接触型と非接触型を 1 枚のカードで共用するデュアルインターフェースICカードでの使用を可能とした。
「METAL SURFACE CARD」のベースはプラスチックカードであるため、カード券面の加工にも対応可能であり、エンボスや箔押しなどの加工と組合せることで、よりデザイン性を高め、高級感を演出することができる。非接触型通信や磁気ストライプへのオーバープリントが可能になったことで、クレジットカードなど金融系カードに加え、ポイントカードや会員証などで利用可能だ。
価格は、従来の白いプラスチック基材のカードと比較して、約1割増しになる(10万枚発注の場合。価格は仕様や数量により異なる)。凸版印刷は同製品をカード発行企業、幅広い業界へ拡販そい、2025年度に関連受注を含め約10億円の売上を目指す。さらに今後は、凸版印刷の持つカード加工技術を組み合わせ、さまざまなデザイン性の高いカードの提案を行っていくそうだ。