2021年3月12日8:00
ファストフード業界で先行して多彩なキャッシュレス決済を展開
ファストフード業界では先行してキャッシュレス化に取り組んできたファーストキッチン。現在はクレジットカードや電子マネー、QR コード決済といった多彩なペイメントサービスをそろえる。コロナ禍の2020 年10 月には、事前注文・決済サービス「モバイルオーダー」を始め、非接触式セルフレジを試験導入するなど、時流に合わせて人との接触を減らす取り組みを進めている。
POS入れ替えでキャッシュレス化へ
12社のQR・バーコード決済を展開
パスタやスイーツなどハンバーガー以外のメニューもそろえ、アメリカ発のハンバーガーレストランチェーン、ウェンディーズとのコラボレーション店舗を展開するなど、独自路線を行くファーストキッチン。POSシステムの入れ替えをきっかけに、約3年前からキャッシュレス化を進めてきた。ファーストキッチン マーケティング部 IT課 マネージャー兼コーポレート部 経営企画課 マネージャー 中村氏は「現在はクレジットカードや交通系電子マネーのほか、QRコード決済、バーコード決済を取り入れています。コード決済は12社入っています。ファストフード業界での各ペイメントの取扱数としては多いと思っています」と話す。
2019年5月からは、商品購入金額やチャージ金額に応じてポイントが貯まるプリペイド式のハウス電子マネー「My First Card(マイファーストカード)」を開始した。ヘビーユーザーからライトユーザーまで幅広く対応できる、多様な決済方法を取り入れている。
キャッシュレス決済の利用は順調に伸びており、売上における比率は平均で4割程度、東京のオフィス街の店舗など多いところでは6割を占める。クレジットカードや電子マネーでの支払いがまだまだ主流だが、コード決済の利用も徐々に増えている。
同社は2020年8月、公式アプリ「WFK-Club」をリニューアル。ハウス電子マネーカードとも連携したアプリには2021年1月現在、約40万人が登録。そのうち4分の1超がキャッシュレス決済を利用している。
さらに2020年10月、ウェンディーズ・ファーストキッチン47店舗で「モバイルオーダー」を導入。ウェブページ上や公式アプリで注文・決済を済ませるサービスで、顧客は利用店舗や受け取り方法、商品、支払い方法を選んで注文する。列に並ばずにゆっくりと商品を選ぶことができ、スムーズに商品を受け取れるのが特徴だ。アプリ会員なら、クーポンも利用できる。3年ほど前から構想はあったが、奇しくもコロナ禍でのサービス開始となった。2021年1月には、NTTドコモの「d払い」のミニアプリからも、注文や支払いができるようにした。
ファストフード業界では、モバイルオーダーサービスの導入が進むが、認知度の向上が課題だ。ファーストキッチンも同様で、中村氏は「モバイルオーダーでしか注文されないお客様もいますが、まったく利用されないお客様もいます。今後どのようにして広げていくかを商品企画の部署とも連携して考えていきます」と話す。
店舗の混み具合によってはレジで購入した方がスムーズな場合もあるし、有人レジと無人のセルフレジ、モバイルオーダーで利用できるサービスに差がついてしまう場合もある。マーケティング部 部長 高関氏は「例えばグランドオープンなどで、アプリよりも割引率が高い紙のクーポンを店舗で配っているケースです」と説明する。現時点では、「タルタルソースを抜いてほしい」などの細かい注文には対応していないのも課題だ。
非接触式セルフレジは好評
今後はモバイルオーダー強化へ
他には、新型コロナウイルス対策として、非接触式セルフレジの導入を打ち出した。店舗のセルフレジのモニターに、後付けでプラネットの非接触パネル「ATEMS AirSensor“W”」を設置した。モニター周囲のセンサーが指の位置を認識して反応するため、画面に直接触らなくとも注文・会計ができる。現在は試験導入の段階だが、顧客には好評だという。
ただし、「非接触とうたっていても、タッチパネルだと思って触ってしまうお客様もおられます。なかなか思った通りに操作できない場合もあります」と中村氏。現在、こうした問題点の改善とともに、どのようにして導入していくかを検討しているという。
今後は、人口減少による人手不足もにらみ、モバイルオーダーの強化を進める。現在、QRコードのシールを利用したテーブルオーダーシステムを開発中で、今春のスタートを目指す。アフターコロナを見据え、外国人も利用しやすい英語表記への対応も予定。中村氏は「他社さんとは違った武器を弊社でそろえていきたいです」と意気込む。決済でも独自の取り組みを進める。