2021年5月14日8:00
独自ポイントサービスも提供し、専用アプリの効果や有用性を検証
阪急阪神ホールディングスグループ(阪急阪神HD)は三菱総合研究所(MRI)と共同で、兵庫県西宮市の阪急阪神沿線に住む約1000人をモニターとして、次世代移動サービス「MaaS(マース)」の実証実験を始めた。期間は2021年4月21日~7月20日までで、実験用アプリ「maruGOT(まるごっと)にしのみや」を通じて経路検索、飲食店や交通サービスの予約・決済、ポイントサービスなどをワンストップで提供する。(ライター・南文枝)
マイカーを含めた幅広い移動手段で経路検索
各交通サービスのアプリを通じて予約・決済も
MaaSは「モビリティ・アズ・ア・サービス」の略で、公共交通やカーシェア、タクシーなどのさまざまな移動手段を統合した、より利便性の高い移動の仕組みだ。近年、国内各地で実証実験が行われており、東急やJR東日本、伊豆急行の3社が静岡・伊豆で行った観光型MaaSや、WILLERや京都府などが京都丹後鉄道沿線地域で試みた地方郊外型MaaSなどがある。
阪急阪神HDは、グループの総合力を発揮できる新たなサービスを検討するため、都市型MaaSの実証実験に乗り出した。実験に参加するモニターは、同HDのクレジット機能付きICカード「STACIA PiTaPa(スタシア ピタパ)カード」会員の西宮市民から募った。モニターには実験用アプリ「maruGOT(まるごっと)にしのみや」を通じてさまざまなサービスを利用してもらい、地域内での移動や消費活動におけるアプリの効果や有用性などを検証する。
アプリでは、主に目的地までの経路や施設検索、交通サービスの予約・決済機能を提供。モニター以外でも、モニター限定となるポイントサービス機能を除きサービスを利用可能だ。
利用者のシームレスな移動に向け検証
二次元コードを活用してアプリ限定のポイントサービスも実施
経路検索では、西宮市域を中心に、鉄道やバス、タクシーなどの公共交通に加え、カーシェア、マイカー、自転車、徒歩といった幅広い移動手段を網羅した。経路検索時は、JR西日本を含む列車の走行位置やバスの停留所接近情報をリアルタイムで確認できるほか、グループ単位での目的地までの交通費総額も概算で出せる。また、タクシーなら阪急タクシーの配車アプリ「GO」、カーシェアはタイムズのカーシェアリングサービス「タイムズカー」というように、各交通サービスのアプリやウェブサイトを通じて予約・決済できるようにした。
施設検索では、グループ外の路面店なども含む西宮市域の約100店舗を「おすすめ100スポット」として詳細情報を提供。各スポットを目的地とした経路検索も可能とした。一部の店舗では、連携する飲食店情報サイト「ぐるなび」を通じた予約や、お店の混雑度情報なども提供する。
今回の実験の特徴の一つとして、対象地域を絞ってアプリ限定のポイントサービスを組み合わせて展開していることだ。西宮市域は、阪急西宮ガーデンズや阪神甲子園球場などの商業施設やスポーツ施設があり、グループのストックが多様な地域だ。鉄道は阪急電車、JR西日本、阪神電車の路線が並走し、南北間の移動はグループのバスなどを利用することになる。担当するグループ開発室 課長 岩崎貴文氏は「さまざまな交通手段を検索対象として網羅し、交通以外のサービスとも多く連携している。利用ニーズに応じて最適でシームレスなルート案内ができ、1つのスマホアプリで多くの機能・情報をワンストップで提供できることから、まだ実験段階ではあるが、西宮にお住まいの皆様にとって使いやすいアプリにできたのでは」と話す。
今後は沿線での実用化も視野に
より合理的で利便性の高いサービスのスキーム構築へ
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