2021年10月1日8:00
NTTデータやジェーシービー等と連携して新たなインフラ構築へ
ブロックチェーンのスタートアップ、Datachain(データチェーン)は、決済分野などにおける異なるブロックチェーン間のインターオペラビリティ(相互運用性)実現を目指し、NTTデータと技術連携、ジェーシービー(JCB)との共同研究を進めている。世界的にブロックチェーン技術の応用が進み、インターオペラビリティの必要性が高まる中、データチェーンの技術はどのような可能性を秘めているのか。担当者に話を聞いた。
記事のポイント!
①ブロックチェーン同士をトラストレスに接続へ
②NTTデータと貿易業務におけるインターオペラビリティ技術の実証実験
③「Ethereum」と「Hyperledger Fabric」間の技術検証も実施
④将来的にはNFTマーケットでのニーズも高まる?
⑤JCBと共同研究を開始した背景は?
⑥相互接続が標準化されることを目指す
⑦競争力あるサービス、ビジネスを提供してサスティナブルな事業を構築へ
デジタル資産の円滑な流通を実現へ
データチェーンは、デジタルマーケティングなどを手がけるSpeee(スピー)の子会社として、2018年に設立された。近年、ブロックチェーン市場の規模が拡大し、異なるブロックチェーン間のデータを安全かつスムーズに連携させるインターオペラビリティ技術の確立が重要となる中、同社は異なるブロックチェーン間でのデジタルアセット(デジタル資産)やアプリケーションの円滑な流通を可能とする技術の開発に取り組んでいる。
同社の事業開発シニアマネージャー 石川大紀氏は「ブロックチェーン上でデジタルアセットやアプリケーションが生まれても、他のブロックチェーンとの連携ができないと、その可能性を削ってしまうことになる。ブロックチェーン同士をトラストレスに接続することによって、デジタルアセットがよりなめらかに流通していく世界を実現したい」と話す。
データチェーンが開発を進めるインターオペラビリティ技術の特徴は、異なるブロックチェーン間での取引を、仲介する特定の第三者の信頼に依存せずに自動的に行えることだ。石川氏によると、ある企業が提供するシステムが第三者として、ブロックチェーン外で両者の取引をコントロールすることは可能だが、管理体制や信頼の構築など既存システムと同様の大きなコストがかかると想定しているという。
NTTデータと商用化に向け実証実験
同社は、ブロックチェーンの技術検証を進めるNTTデータと連携し、これまでに貿易業務におけるインターオペラビリティ技術の実証実験を行った。企業向けのブロックチェーン・プラットフォーム「Hyperledger Fabric」で構築された「貿易プラットフォーム」と、「Cosmos」(Tendermint)で構築された「決済プラットフォーム」をデータチェーンが採用する「Relay方式」であるIBC(Inter-Blockchain Communication)の技術でつないだところ、輸入者と輸出者間で、貿易プラットフォーム上の貿易文書と決済プラットフォーム上の資金の移転を、同時に自動で実行することができた。
この実証実験により、インターオペラビリティ技術において、これまで非常に難しいと言われてきた(1)異なるブロックチェーン間を連携し、(2)権利と価値の移転に必要な秘密鍵をそれぞれの利用者が保有した状態で(3)取引を自動実行する、という3つの命題(トリレンマ)を、Relay方式によって解決できる可能性が証明された。両社は現在、実用化に向けた検証を進めており、2022年度以降の商用化を目指している。
デジタル通貨とHyperledger Fabric上のDVP決済
両社はさらに、スマートコントラクト機能が実装されたブロックチェーン「Ethereum」と「Hyperledger Fabric」間におけるインターオペラビリティ技術の実証実験も進めている。両者のインターオペラビリティは世界的に新規性の高い取り組みで、注目を集めている。
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